あるスキャンダルの覚え書き (ランダムハウス講談社 ヘ 3-1)
- ランダムハウス講談社 (2007年6月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784270100998
感想・レビュー・書評
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「まるで新しいおもちゃのような身体だったわ」
15歳の男子生徒の禁断の関係を、新任教師シバは友人の老教師バーバラに告白した。
バーバラは、シバをスキャンダルから守るため、手を差し伸べる。
しかし秘密を握ったバーバラの心には、いつしか黒い感情が渦巻きはじめ・・・。
密かにシバを観察し、毎夜綴られるバーバラの日記。
そこには友情を越えた、孤独な老嬢の支配欲と嫉妬がほの見えてくる。
ブッカー賞最終候補となった問題作
イギリスの階級意識に疎いので今ひとつ飲み込みきれないところがあった。
バスシバ(映画は見てないけど完全にケブラで再生される)は、上流階級の女性なんだろうけど、時々クソッとかチッみたいな言葉遣いなのはデフォルトなんだろうか…。
ブッカー賞(候補)かつ信用できない語り手繋がりで、日の名残りを思い出させる一作。
老いた孤独な意地悪ばあさんであるバーバラだけど、彼女の傲慢さや友人に対する異様な執着はどんな女にも通じるところでヒヤッとし、共感もする。
どう見ても家庭に首突っ込みすぎなバーバラに対するシバの夫の対応が意図的に省かれていて(初めてディナーに訪れた日の、夫にうまく気に入られたであろうという記録だけがいやに丁寧でミスリードを生む)、最後のあたりで激昂したシバの発言からやっぱり夫に嫌われてたのか、と仄めかされるあたりが白眉。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「あるスキャンダルの覚え書き」60歳独身の女性教師が綴るスキャンダルとは…映画原作
http://youyou-bookmovie.blog.so-net.ne.jp/2015-05-03 -
中年の既婚女教師と生徒の“不適切な関係”というスキャンダルを、友人の少ない同僚の目から見た形の小説。主人公はその同僚であり、主人公と既婚女教師との関わり方が主軸となる。最後は印象的で、不気味でもある。
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まだ学生の自分にとって夫婦とか未婚女性のリアリティとかが生々しくわかった。話としてしっかりしているが好きではない。脇役と見せかけてのバーバラの重い性格にイライラしてしまった。
海外小説には日本の小説にはないものを期待してしまうからかな・・・。
実際の話からインスピレーションを得ているそうだが現実のほうがすごかった。事実は小説よりも奇なり? -
映画だと、バーバラに弱み握られて見込まれたシバ、早く逃げてええ!という感じになるけれど、小説だと、少年との恋(というか性)に溺れるシバの鈍さが痛いです。
小説のほうが好み。バーバラは意地悪だけど、孤独がしみる。シバはずっと、自分は被害者だと思っているんだろうな。
シバの鈍さは、イギリスの階級に対する皮肉でもあるのでしょう。
面白かったです。 -
4位
イギリス人って意地悪だねえ……。
時系列の並び替え方と、視点の替え方がうまい。
小説ならではの楽しみがつまっています。
シバの善良な独善性の描写が見事!
最初は充満する悪意に吐き気がしたんだけど、
次第にそれが必然だったことにきづく。
悪意は生きるための武器だ。
自分の気持ちに苦しんでしまう、その心をコントロールするための……。
「サンデー毎日」の中野翠さんのコラムを読んでいたら、私選のベストテンには入らなかったけれど気になった映画、というのがあり、その中に「あるスキャンダルの覚え書き」がありました。こういうシンクロはうれしい! 映画も期待できそうです。 -
映画を見たので原作を読んでみました。微妙に違うものになっていました。バーバラの書いていることがどこまで本当なのでしょうか。