ともだちのしるしだよ

  • 岩崎書店
3.83
  • (16)
  • (23)
  • (16)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 268
感想 : 37
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784265810529

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ゴーギャンの絵のような表紙で、どのページにも背景には緑がない。
    乾いた砂塵があがってきそうな雰囲気で、喉が痛くなりそうだ。
    アフガニスタンとパキスタンの国境にある、ペシャワールという町での難民の少女ふたりの友情物語。
    読みはじめか、あるいは読み終えてから、少々説明が必要だろう。
    あとがきをそのまま読んでも良いし、なんであれ、戦禍を遁れて難民になるとはどういうことか、日本の子どもたちには理解しがたい部分があるかもしれない。
    約10分。小学生以上。出来れば中学年くらいから。
    説明を入れるともっとかかるが、読む価値はある。

    板橋区立「いたばしボローニャ子ども絵本館」主催の翻訳コンクールで第15回「いたばし国際絵本翻訳大賞最優秀翻訳大賞」を受賞した作品ということだが、翻訳にもそういった賞があることを、そもそも知らなかった私である。う~ん、勉強になるわ。
    しかも訳者である小林葵さんは、受賞当時、現役の高校生(!)だったと言う。
    作品中のふたりの少女に、深く心を寄せながらの作業だったのだろうね。

    「ともだちのしるし」というのは、難民キャンプに届いた救援物資から、サンダルを片方ずつ偶然に取ったふたりが、一日ごとに交代で履くことをそうなずけたもの。
    それは、秘め事のような約束である。
    学校に通うことも出来ず、一日中労働に追われる少女たちが、かすかな希望と喜びをそこに見出している。
    辛いこと・悲しいことを、誰かに言うことが出来る。
    そして、将来への夢も小声で語り合うのだ。
    お互いの存在が、どんなに救いになっているか、挿絵からこぼれてくるようだ。
    だが、長くは続かない。ひとりが、家族ともにアメリカに渡ることになるのだ。
    別れの場面は、それはもう切実である。ここでも「ともだちのしるし」が交わされる。

    安易な同情は禁物だが、無知なままでいることもまた恥ずかしい。
    平和とは、衣食住に悩まず、好きなことが出来る状態のことを言うのではない。
    少なくとも、それに気づくきっかけを与えてくれる一冊である。

    • nejidonさん
      だいさん、こんにちは♪
      コメント&リンク、ありがとうございます!
      実は先日コメントを頂いたときに、「川越」の記事をのぞいておりました(笑...
      だいさん、こんにちは♪
      コメント&リンク、ありがとうございます!
      実は先日コメントを頂いたときに、「川越」の記事をのぞいておりました(笑)
      さっそく板橋のこちらにも足を向けてくださったのですね。
      貴重なご報告、ありがとうございます。
      元は小学校だった建物の再利用というのが、感心してしまいました。
      海外の絵本がずらりと並ぶ子ども図書館など見たことも無いので、憧れてしまいますね。
      ああ~、私もぜひ行ってみたいものです!
      2013/11/04
    • だいさん
      nejidonさん
      こんにちは
      ありがとうございます。

      >元は小学校だった建物の再利用

      23区内は(最近?)多いようです。
      ...
      nejidonさん
      こんにちは
      ありがとうございます。

      >元は小学校だった建物の再利用

      23区内は(最近?)多いようです。
      国立子ども図書館(上野)は、「書店の本」のように整然と美しいですよ。
      2013/11/05
    • nejidonさん
      だいさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      こちらは廃校舎がそのまま放置されていますよ。
      少子化に伴って生徒数も激減、
      ...
      だいさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      こちらは廃校舎がそのまま放置されていますよ。
      少子化に伴って生徒数も激減、
      全国的な問題かもしれません。
      23区はさすが、すすんでますね。
      活用化のアイディアだけは私もたくさんあるのですが・・

      その国立子ども図書館は、何度も行ったことがありますよ!!
      研修を受けるために通いつめたこともあります。
      建築物としても美しいし、見る価値ありですよね。
      2013/11/06
  • 「アメリカで またいっしょにはこうね」

    アフガニスタン、パキスタンでの紛争、そして難民。いまこのときも、平和が脅かされ続けている。(11分)#絵本 #絵本が好きな人と繋がりたい #ともだちのしるしだよ #カレンリン #カードラモハメッド #ダーグチャーカ #小林葵 #岩崎書店

  • 貧しさの中の友情。記憶に残りました。

  • リナは難民キャンプで暮らす10歳の女の子。救援物資の中からサンダルを片方見つけたことから、フェノローザと知り合い、一足のサンダルを交互に履くことになる。戦争で家族を亡くし、不自由なテント暮らしの中で友情を育む二人。やがて、アメリカに移住」するリナとキャンプに残るフェノローザに別れがやってくる。友情のあかしとしてサンダルを分け合う姿は、お互いを思う優しさにあふれ、決して希望を失わない強さも感じさせてくれる。子どもの目から見た難民の生活や哀しい別れは、平和を考えるきっかけになるだろう。

  • アフガニスタンから逃れてきた女の子二人の出会いと、友情。家族を失い、悲しみを背負った中で生まれた友情がとても暖かくて可愛らしい。
    難民キャンプがどんなものか、どんな支援が必要とされているのか、私達に世界のことを考えさせてくれる素敵なお話しです。

  • 「リナは裸足で難民キャンプの入り口に駆けつけました。救援物資をのせたトラックの荷台から、つぎつぎと古着がわけられていきます。押し合いへしあいする中で、リナが見つけた、片っぽだけのサンダル。もう片方をさがしてあたりを見回すと、ひとりの女の子が、やはり片方だけのサンダルをはいて立っていました。一足のサンダルによって結ばれた、難民キャンプに暮らす少女たちの友情の物語。]

    こんな世界がある。こんな現実がある。そんな中にも友情があり、懸命に生きる命がある。絵本で世界を知る事ができるの、いいな。

  • 2023.5.18 6-3

  • アフガニスタンや難民のことに目を向けてほしいと思って図書館から母チョイス。
    エピソードが幼児にも分かりやすくてよかった。

  • カレン・リン・ウィリアムズ : カードラ・モハメッド (著), ダグ・チェイカ (イラスト), 小林葵 (翻訳)

  • ペシャワールの難民キャンプでの少女たちの友情。低学年でもわかりやすい、具体的な生活の描写。

全37件中 1 - 10件を表示

小林葵の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×