第三のチンパンジー 完全版(上) 人類進化の栄光と翳り (日経ビジネス人文庫)

  • 日経BP 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296113002

作品紹介・あらすじ

何がヒトを人間たらしめるのか?
ダイアモンド博士の名著、完全版!
王立協会科学図書賞受賞作

宇宙からきた生物学者は、ヒトを「第三のチンパンジー」に分類するだろう。なぜなら、ヒトとチンパンジーの遺伝的距離は驚くほど小さく、非常に近い関係にある鳥同士よりもずっと近い関係性だからだ。だが、わずか数万年の間に、ヒトは人間へと進化した。何が人間とチンパンジーとを分けたのか? ダイアモンド博士の原点とも言える名著に、原書ペーパーバック版のために書き下ろされた補遺2点も収録した完全版。王立協会科学図書賞受賞作。

「宇宙からきた動物学者は一瞬にして、ザイールに棲むボノボ、それ以外の熱帯アフリカに棲むコモンチンパンジーと一緒に、私たちを単に第三番目のチンパンジーとして分類するでしょう」(本書より)

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて、本当に楽しい。
    例示のセレクトがいいから
    納得しながら論旨に身をゆだねられる。
    ヒトの特徴がどこから生じているのか、
    歴史をたどる本。
    初めて知る話が次から次へと
    出てきました。

  •  人類の進化と文明について本書で取り上げられた項目はその後、ヒトの性行動については『セックスはなぜ楽しいか』で、文明の勃興、崩壊については『銃・病原菌・鉄』や『文明崩壊』で詳細に論じられることになるが、本書は正にダイアモンド博士の原点とも言うべき一冊である。

     本書の主題は次のように示されている。

      ヒトという種が、短い間に
      単なる大型哺乳類の一種から世界の覇者へと
      どのようにして変化し、
      また、その進歩を一夜にして
      ふいにするような能力を
      どのようにして身につけることになったか

     上巻では、ヒトという動物と類人猿との系統関係や進化のありようについて、またヒトの性行動とライフサイクルの変化について取り上げられる。

  • 第三のチンパンジー、というタイトル、??でしたが、進化の系統樹では、ボノボとチンパンジーの方が新しくて、人を系統樹で見た場合、何も知らずに地球にやってきた宇宙人から見ると(客観的に見ると)第三のチンパンジーに分類できるということに、まず、驚きました。
    第三のチンパンジー、そういう視点から見ると、いろいろ新鮮な発見もあり、面白いですね。

  • 非常に古い本で、古さをきっちりと感じさせる。
    進化に関する説の古さだったり、差別的な表記だったり。
    かつ筆者も若い頃であり、性への興味がすごい。溢れ出ている。

    筆者の専門である人類の進化を性の切り口で整理することも多く、若かったんだなと思う。

    一方トピックとして面白いものも多い。
    特に面白かったのがピジン、クレオール。

    複数の言語が混じり合い、一つの統一言語となる過程や実際そうして出来上がった言語(インドネシア語)など、非常に興味深い。

    そういえばパトワもクレオールだなと思う。

  • 人の遺伝子の98%はチンパンジー。
    残る2%が人を人にしている。
    人は賢いのか馬鹿なのか。

  • 発話 音声 文字の発明

  • ヒトと動物の違いは何か、について人類学的な様々な角度から考察。実はホモサピエンスは類人猿類で最後に分岐されたわけではないこと、高度な技能を音声機能の進化により伝達できたことがはじまりであること、口伝だった時代に大事だった年寄り、高度な技術の蓄積が子どもの長い未熟期間につながり、オスもメスと協力して長い子育てをするようになることで、乱婚ではなくなること、などなど、仮説ではあるが壮大なつながり、構造の基、文化や社会が形成されているという、構造主義にもつながる考察が多くて興味深い。自らの遺伝子をいかに残すか、の共通したルールフレームから解釈できる体系を切り開いたダーウィンは本当に歴史を変えた転換点を作ったんだ、と改めて感嘆。

  • 芸術の起源と、様々な動物の雄雌がどうやって配偶者を見つけるか(特にアズマヤドリ)の話が興味深かった。
    序盤の、人間の雄雌の性器の大きさについての言論も面白かった。

  • 人生での出逢いについて、6歳頃の出逢いについて。長女の6歳頃の環境について。など、あまり振り返ったりしなかった時期について、真面目に思い出そうとしました。そうか、あの人か?なんて。

  • 第1部 単なる大型哺乳類の一種
    第1章 3種のチンパンジーの物語
    現代の創世記
    ヒトと類人猿の系統関係
    分子時計
    チンパンジーの人権問題
    第2章 大躍進
    中石器時代アフリカ
    話し言葉ー大躍進の引き金
    文化的進化のスピード
    第2部 奇妙なライフサイクルを持った動物
    第3章 ヒトの性行動の進化
    性の脳
    家族の起源
    精巣とペニス
    第4章 浮気の科学
    婚外のセックス
    鳥の浮気
    第5章 どうやってセックスの相手を見つけるか?
    乱婚→選り好み
    異性の親
    第6章 性淘汰と人種の起源
    人種の多様性
    自然淘汰の限界
    第7章 なぜ年をとって死ぬのか?
    長寿と死と閉経
    最適化
    第3部 特別の人間らしさ
    第8章 ヒトの言語への橋渡し
    言語の特徴
    ピジン→クレオール
    第9章 芸術の起源
    芸術の役割
    ゆとりと芸術

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著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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