30の名著とたどる リーダー論の3000年史 (日経ビジネス人文庫)
- 日経BP 日本経済新聞出版 (2023年8月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784296117444
作品紹介・あらすじ
本書は、孫子、プラトンからマキュアベリ、ドラッカーまで、リーダーシップ論の3000年史を名著でたどる。『自省録』、マキアヴェリ『君主論』、サミュエル・スマイルズ『自助論』、ジム・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー』、ジャック・ウェルチ『ウィニング 勝利の経営』、デール・カーネギー『人を動かす』、ドラッカー『チェンジ・リーダーの条件』など、不朽の名著を歴史順にたどり、どのように発展してきたのか探ります。
感想・レビュー・書評
-
日経ビジネス人文庫の歴史シリーズ。
30冊の名著を紹介しながら、リーダーシップの歴史を振り返る内容になっており、古典から現代の名経営者まで、紹介されている名著のバラエティに富んでおり、長い歴史を辿りながらリーダーシップの発展を学ぶことができます。名著に触れながら、歴史を振り返り、リーダーシップを学べるという一石三鳥の一冊となっています。
▼日本のリーダーはこのような難しい時代に直面しながら、成果を強く期待されているのです。舵取りが難しく、混沌としたこの時代には、リーダーシップの既成概念をいったん取り払い、より本質を見つめる必要があります。そのため、リーダーが果たす役割・機能の全体を俯瞰することも重要な目標の一つとして、本書は分析と解説を進めていきます。
▼どのような集団でも、必ず人によって動かされています。その意味で、リーダーシップは「人に関する戦略思考」と言えるかもしれません。「人に関する戦略思考」には、リーダーという立場そのものへの洞察も含まれています。リーダーとしてのあるべき姿を理解し、自分なりに規律を作り上げていくことは、何を優先しどんな方向を目指すのかを周囲に示し、成果を上げていくために必要なことだからです。
▼一方で、「人に関する戦略思考」には、成果の上がりやすい仕組みを作り上げるという視点も不可欠です。人は組織という枠組みに大きな影響を受けます。同時にロボットのようには動きません。そのためリーダーには、合理的思考をしつつ人の感情や意欲の源泉を知るという、2つの方向性を持った実務能力も重要になってきます。
▼リーダーは「自分という人」をリーダーに育て上げ、「周囲という人」を理解しながら、壁を突破し、時に大胆な飛躍を目指して周囲を鼓舞しなければならない難しい立場にあるのです。人によって動かされている組織で、最も重要な存在の一人がリーダーなのです。
▼直面する困難の姿が変わるとき、リーダーには既存の役割を超えた力が求められます。そのとき必要なのは、歴史的視野を元にした想像力です。自分が所属する集団が生き残るため、何が必要なのか。刻々と変わっていく問題の姿を正確に捉え、それを打倒する戦略を練る。リーダーは逆境に耐え、考察を巡らし、歴史を振り返り、そして行動していく。
▼彼らの物語から学ぶべき、最も重要なことはなんでしょうか。本書は、「突破口は私が創り上げる」というリーダーの自己認識だと考えます。
<目次>
序章:なぜリーダーシップは進化を続けたのか?
第1章:古代ギリシャの古典
(1)『オデュッセイア』『イリアス』(ホメロス)
(2)『国家論』(プラトン)
第2章:古代ローマの古典
(3)『人生の短さについて』(セネカ)
(4)『自省録』(マルクス・アウレリウス)
第3章:中国の古典
(5)『孫子』(孫武)
(6)『商子』(商鞅)
(7)『六韜』(六韜)
(8)『貞観政要』(呉兢)
第4章:近世の名著
(9)『君主論』(ニッコロ・マキャベリ)
(10)『反マキアヴェッリ論』(フリードリヒ2世)
(11)『言志四録』(佐藤一斎)
第5章:近世の名著
(12)『自助論』(サミュエル・スマイルズ)
(13)『ドイツ国民に告ぐ』(ヨハン・フィヒテ)
(14) 『支配の社会学』(マックス・ウェーバー)
第6章:産業革命後のマネジメント書
(15)『科学的管理法』(フレデリック・テイラー)
(16)『藁のハンドル』(ヘンリー・フォード)
第7章:20・21世紀の経営書
(17)『チェンジリーダーの条件』(ピーター・ドラッカー)
(18)『超優良企業は、革新する』(ロバート・ウォータマン)
(19)『ビジョナリーカンパニー』(ジム・コリンズ)
(20)『知識創造企業』(野中郁次郎/竹内弘高)
(21)『最高のリーダー、マネジャーがいつもかんがえているたったひとつのこと』(マーカス・バッキンガム)
(22)『習慣の力』(チャールズ・デュヒッグ)
第8章:名経営者のマネジメント書
(23)『プロッフェショナルマネージャー』(ハロルド・ジェニーン)
(24)『巨象も踊る』(ルイス・ガースナー)
(25)『ウイニング 勝利の経営』(ジャック・ウェルチ)
(26)『How Google Works』(シュミット)
第9章:20・21世紀の政治家
(27)『第二次世界大戦』(ウィンストン・チャーチル)
(28)『リーダーを目指す人の心得』(コリン・パウエル)
終章 極限状態で問われるリーダーシップ
(29)『アンデスの奇跡』(パラード)
(30)『アムンセンとスコット』(本多勝一)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こちら(↓)で書評を書きました。
https://www.rinen-mg.co.jp/web-rinentokeiei/entry-5558.html
古今東西のリーダー論のエッセンスを抽出したビジネス書……という意味ではよくある本だが、本書の独創性はその中から“リーダー論の変遷”を浮き彫りにしようとした企画意図にある。
求められるリーダー像は、当然のことながら、時代によって変わる。
封建社会と民主社会では違うし、産業革命前・後でも違う。
現代日本に限っても、昭和といまでは違うだろう。
そのような、時代によるリーダー像の変遷を辿ることによって、著者は“時代が変わっても普遍的なリーダーの条件”を浮かび上がらせていくのだ。 -
リーダー関連の名著の集約本。
-
図書館がおくる、「クラブ・サークル向けおすすめ図書」
クラブ・サークル名 Super Volunteer Circle
請求記号 336/Su
所蔵館 岡山キャンパス図書館