弱者の哲学 (科学全書 49)

著者 :
  • 大月書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272401598

作品紹介・あらすじ

「弱者」という存在が社会と文化の在り方へ向けて投げかける問題の省察を通じて、人間存在の意味に新しい光をあてる。

感想・レビュー・書評

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  • FBで紹介されているのをたまたま見かけて、手に取りました。出版社HPでは、<現代をおおう効率万能主義は「弱者」をはじき飛ばす。本書は「弱者」の問題を窓口に、人間や社会や文化の基本的な枠組みを根本的に問い直し、「平等とは何か」にせまる>と紹介されていました。

    「能力に応じた」という当然のこととして受け入れられている中に入り込んでいる差別・抑圧的な考え、代理的あるいは推定的な意思が介入して自己決定の構図が崩れてしまっている現状、「天は人の上に人を造らず」と唱えた福沢諭吉が数年後には優性思想を公言した事実等、深い内容を提起する本の内容を行ったり来たりしながら読んだので、とても時間がかかってしまいました。

    23年前に書かれた本ですが、相模原市の障害者施設における殺傷事件やナチスによるT4作戦、出生前診断に関わる現状、障害者観等、現代に直接つながる力を持った本だと思います。

    そばに置いておき、自分を社会を見つめ直すのに時々読み返そうと思いました。

    難しい本です。でもお勧めです。

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著者プロフィール

1954年,神戸市生まれ。社会哲学・生命倫理学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会福祉法人いぶき福祉会評議員。現在,岐阜大学地域科学部教授(2020年3月31日定年退職)。
著書:『「弱者」の哲学』大月書店・1993年,『現代平等論ガイド』青木書店・1999年,『平等論哲学への道程』青木書店・2001年,『いのちの平等論――現代の優生思想に抗して』岩波書店・2005年,『哲学塾 新自由主義の嘘』岩波書店・2007年,『平等の哲学――新しい福祉思想の扉をひらく』大月書店・2010年,ほか。
共著・編著:『哲学する〈父〉(わたし)たちの語らい ダウン症・自閉症の〈娘〉(あなた)との暮らし』(藤谷秀との共著)生活思想社・2013年,『なぜ,市場化に違和感をいだくのか?――市場の「内」と「外」のせめぎ合い』晃洋書房・2014年(高橋弦との編著),『社会権――人権を実現するもの』大月書店・2017年(吉崎祥司との共著),ほか。

「2020年 『いのちと平等をめぐる13章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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