ヴェネツィアの悪魔 下 (ランダムハウス講談社 ヒ 1-6)
- 武田ランダムハウスジャパン (2007年10月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784270101261
作品紹介・あらすじ
ある人物の策略により、館の地下で発見した作曲者不詳の楽曲を、自分の作品と偽って世間に発表しなければならなくなったダニエル。さらに、雇い主のスカッキが何者かに殺害され、彼は自分の周囲で不可解な力が働いていることを感じ始める。スカッキを殺した犯人を突き止めようとするダニエルだったが…殺されたバイオリニスト、古い楽譜、骨董商の死、そして18世紀に起きた悲劇-すべてに思いがけない結末が待っていた。二つの時代が重なる壮大な物語。
感想・レビュー・書評
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この作品のプロットは複雑である。印刷商の地下の壁の中で発見された楽譜と墓の中から盗まれた名器ガルネリの織りなす現代の物語と楽譜を起こし、その才を認められて名器を与えられた300年前のユダヤ人女性と当時のスカッキ家の若者の織りなす物語が複雑に交差する形式をとっている。そうして、その二つの物語の結末も深く複雑にひも解かれていく。秀作。
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ヴェネツィアを舞台に、18世紀と現代の謎が交錯する歴史ミステリ。
具体的なネタばれは抑えてますが~これからすぐ読む人は、以下は読まない方が…
学生のダニエルは、夏の間だけ、資料整理のためにスカッキ館に滞在していました。
骨董商の老人スカッキには、他の思惑があった。
館の手伝いの女性ラウラは美しく、年上のラウラにダニエルは惹かれる。
ところが、館で殺人事件が起き、ラウラが一度は自白。
ダニエルの知らない事情があるらしい。
ラウラはもう会わないと告げて、行方をくらましてしまう。
ダニエルは、コンチェルトを作曲した若き天才として注目されるが…?
コンチェルトを演奏するエイミーは、まだ18。
エイミーが愛してもいない男との関係に縛られそうになるのも、ダニエルは気にかかる。
楽しまない様子のダニエルを、ジュリア・モレッリ刑事は追い続けていた。
18世紀、同じヴェネツィアで、ヴィヴァルディの指揮により、匿名の作曲者による新曲の演奏会が行われ、大成功をおさめた。
レベッカもガルネリのバイオリンで、演奏に参加する。
レベッカが作曲者なのだが、ユダヤ人で女性。
この時代のユダヤ人差別は厳しく、とうてい名乗り出るわけにはいかないと改めて悟る。
恋人のロレンツォ・スカッキは、レベッカを守ろうと奔走するが、逆に危険を招いてしまい…
手強い悪人に汚名をきせられ、無能な役人には行く手を阻まれて、逃げ延びることは出来るのか?!
スリリングな展開で、上巻でつかみかけた愛と幸運が暗転、どちらの時代でも大波乱が。
それが時代を超えて繋がってくる所も圧巻。
ダニエルが大人になっていく様子が頼もしい。
18世紀のエピローグも、面白かったです。 -
ヴェネツィアが舞台というだけで読み始めた本でしたが、これは面白い!!
歴史が繰り返すように起こった、作曲者不明のヴァイオリンコンチェルトとガルネリを巡る18世紀と現代の物語。
異なる時代に登場する主人公の少年2人が、事件と恋愛を経て成長する様。
時代を超えて変わらぬ、ヴェネツィアという街の魅力。
是非もう一度読みたいと思いました。
幼いラウラがダリオ館に見た幻のような光景は、きっと彼女のルーツなのだろうと妙に納得。
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ベニスを舞台に過去と未来で進行するストーリー。
前半の複線が一気に解消されていく後半。