リキッド・ライフ: 現代における生の諸相

  • 大月書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272430741

作品紹介・あらすじ

廃棄に怯えつつ、個性を求める現代人。消費の永久運動に組み込まれたわれわれは、そのなかでどう生きるのか?現代に潜む悲惨と希望への社会学的洞察。

感想・レビュー・書評

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  • 先年、91歳でこの世を去ったZygmunt Bauman。
    私は本書で初めてその理論、思想に触れることができたが、その後すぐに、いくつもの邦訳を手に取ることになった。

    著者の方法論や語り口、”Liquid Modern”の概念、社会の課題に対する姿勢、どれもこれ以上なく共感した。
    また、古今の社会理論が広く参照され、例示されているため、新たな出発点にもなった一冊。

  • 哲学

  • リキッド・ライフとは、液体的・流動的な生活であり、
    リキッド・モダン社会における生のあり方である。

    流動的な社会。

    コミュニティについて考えるにあたって手にしたバウマンの書ですが、
    社会の流れ、時代の流れを考える上で、
    興味深い1冊でした。

    リキッド・ライフを考えるにあたって、
    鍵となる考え方がいくつか出てきます。

    根底にあるのは、消費主義症候群であり、
    ピエール・ブルデューが指摘する不安定化戦略でしょうか。

    支配層が、私たちを予測やコントロールしにくい状況に陥らせていて、
    経済が消費を促すために、絶えず新しいものを消費するよう、変化するよう強いてくるというものです。

    資本主義の弊害、というのはよく聞く話ですが、
    変えなくてもいい部分まで、変えるように促されている社会というのを、あらためて考えさせられます。

    持続性や継続よりも、目新しさや一時性を価値におくのが、
    消費主義症候群だと指摘しています。
    この辺については、持続可能な社会の模索へ、社会がふたたび変化しようとしている部分かもしれませんね。

    リキッド・モダン文化は、かかわり合いの解消や、忘却の文化であり、
    共同体のファクターになるのは「売れっ子」。
    弱い紐帯であるとのこと。
    コミュニティをつくっては解消して、つくっては解消して、流動的に渡り歩く社会なんでしょうね。



    リキッド・ライフについて、
    消費主義の影響や説明が結構濃く書かれていて、
    今の社会を構成している要因はそれだけだろうか、という疑問は残りますが、興味深いです。

    その上で考えるのは、
    流動的な社会をどう渡り歩いていくか、
    予測不可能な未来をどう乗り切っていくか、
    というスキルよりも、
    社会をどう形成していくかというエンパワーメントといった社会的力の方が大切だろうなということでしょうか。

    この流動的な社会のスピードに乗り遅れると生きていけない、
    グローバル化と資本主義経済の中では発展しか生きる道がない、
    というその言説自体を、どう乗り越えて、どんな社会をつくっていけるかという方こそ、頭を使って考えるべきところなのでしょうね。

  • ナチズムとコミュニズムとキャピタリズムを実体験してきた老人社会学者による考察。
    歴史の生き証人だね。

  • リキッドモダニティの時代をいかに生きるのか

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著者プロフィール

1925年、ポーランドのポズナニのユダヤ人家庭に生まれる。ナチス侵攻によりソヴィエトに逃れ、第二次世界大戦後ポーランドに帰国。学界に身を投じワルシャワ大学教授となるが、68年に反体制的知識人として同大学を追われる。イスラエルのテルアヴィヴ大学教授などを経て、現在リーズ大学名誉教授、ワルシャワ大学名誉教授。現代の社会学界を代表する理論家である。邦訳書に『個人化社会』(青弓社)、『コラテラル・ダメージ――グローバル時代の巻き添え被害』(青土社)、『コミュニティ――安全と自由の戦場』(筑摩書房)、『リキッド・ライフ――現代における生の諸相』『リキッド・モダニティ――液状化する社会』(ともに大月書店)、『廃棄された生――モダニティとその追放者』(昭和堂)など多数。

「2012年 『液状不安』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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