- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784286102993
感想・レビュー・書評
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「神ダーリ」。狐憑きならぬ神憑きの現象を指す言葉だ。本土では余り知られぬ現象だが、そのような現象に苛まされている人は存在する。
本書は神ダーリとなった市井の能力者と、呪詛との戦いを描く小説だ。
実話を元に書かれたこの小説は日本最古の霊山・三輪山を舞台に、古代の神々のあり方と、それに対する呪詛がリアルに描かれ、本当の霊能者の有り様や、今もある呪詛を知ることで、既存の宗教観や霊的世界へのイメージを根底から覆す画期的作品と言える。
小説としても平易で読みやすい文章で知らぬ間に引き込まれ、一気呵成に読み上げてしまう魅力ある作品である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ネットで話題になっている小説。
著者は怪奇譚の収集家であり、それをHPで発表している。怪異系HPとしてはネットの黎明期から存続する老舗で「夢想庵」と言うHPである。検索すればTOPに表示される。
著者は認めていないが、本物の霊能者であることは隠しようが無く、収集して発表する話も選別の基準が他の怖い系とは違うため独自性がある。
その著者が小説の執筆を始めた処女作が「黒い禊ぎ」である。「神ダーリ」と言う神に憑かれる現象を取り上げた初めての作品で、多くの本物の能力者がこの作品を読みレスを残している。連載時より出版を望む声が多かったが、漸く商業出版された。著者の豊富な怪異体験がふんだんに使われ、本物の霊能者の戦いがリアルに描かれている。
エンターティメントとしても楽しめる作品だが、深いメッセージが籠められているので、読み返す度に発見がある。
神を見捨てた日本人が、神を取り戻す術が描かれている。
読み手の力量で評価が変わる作品だが、おもしろさは保証するので、ご一読をおすすめする。