Scilab/Scicosで学ぶシミュレ-ションの基礎: 自然・社会現象から、経済・金融、システム制御まで

  • オーム社
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784274204876

感想・レビュー・書評

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  •  MATLAB/SimulinkのクローンであるScilab/Scicosの操作方法とそれらを用いたシミュレーション方法を解説している。
    シミュレーションの準備段階としてScilab/Scicosの操作方法とシミュレーションで使用する数学の知識――行列、確率・分布、ラプラス変換など――の概要を説明している。そしてようやく自然科学モデルや経済・金融モデル、フィードバック制御などのシミュレーションをしていくのだが、数学の知識を理解していることを前提としているため非常に難しい内容となっている。しかしながらこの難しさは、現象を分析し、数式化して厳密なシミュレーションを行なっているということの現れでもある。すなわち、それらしい結果の出る見せかけのシミュレーションではなく、正当なシミュレーションの方法はどのようなものであるか、正当なシミュレーションはどのようになされるべきであるかを伝えようとしているのである。
     読み進める、あるいは実際に試す上でのもう一つの大きな障害は方程式からScicosのブロック線図への変換である。どの例においても方程式とブロック線図が示されているため例示されているものを試すには特に問題はないのだが、方程式からどうやってブロック線図を導き出すかの説明が無いため、自分でシミュレーションをしようとする場合にブロック線図を作ることができないという問題がある。すべてのブロック線図とは言わないが、いくつかのブロック線図については、方程式からの導き方を説明するべきだったと思う。
     発行されたのが2008年で使用しているバージョンが4.1.1ということもあり、現在のバージョンとは大きく異る部分も多い。また、先に述べたように方程式からブロック線図の導き出し方の説明がなかったり、そのほか説明が足りないと感じるところもいくつかあった。著者らはシミュレーションの方法に主眼を置いているのは内容を見れば一目瞭然であり、道具の使い方は副次的なものと考えているであろうことは「Helpを参照」という指示からも想像に難くない。とはいえScilab/Scicos、特にScicosの操作方法をひと通り解説している書籍はほとんどない以上、Scilab/Scicosの操作方法については本書に頼らざるを得ない。道具の使い方の説明を充実し、最新バージョンに基づいた改定版が発行されることを期待したいところだ。

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