五代友厚――蒼海を越えた異端児 (潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784267020339

作品紹介・あらすじ

嵐に煙る桜島。薩英戦争で英国艦隊の捕虜となった五代は「薩摩の若者を留学させたい」と申し出る。攘夷主流の中、裏切り者の汚名を晴らし、藩論を覆して英国へ。そこで怪しげなフランス貴族と運命の出会いが-。帰国後、次の焦点は大阪と確信。造幣寮開設に尽力し、商法会議所を設立する。現在の大阪を「創った」男の奮闘を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 明治初期大阪経済界の礎を作った五代友厚。その生涯を幕末(上海への密航とフランス、イギリス要人との繋がり)と官を辞し経済界発展に民間から経済発展に奔走する明治初期の二部で構成されている。五代を葬ろうとした黒幕が意外な人物であり、びっくりしたが少し内容が薄かった。

  • 渋沢栄一ものを読み、同じく明治期に日本の産業発展に尽くした五代友厚にも興味を持った。しかしながら、本書は五代の生涯を断片的、中途半端、思わせ振りに描いているだけなので、読み終わってもその功績や人となりを明確に掴むことができなかった。消化不良感が残った。

    まあ、五代は琉球公益掛を父に持ち、早くからグラバーのパートナーとなって西洋人とのパイプを築き、蒸気船や武器の買い付けで活躍しだが、同僚からは「五代はおいたちが命がけで戦っている間に、外国人に媚びへつらって出世しやがった。あいつは昔からそうだ。旧幕時代にグラバーと示し合わせて藩を食い物にしたのもあいつだ」と陰口を叩かれたこと、明治初期に官界を辞して大阪に根をおろし、商業・貿易発展に尽くしたことは分かった。ドライな貿易至上主義者でパワーポリティクスを解し、国をも動かすほどの力を持つ「日本のジャーマン・マセソン商会」を目指した人物だったということも。

    モンブラン伯爵とか、井上馨、岡田平蔵、中野悟一、藤田伝三郎、古河市兵衛らを巡る様々な陰謀、暗躍などについては何のことかほとんど分からなかった。

  • 五代さん、もっと知られていいんじゃないかと思う。
    その目で外国を見て体感し、早々に新しい考え方に切り替えた。
    長崎でグラバーと繋がり、政治よりも商売、経済発展に力を入れた人。
    女好きで酒に強かったのはご愛嬌。
    もっと長生きしていたら何をしていただろう。

    物語としては、ぷつぷつと切れるところがありわかりにくかった。
    「西郷どん」を思い出しながら明治維新をざっと復習した感じ。
    時代が変わるには、多くの人が犠牲になったんだ。

  • 「竜馬がゆく」の後だからやむを得ないが、迫力に欠ける。もっと多面的に描いて欲しかった。

  • 朝ドラの五代様がしりたくて。

  • 「あさが来た」からのこの本。「あさが来た」の五代さんとは少しイメージが違うけど、これはこれで楽しめました。本もフィクションだけど、こっちの五代さんの方が人間臭くて好きだなぁ。歴史全般に苦手で、この時代にも疎いから、他の方の本も読んで、もっと知りたいなと思いました。

  • 「天外者」を見る前に読めました。おかげで、映画の内容がすごく分かりやすかったです

  • 日本資本主義の開拓者とでも言える五代。この時代の人達のパワフルさを改めて感じるとともに、色んな思想や目標に向かっていく姿には、それぞれの奥深いドラマがある。なぜか英雄は志し半ばにして…

    しかし、このページ数じゃ駆け足過るなぁ↓

  • 朝ドラで初めて知り、映画「天外者」の公開に際して予習のため読了。少年時代に西洋のイズムに強い感化を受けた五代友厚。幕末における数少ない特異な存在であり、人々のために尽くした魅力的な人物像にワクワクしました。幕末の歴史をもっと知っていれば更に楽しめるのにと思った。
    【2020.12】

  • 明治維新後の、貿易を中心とした経済発展の基礎を築いた五代友厚の生涯。江戸(東京)ではなく、商業地として大坂が発展したのは西南戦争と関連があったとか、いろいろ興味深い話もあり、濃密な一冊。やや詰め込みすぎかな、とも考える。幕末からの薩摩藩、長州藩の関係などを知らないと理解しにくい面も。3大財閥の成り立ちや三井物産と井上馨との関係。大隈重信と中野伍一、藤田伝三郎の暗躍のミステリーもあり、維新後の歴史に興味を持った。
    北海道開拓使を貰い受けての朝鮮との貿易が空振りになったのは残念だが、商法会議所の設立、鉱山事業の弘成館、染色事業朝陽館と幾多の事業を成し得た五代友厚の凄さを改めて思い知る一遍。

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著者プロフィール

1960 年生まれ。95 年「異形の寵児」で直木賞候補。97 年「鎌倉繚乱」で中山義秀文学賞受賞。「小説平清盛」「軍師黒田官兵衛」(小社刊) 「悪党重源」など著書多数。

「2017年 『西郷隆盛 荒天に立つ山の如く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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