王の綽名

著者 :
  • 日経BP 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296118946

作品紹介・あらすじ

禿頭王、肥満帝、青歯王、合羽王、長脛王、金袋大公、ドラキュラ公、助平ジジイ……今も伝わる56人の王につけられた綽名から、近代ヨーロッパのなりたちがわかる。ゴシップとスキャンダルに彩られた、華麗で野蛮な中世・近世欧州史!『小説フランス革命』や『ナポレオン』をはじめ、スケールの大きな歴史小説で多くのファンを持つ直木賞作家・佐藤賢一氏が、中世から近世にかけてのヨーロッパの王の「綽名」にまつわる逸話を在位の時代順にひもといていく歴史エッセイ。1話=4ページのエスプリの効いたコラム集という趣きで、寄席の謎解きのように軽妙な語りが時空をまたいで逸話と逸話をつないでく。読んでいるとはっと掌を打ったり、思わず吹き出したり。本書に登場するのは、9世紀のフランス・ドイツ・イタリアの元となったフランク王国の王から19世紀の二月革命で廃位されるフランスの「市民王」まで56人。北欧のヴァイキングや戦乱やまぬイベリア半島の王も登場し、星雲状態だった中世ヨーロッパがほぼ現在の国々の勢力図になっていくまでの1000年が活写される。残虐非道な謀略、親子兄弟の骨肉の争い、結婚や世継ぎを巡る醜聞、そこにカトリック教会など宗教がからみ、時に100年も続く戦争に発展する。まさに血で血を洗う歴史である。「赤髭帝」フリードリヒ1世、「獅子心王」リチャード1世、「雷帝」イヴァン4世、「太陽王」ルイ14世……それぞれの綽名は在位当時の国情や世相を表している。それも華麗なゴシップと野蛮なスキャンダルに彩られた俗っぽさとともに。そして、王の綽名にまつわるうんちくも随所にちりばめられていて楽しい。たとえば――現在のウクライナの原型となるキーウ大公国の最盛期をなした「聖大公」の名「ウォロディーミル」は、ウクライナのゼレンスキー大統領のファーストネームだが、これをロシア語読みすると「ウラジーミル」、プーチン大統領のファーストネームになる。今もウクライナの首都キーウにそびえ立つ「聖大公」の銅像は、モスクワにも……

感想・レビュー・書評

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  • 面白いんだが、とにかく同じ名前が入り乱れて、何が何だかわからない。あまり関係性にこだわらず、綽名の由来を楽しめれば非常に楽しい本。私は各人物エピソードを読み終わるたびに年表や通史を見て確かめていたので、面白さ半減だったかな。

  • 図書館に早くから予約しておいたので、早目に借りられた。ありがたい。

    初読みの作家さんだが、直木賞作家さんらしい。

    は〜、やっと読み終わった、という感じ。
    しんどかった。
    元々興味のある分野だったのにも関わらず、全く面白くなかった。
    知っている王に関しては目新しいことは無いし、知らない王もつらつらと書かれていることに何の発見も面白さも無い。

    年代がほぼちゃんと時系列になって取り上げられていたことは救い。

    この著者の癖が独特だった。
    句点の次に「のみか〜」「そも〜」と文章が始まる。
    頻出だったのは「さておき〜」。
    ごめんなさい。
    この「さておき〜」が好きになれなかった。

  • ルイ一四世の太陽王とか、エリザベス一世の処女王などの馴染みのあるものから、「禿頭王」「大口女伯」とか、ただの悪口では?と思えるものまで、王、女王、時の権力者に付けられた渾名と、それにまつわるエピソードが綴られている。学生の頃に出会っていたら、世界史を覚える手助けになったのだろうか?

  • 近代ヨーロッパ56人の王の綽名が、エピソードとともに紹介されている。
    なかなか面白かった。

  • 西洋史を学んでいた当時「~~王」が多いなぁと思っていたけれど、実際はもっとたくさんいたようで。
    発想は面白く、これを日本史版でも読んでみたいけれど、一冊の書籍としては前半がつらいことつらいこと。家系図や肖像画、国の位置など、わかりやすくするためのあれこれが一切ないのは考え物だ。

  • ネットで見て気になり図書館で予約。著者見てこの人は、と思ったけれどやはり記憶にあるとおり癖がある文章。初めのほうで、いきなりマッカーサー、マクドナルドはスウェーデン系、とあるのにえええ?いきなり何書いているのこの人、と思いその後すっかり上の空になってしまったこともある。
    うーん、さらっと読んでも良いし、読まなくてもいい、かな。
    自分で買ったら(1700円税別)心穏やかではないな多分。予約者が多いから早めに返すか。

  • 王や王妃たち,さらには王子たちが、あまりにもたくさんいて,誰が誰やらわからない時にあだ名は役にたつ.性格や功績を表したのはもちろんのこと,不本意なあだ名であっても.作者のコメントも面白かったしヨーロッパの歴史をおさらいしているようなところもあって勉強になりました.勉強ついでに家系図のようなものがあればさらに良かったです.
    ブラジル皇帝ペドロ1世、全く知らなかったけれど、一番好感が持てました。

  • 288-S
    新着図書コーナー

  • 日経に連載してた頃から好きだった王の綽名。新聞連載毎回一人の王のエピソードを短めの分量にまとめないといけないから、端折ってわかりにくいところもあるけど、綽名を通して王の治世とその後の評価を読み解いていくのは面白い。青歯王デンマーク王ハーラル一世、ヴェール・ギャランアンリ四世とか好きだなあ。

  • 久々に世界史の勉強をやり直したいと思った本。綽名のついている西洋の王様のそれぞれの一代記を元に、その時代の説明が施されているが、中世の混乱がよく伝わってくる。
    私は、日本史では応仁の乱の前から戦国時代の手前まで、14世紀から15世紀くらいの混乱期、日本が今の日本のイメージになっていく時代が一番好きだが、西洋ではこの混乱が、その何倍もの時間に、何倍もの広さで行われていったということがよく分かる。もっと本格的に勉強していきたい。

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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