日本は本当に戦争に備えるのですか?:虚構の「有事」と真のリスク

  • 大月書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272211296

作品紹介・あらすじ

防衛費倍増・敵基地攻撃能力・ミサイル配備・米軍との一体化――その先にあるのは
本当に「安全」なのか。台湾「有事」は本当にあるのか。なし崩しにされる平和国家の
理念を前に、気鋭の論客らが真の危機を警鐘する緊急出版。

[目次]

(いずれも仮題)

はじめに 岡野八代

1章 虚構の「台湾有事」切迫論  布施祐仁

2章 安保3文書と「高次の法」の問題  志田陽子

3章 外交なき米軍との一体化――メディアの果たすべき役割とは  望月衣塑子

4章 いま日本が追求すべき安全保障とは何か 三牧聖子

5章 力による安全保障の限界――ケアの倫理による転換  岡野八代

感想・レビュー・書評

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  • 「平和を求めるなら、戦争に備えよ」は正しい? - SWI swissinfo.ch
    https://www.swissinfo.ch/jpn/-平和を求めるなら-戦争に備えよ-は正しい-/48302782

    【憲法特集】誰も犠牲にしない国へ 政治学者 岡野八代さん | 社会, 時代の正体 | カナロコ by 神奈川新聞(2017年5月3日)
    https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-12268.html

    日本は本当に戦争に備えるのですか? - 株式会社 大月書店 憲法と同い年
    http://www.otsukishoten.co.jp/smp/book/b623114.html

  •  2023年1月19日に同志社大学大学院グローバルスタディーズ研究科が主催したオンライン・セミナー「いま、リアリズムとは何か――安保三文書を議論する」を書籍化したもの。2022年12月16日の安保三文書閣議決定(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)を受けての緊急的な内容だったが、なぜ・誰にとってこれらの文書が必要で、そこには何が書かれているのか・どんな視点が欠けているかがレビューされたことで、基本的な問題点は理解できた気がする。とくに三牧氏の指摘、「軍事に関しては専門知が独走/暴走しがちである」という問題提起は重要。
     2015年安保のときもそうだったが、こうした軍事化の政策転換が閣議決定レベルで「国策」化されて、それが追認されてしまうことには、現代日本国家・日本社会の異様さを感じざるを得ない。

  •  本書は、2023年1月19日に「いま、リアリズムとは何か-安保三文書を議論する」というタイトルで、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究会が主催するグローバル・ジャスティセミナー第67回として開催されたオンラインイベントを元に、編集された書籍である。執筆者全員が触れるとおり、国民議論もないまま、国会議論も抜きにして、いわゆる安保三文書(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)が、2022年12月16日、閣議決定という形で公表されたことに端を発している。年末・年始という多忙な時期に、私たち市民にとっては突然発表されたこの決定に著者らが呼応してセミナーを開き、書籍にまとめた。ロシアのウクライナ侵略や台湾有事を煽り立て、日本の防衛力強化を訴えるが、内実は敵基地攻撃能力など、専守防衛から大転換の先制攻撃を可能にする極めて危険な内容であり、予算ありきの武器爆買い計画の内容不透明に国民は気づいていない。
     また、日本の経済状況は、個人の豊かさを示す1人当たりGDBで日本は2022年に台湾、2023年には韓国を下回る見込みにもかかわらず、国民の豊かさより軍事優先とし、社会保障は切り捨てる政策を次々と打ち出し、全く具体性のない「異次元少子化対策」を発表して、国民を愚弄している。
     5人の著者の危機感、「日本はこんな状態ですが、本気で戦争の準備を始めるのですか?」と投げかける。戦争は、いつもご高齢の政財界が結託して、壮年層が指示を出して命令し、生活困窮する青年が犠牲になり、最終的には非戦闘員である高齢者や女性、子供たちに甚大な被害が生じる。ドイツのワイゼッカーの名言を引用すると「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。」という、歴史の教訓から学べないのだろうか。はたまた、歴史は繰り返されるのだろうか。悪しき歴史を繰り返さないために、我々は学び、知り、理解し、行動することが必要だ。民主主義や表現の自由がある今、行動し、声をあげ、SNSなども活用しよう。NO WAR!

  • 東2法経図・6F開架:392.1A/O45n//K

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著者プロフィール

おかの・やよ
同志社大学グローバルスタディーズ研究科教授。
政治学、政治思想。
著書に
『法の政治学』(青土社)、
『シティズンシップの政治学』(白澤社)、
『フェミニズムの政治学』(みすず書房)、
『戦争に抗する――ケアの倫理と平和の構想』
(岩波書店)。
共著に『憲法のポリティカ
――哲学者と政治学者の対話』(白澤社)。
訳書に
アイリス・マリオン・ヤング
『正義への責任』(岩波書店)、
エヴァ・フェダー・キテイ
『ケアの倫理からはじめる正義論』(白澤社)など。

「2018年 『思想の廃墟から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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