政治神学 主権の学説についての四章(日経BPクラシックス) (NIKKEI BP CLASSICS)
- 日経BP (2021年11月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784296000364
作品紹介・あらすじ
「主権者とは、例外状態について決定を下す者のことである。」
この有名なテーゼで知られるシュミット1922年の作品。以下は、訳者あとがきから。
やがてシュミットは、一九三二年の『政治的なものの概念』において、例外状態が発生したかどうかを決定する主権者は同時に、「友・敵関係による結集を行う決定を下すことのできる統一体」としての政治体であると考えるようになる。誰が友であり、誰が敵であるという政治的な決定を下す主体は主権者としての政治体なのである。主権者は例外状態について決定を下す法的な主体であると同時に、誰が敵であるかを決定する政治的な主体でもあるのである。(中山元「緊急事態宣言と『例外状態』」)
■目次
1・主権概念の定義
2・法の形式および決定の問題としての主権の問題
3・政治神学
4・反革命の国家哲学について
(付録)「中性化と脱政治化の時代」
1・中心領域の順次の交替
2・中性化と脱政治化の諸段階
訳者あとがき
緊急事態宣言と「例外状態」(中山元)
感想・レビュー・書評
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「主権者とは、例外状態について決定を下す者のことである。」
非常に印象的な一文から本書は始まる。「例外状況とは、現行の法律では規定されていない状況であり、極端な緊急状況とか、国家の存立が危ぶまれる状況などとして示すことができるだけであ」る(14頁)として、正にそのような例外状況に国家の本質が示されるとして、以下、主権の問題について、これまでの主要学説を紹介しながら論じていく。
ケルゼンくらいは主要著作を何冊か読んだことはあるのだが、ケルゼンのほか、クラッベ、ヴォルツェンドルフ、カウフマン、メルクルなどの説とそれに対する著者の考えが説かれている第二章「法の形式および決定の問題としての主権の問題」のところは、一読したくらいでは十分理解ができなかった。
第三章「政治神学」は、「現代の国家論の重要な概念は、すべて世俗化された神学概念である」という、これまた印象的な文章で始まり、神の概念と君主の概念、さらに主権者の概念の関係について論じられ、第四章「反革命の国家哲学について」に続いていく。
各章の叙述は何とか追いかけていったのだが、本書の構成、展開の意味合いが良く分からなかったので、消化不良の状態で終わってしまったのが残念。
付録の「中性化と脱政治化の時代」では、次のような考察がなされる。我々の精神生活において、中心領域の交替が起こってきたこと、すなわち神学(16世紀)→形而上学(17世紀)→道徳(18世紀)→経済(19世紀)という段階を経て、様々な領域の中性化が進んできた。そして現在はさらに、もっと中性度の高い技術(20世紀)の段階になってきているが、果たしてそれにより脱政治化(対立がなく、協調が進み平和となること)となるのか、とシュミットは問う。
シュミットはナチとの関係により毀誉褒貶が激しいが、危機の時代について真剣に考えた人間であったことは、本書を読んでも感得できた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ファシズムの原理とか思ったが、難しくてこれが読めるのはそうとな人。
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東2法経図・6F開架:311.2A/Sc5s//K