- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784296114511
作品紹介・あらすじ
●さらに求められる「アサーティブ」な会話
「アサーティブ」とは「自分を主張する」という意味だが、ここでは、相手を尊重しながらも自分自身の意見を伝えるという意になる。組織の多様性、そして心理的安全性が言われる職場において、誰もが臆することなく、一方で誰もが相手を追いつめることなく、意見を言える環境が求められている。
在宅勤務が増えて、オンラインやメール主体のコミュニケーションが増えると、発言がしにくかったり、顔が見えないことによる攻撃的なコミュニケーションが増える可能性がある。アサーティブ・コミュニケーションの考え方は10年ほど前に日本に導入されたが、いま改めて、そのニーズが増しているといえる。
本書は、『日経文庫 アンガーマネジメント』の著者が、怒りをうまくコントロールした先にあるコミュニケーションとして、アサーティブ・コミュニケーションの考え方と実践法を語る。
●職場のケースを中心に
アサーティブ・コミュニケーションは、アンガーマネジメントの延長戦上にあるとも言える。相手を尊重し、自分の思いを抱え込むことなく語れば、他人への攻撃や自分へのイライラを押さえ込むことができる。アンガーマネジメントでは、「~こうあるべき」という思いが相手を許せないという行動につながっていたが、アサーティブコミュニケーションでは「アンコンシャス・バイアス」という無意識な思い込みが、相手を必要以上にやっつけたり、必要以上に遠慮してしまったりする原因となる。
本書はビジネスの現場視点から書かれているのが特徴。事例が豊富で、コンパクトに基本がわかる1冊。
感想・レビュー・書評
-
お互いの立場や主張を大切にした自己主張・自己表現「アサーティブ・コミュニケーション」を解説する一冊。アンガーマネジメントの手法も交えてアプローチしているのが特徴。基礎から実例まで幅広く学べる。
伝える力を高めたいと思っていながら、相手には話を聞いてほしいと求めているという矛盾の指摘にハッとさせられた。話す技術以上に聴く技術が大事というのは見落としがちだなと。相手の意図を確認・理解し、その上で自分の主張もする。主張する前に紙に書いて思考を整理するのも重要。
怒りを客観視するのも肝だなと。怒りという感情の奥で、自分が何を伝えたいのか、何を大事に考えているかを確認する。まずは自分との対話から始める。また、「しっかり」「思いやりのある」など、使いがちだけど意味が人それぞれな言葉に注意というのも納得。具体的に伝えることって意外とできてないと痛感した。
以下、印象深い文章を引用して終わります。
p.49
怒りとは、自身の「べき」が思う通りにならないときに抱く感情です。「べき」とは自分の理想、願望、期待、譲れない価値観を象徴する言葉のことです。怒る必要のあること、ないことの線引きを明確にすることは、怒りを扱ううえで重要になります。
p.64
アサーティブ・コミュニケーションの土台は、相互尊重と相互信頼です。相互信頼という言葉には、自分自身が自分を信頼し、相手のことも信じるという意味が含まれています。
たとえば、相手に耳の痛いことを言わなければいけないとき、何か改善してほしいことを要求するといった言いにくいことを伝えるときには、「わたしは相手にわかるように伝えられる」という自分への信頼と、「この人は耳を傾けてくれる」という相手への信頼の両方が必要です。
p.90
「交渉」は「NO」から始まるコミュニケーションです。
p.120
「自分が正しい!」探しをすると、人との対話が成立しなくなる詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大事なことがギュッとまとまっていて、アサーティブコミュニケーションを理解するはまずこの一冊で十分な気がします。他の本は読んで無いからわからないけども。
私自身が怒りっぽいことや、現在職場の上司のことでモヤモヤしていたので、その状況を思い浮かべなから読みました。
怒りっぽい私は自分の「べき」が強いんだろうな。これを客観的に怒る必要のあること、ないことの線引きを明確にすることがまず大事。
自分の言いたいことを押し通すことをゴールにするのではなく、相手に自分の主張をアサーティブに伝えることをゴール設定にすることがこの本では強調されています。
アサーティブとは相手を尊重しながら自分の意見を主張することですね。
ちょっと難しい相手でも「この人だったらわかってくれる」と心のどこかで相手を信じることが大切だし、逆に相手を見下す気持ちも伝わってしまうので注意です。
何か無理な要求をされたり、異なる意見を言われたりしたとき、「無理です」と臨戦態勢になるのではなく、「こういうふうにしてほしいということですよね」 と相手に理解を示すことを習慣にしたいです。 -
■目的
勝間和代氏の「断る力」で紹介されていたので詳しく知りたかった。
自分のコミュニケーションの質を高めたかった。
■要旨
アサーティブコミュニケーションは「対等な関係」を築くためのもの。
礼節はわきまえつつ、言いたいことはしっかりと伝える。
相手の意見もしっかりと聞く。
必要以上にへりくだったり、コントロールしようとしたり、押し付けようとしない⇒対等な関係
「丸く収めること」がゴールじゃない
■参考になった点
●自己分析
・自分はどちらかというと、「非主張的な自己実現」派。
つまり、相手に気を使いすぎたり、察してほしい、的な感じ。
↓どんなデメリットがあるか
・おどおどしていたり、自信がなさそうだったり、へりくだったりすると、相手も話が耳に入りにくくなる⇒コミュニケーションを阻害している。
・「こんなことを言ったら相手に嫌われるのでは?」「関係が壊れるのでは?」というのは相手を信頼していない証拠でもある。
・「嫌われないこと」がゴールになりがち
・言葉と表情を一致させる。断る時に笑ったりしない。
・要点を整理して簡潔に言う。余計な飾り言葉を付けない。
・相手の態度は自分の態度の裏返し。相手の態度が気に入らないのならば、自分が相手にその態度を許している、と考える。
・変にへりくだった態度は、相手をコントロールしようとする気持ちの裏返し。
●相手に言いにくいことを伝えるとき
・”叱る前に褒める”、は逆効果。相手から見ればコントロールされると警戒してしまう。
・叱るときは感想を入れず、事実のみを伝える。その上で改善点を提示。
●攻撃してくる人に対して
・攻撃的な自己表現や威圧をしてくる人は、自分の弱さを防御しようとしている攻撃(反応)である場合が多い。
●相手に無理なお願いをされたら
・無理な同意は必ず自分にしっぺ返しが来る。後々更に大変になる。
・いきなり”反対”とか、臨戦態勢に入らない。
「XXさんはYYと考えているのですね」といったん受け止める。
・その上で「なぜできないのか」を明確化する
-
とてもよくまとまっていて学びのある本でした。
本書では適切に自己主張を行うアサーティブコミュニケーションをするうえで知るべきこと・やるべきことが網羅されていますが、本書で良かった点は、どの項目にも共感度の非常に高い具体例があることです。
私が今まで読んだ類書だと究極的には精神論なものが多く、その書籍で想定されてない状況ではとるべき行動が分からず、混乱したり、逆に教えを忠実に守ろうとして誤った言動をとってしまうことがありました。
しかし、本書はそういった不足しがちな多様な状況がカバーされており、読者が思わず「こんなこと忘れてたけど自分にもあったな」と思える卑近な事例やケース(分岐)が大量に想定されています。そして、それら事例やケースには、アサーティブコミュニケーションの観点でいくならこうすべきだ、という正解例と不正解例が複数示されています。
まず、この点で類書と比較しても、どう自分に生かすべきかの直接的な学びに富んでいます。もちろん、その正解例に至るまでの思考プロセスも載っているため、納得度も高いです。
また、アサーティブコミュニケーションという対話のコンセプトも非常に共感できるものです。
これも類書でありがちですが、世の中には過度に自己奉仕的な思想であったり、逆に独善的な思想をもったコミュニケーション術を紹介する書籍が多く、私はそういった本を目にするたびに「これは世界の人々が平等に幸せになれる思想を持ったコミュニケーション手段なのだろうか」という疑念を絶えず、どこか不満を持ち続けてきました。
しかし、本書は「アサーティブ=自己主張」を上手に行うことで尊重し合い、信頼し合うことに重きを置くコンセプトで、(相手にアサーティブになることを求めてはいけないと本書は示されているのは重々承知しつつ)誰かが偏って不幸にならないような設計になっていて、その点が私は非常に感銘を受けました。
今後自分がどう準備しコミュニケーションをとるべきなのか方向性が一段階鮮明になったような感触があり、付箋を貼った個所を中心に読み返し、自分の振る舞いに繋げていきたいと思います。 -
私は自分の気持ちや伝えたいことが伝わらなくて歯痒いことがよくある。アサーティブコミュニケーションを読んで、その悩みを打開したいと思い手に取った。
アサーティブコミュニケーションは自分と相手への信頼で成り立つ。
アンガーコントロール著書の後に読む本としてもオススメだそうです。
怒りとは自分の「べき」が思う通りにいかないとき、願望・理想・期待・譲れない価値観を象徴する言葉。怒りを感じた時に有効なのが、アンガーログや三重丸で許せる範囲を3段階に分けること。いつ?どこで?なぜ怒ったのか?どう思ったのか?かき出し、自身の本当に望むことをわりだす。感情ではなくその望むことを〜してほしいと話せる努力をする必要がある。怒りで自分が正しい相手が間違っている!という主張をしても対話はできない。伝えたいことを伝えることを大切にするためにコミュニケーションスキルを得るべき。
自身にはバイアスがあることに気づくよう意識することは大切。変えるのではなく、いかに自身の思い込みやバイアスに気づくかが相手との対話をスムーズにする一歩である。
コミュニケーションとは自身の言いたいことが相手に伝わること。それを理解してもらうことなどは入らないため引き際を考えておく。
客観的事実と主観を分けて伝える。相手を責め立てず、伝えたいことだけ伝える。言わない言う選択は後悔するかどうかで選択、言わない選択もコミュニケーションの一つ。言わなかった時に自身の責任を持つこと、環境など他責にしないことが重要。
-
コミュニケーションスタイルを変えたいと思って手に取ってみた。文体は分かりやすくサクサク読めるのでいい感じ。
攻撃的なコミュニケーション取ってしまうことが多いので、事実と感情、聞く我慢…訓練したいと思う。あとは自分に自信を持つために…どうするかは別の本に期待
以下、気に止まったことメモ
↓
信頼関係はインサイドアウト
まず信じる姿勢から
褒める→叱るは無意味
日頃から褒める、叱るときは叱る
自己信頼ーそのための自己受容
自己達成度…サクセスログをつける
相手の意図を理解した後に自分の意見を述べる
同意できなくても理解する
解決ではなくアサーティブに伝えることをゴールとして考える -
コミュニケーション関連の導入のために読むなら★5かもしれませんが、個人的には何となく合わず。 丁寧にわかりやすくていいのですが、どこか教科書的に感じてしまい、実践のイメージが湧かなかった。事例も豊富にあげられているものの、果たしてそううまくいくか…と捻くれた見方になってしまったのは、ただ単に今の自分の置かれている状況とマッチしないこらかもしれない。少し寝かせてまた読んでみるつもり。
-
アサーティブ・コミュニケーションのポイントが簡潔にまとめられていて、サッとおさらいしたい時に重宝しそう。
一方で、ん?と思ったところも何点かあった↓
84『現在は、価値観も多様化してきました』
多様な意見が顕在化してきた・認められるようになった、の方がより正確なのでは
125『(相手のアンコンシャスバイアスによって嫌な気持ちにになった時に)直球で言葉を返してしまうと、相手に悪気がない場合、場の雰囲気を悪くしてしまう』
このセクションでは、相手に悪意がないこと、場の空気を乱すことがたびたび訴えかけられていた。「どう伝えるのが最適か考えよう」という結論には同意できるが、その過程で、自分が嫌な気持ちになったことを軽視し、波風を立てないことに重きを置いているような表現になっていたことに問題を感じる。
などなど -
全体的に納得感があるしサクサク読めるのが良かった
ただ、同じ内容の繰り返しだったり具体例が限定的過ぎて説得力が弱いかなぁと感じる点もあった -
気持ちのよいコミュニケーションを意識していきたい