- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784265860555
作品紹介・あらすじ
19世紀ロンドン。ストリートチルドレンの主人公クレイは日々不公平を感じている。ある日、クレイはサーカス団の檻の中で残虐な調教を受けているオオカミと運命的な出会いを果たす。クレイはオオカミをサーカス団から逃し森へ返すため、ある計画を企てる。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
いったん読みたい本リストから削除したのに、図書館に平置きされているのを発見
つい手にとってしまいました
貧しさの中で暮らす子どもが主人公ですが
こういう物語に登場する子どもには、ちゃんと道標になる大人がいるんですよね
だからこそ、思う道をまっすぐ進める
世の中不公平だらけ
それをわかりつつ、どう自分は生きていくのか?
そんなことが描かれた本です -
ビクトリア時代のテムズ河畔で川床あさりをして暮らす少年クレイは、サーカスの檻のなかに閉じこめられた巨大な灰色オオカミに魅せられてしまう。オオカミに「フォグ」と名前をつけたクレイは、なんとかしてオオカミを逃がし、故郷の森に帰そうと動きはじめる。
舞台設定はまるでディケンズのようだけど、イタリアの作家による作品というところがおもしろい。クレイがなぜフォグにそこまで心を奪われてしまったのかが、今ひとつよくわからないのだけど、物語はトントンと勢いよく進んでいく。サーカス小屋に忍び込んで、こっそりと行動を起こすと思いきや、残酷な調教師とその息子に真っ正面から立ちむかって、どんどん戦いを挑んでいくのでドキドキします(^_^;; だいたいそんな感じの物語。 -
そこらじゅうにゴロゴロ転がっている不公平を、世の中なんてそんなものだから仕方ないと思って何もしてこなかった。でも、なんとかしなくちゃと思い始めた主人公クレイと、クレイの師匠・サルじいさんの会話がとてもよい。
特に「私の何かがこの世で生き続けられるとしたら、それは私と親しくしてくれた人の、記憶の中の私だけだ」「不公平が多すぎて、闘うのは大変だ。でも、自分で闘うと決めたら、それはとても意味のある闘いなんだ。」というサルじいさんの言葉にグッときた。キッパリとしたラストもすごくよい。 -
公平さとは何かを伝える、児童文学の良書。この世は自分で闘い生き延びねばならず、その結果たとえ死ぬことになろうとも、そこには自分の意志や選択肢が反映されている。しかし闘う権利も与えられず殺されたり死ぬことは違う。言葉にすると難しいこの違いを、ストリートチルドレンの目を通じて、直感的に訴えてくる。
-
サーカスでひどい目にあっているおおかみと出会った少年。おおかみを森へ返そうとする少年の自立の物語。
-
19世紀ロンドン。ストリートチルドレンのクレイはサーカス団の檻の中で残虐な調教を受けているオオカミと出会う。
残酷で冷酷な大人たちの中で必死に生きるクレイは日々、不公平を目にしてるけどオオカミのフォグのために不公平と闘う決意をした。
後押しになったサルじいさんの言葉が心に響く。
クレイが自ら選んだ行いの力強さと勇敢さに胸を打たれた。
この先もクレイが自由に自分で人生を切り開いて生きていけますようにと願わずにはいられない。