モーツァルト ドン・ジョヴァンニ (名作オペラ・ブックス 21)

制作 : アッティラ チャンパイ  ディートマル ホラント 
  • 音楽之友社
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784276375215

感想・レビュー・書評

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  • この男の辞書に「狼狽」はない


     私は全くオペラに詳しくないので、ここには本当に恥ずかしい感想を残すばかりなのだけれども……。有名な「ドン・ジョヴァンニ」とは誰なのか、まさか知らないとも言えないな~と、一般常識を身につけるべく読んだ次第です。

     ドン・ジョヴァンニ、それは世界各国の女性を次々に無差別誘惑してきた、希代の女たらしだったのだ! 彼の召使が所持している女性の「カタログ」は圧巻です★

     ところが、若く美しいドンナ・アンナが、彼の不敗伝説に最初の影を落とします。その夜、彼はドンナ・アンナの父親に決闘を迫られ、刺し殺してしまうのです。
     懲りずに女遊びを繰り返そうとするも、今度は前妻ドンナ・エルヴィーラが、彼を追いかけ追いつめます。

     女好きにして殺人者にもなってしまったドン・ジョヴァンニは、悪人の烙印を押され、悔い改める様子も見せないまま最期をむかえます。信念を曲げることを知らない男。ドン・ジョヴァンニの辞書に「狼狽」の二文字はない!

     これなのでしょうね、女たちが簡単には打ち破ることのかなわぬドン・ジョヴァンニの魔力とは。社会が、時代が、何を善とし何を悪と決めつけても、彼が従うのは本能。ゆえに、底抜けの明るさと力強さに満ちて輝くのです☆

     しかし、その男が地獄の炎に包まれる。これまで無邪気すぎたジョヴァンニの悲劇です。復讐を望んだ者たちは、いざ彼を失ってみると衝撃を隠せません。あのように真に快活な人物と再び会うことはないでしょうから。

     意外なほど、ドンナ・アンナの存在感は薄いです。自分の父の復讐であっても許婚にまかせ、自分の悲しみにばかり沈んでいるのです。当時はこのように「身をまかせる」女性が好まれる傾向にあったのでしょうね。でも、そのせいで後半、彼女の扱いはさほど重要ではなくなっていきます。
     やっぱり女はドンナ・エルヴィーラですよ。自ら悩み、自ら行動するドンナ・エルヴィーラ万歳!

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