リキッド・モダニティ: 液状化する社会

  • 大月書店
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本棚登録 : 284
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272430574

作品紹介・あらすじ

重く堅固な、「ハードウェア」型近代から、軽く柔らかな、「ソフトウェア」をキーワードとする時代へ。ゆたかなイメージを示しながら、著者は、「いま」という時代がどこへむかって流れてゆこうとしているのかを描きだす。現代のもっとも創造的な思想家による、はげしく変転する社会・政治生活条件についての才気あふれる分析。

感想・レビュー・書評

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  • 難しかった…でもこれを読んだことでいろんな理論がめっちゃくちゃわかりやすくなった気がする!頑張って読んでよかった

  • 人生で一番真剣に向き合っており、最も感化されている本。

    社会や共同体にソリッドな範型(例えば、学歴社会、身分社会、ムラ社会)が存在していた時代には安定があったが自由はなかった。他方、社会から画一化されたライフコースやライフスタイルがなくなり流動化した現代では安定はなくなったが自由となった。自由であることは孤独であることを意味する。
    本書は、流動化する現代の構成する生の諸相、つまり個人、空間/自由、労働、共同体に関して知見と弁別の枠組みを与えてくれる。

    特に、自分の立脚点に一貫性を持つことができない状態、絶えず空隙を探す状態をイス取りゲームに喩えた表現はいいえて妙である。

  • タイトルに惹かれて購入しました。産業革命以後の近代が「固体」的な社会だったのに対して、ポストモダンと呼ばれる現在は社会が「液状化」している、ということで、それをいくつかの視点から論述しています。全般的に説得力を感じましたが、欧米社会を念頭に置いているような記述が多く、日本はそこまでではないだろう(つまりバウマン流に言うならまだ固体だ)という箇所もあったかと思います。例えば「解放」の章で、各人のアイデンティティが与えられるものではなく、「獲得するもの」に変化したとありますが、これはまさに比較文化論の中の権威に関係していて、欧米諸国ではバウマンがいうようにachieved status(達成されたステータス)が重視されるのに対して、日本や中国などでは依然としてascribed status(与えられたステータス)が重視されます。つまりバウマン流に言うなら日本や中国はまだ社会が「固体」に近いのだということになるのかもしれません。液状化社会における個人化の定着、という論調もまさに同じで、比較文化論的に言えばアジアの国々の多くは依然としてコミュニティ(あるいはWe)が重要であって、個人化が定着しているとは言えません。

    つまり本書はかなり欧米を念頭に置いた社会分析だと感じるわけですが、日本はアジアの中でも特に西欧化が進んでいますので、バウマンの論調があてはまると感じる面も多々ありました。つまり、日本が仮にさらなる西欧化を進めるとしたら、それがもたらすであろう、あまり心地よくはない帰結(これは私個人の感想で、液状化社会が望ましいと考える日本人もいるとは思います)を見ているかのようでした。

    そうなると、仮に日本の社会がさらに液状化した場合、どうすれば良いのだろうと考えるわけです。おそらくいくつかの策はあって、社会にダムを作ることで少なくとも外に溢れ出してしまうのを防ぐ、あるいは川にも流れが緩やかな箇所があって小魚はそのような場所を好むように、液状化した社会の中に流れが緩やかな領域を構築して、社会弱者を守るための場所を作る、あるいは本書でも書かれているように、自身が液状化した社会を満喫してしまう(あたかも荒波を乗りこなすサーファー。これはかなりのバイタリティを必要とするでしょう)、などの選択肢があるのではないかと感じました。欧米ほどではないが、液状化が進んでいる日本、そして日本人にとっても、どう対応すべきかを考えさせられる良書だと思いました。

  • [出典]
    「スペキュラティヴ・デザイン」 アンソニー・ダン他

  • 新自由主義の台頭、グローバル資本主義、ハードウェア社会からソフトウェア社会へ

  • バウマンの本は、いろいろ読んでみたけど。
    社会学の本って、いつ読んでも、だから何なんだ?というカンジになるなー。

  • とっても読みやすかった。皮肉がきいてておもしろい。

  •  産業革命以来の近代を固体的(ソリッド)な近代と呼ぶ。それに対し現代を流動的(リキッド)な段階とする。個人や時間・空間、仕事、共同体…明確な枠組みが存在した固体的近代に対し、現代ではそれらが流動的になり未来への展望が薄くなる。
     リキッドモダニティーに変化した現代社会が、時間・空間、仕事、共同体のそれぞれの視点においてどのような影響を人々に及ぼしたかを明らかにする書物。
     「われわれの生きる近代は、同じ近代でも個人、私中心の近代であり、範型と形式をつくる重い任務は個人の双肩にかかり、つくるのに失敗した場合も、責任は個人だけに帰せられる。そして、いま、相互依存の範型と形成期が溶解される順番を迎えている。」
     新しいコミュニティーの創出によって「私」の「公」侵略を防ぎ、両者のバランスの取れた社会をどう形成していくか?

  • 分類=社会。01年6月。

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