誰も書けなかった日本の経済損失

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299000583

作品紹介・あらすじ

「ダラダラ会議」や「サービス残業」など、企業が抱えている問題。
「ひきこもり」や「待機児童」「空き家」など、日本の社会が抱えている問題。

その多くが解決されず、今もなお放置され続けています。

これら「日本が抱える問題」は、日本経済にいったいいくらの損失をもたらしているのか。

なぜ、損失は日々垂れ流されたままなのか。

経済評論家として活躍する上念司が、誰も書けなかった
日本にはびこる「損失」に舌鋒鋭く切り込みます。

多くの人が気づいていない、「本当のムダ」を見破るための一冊です!



【日本にはびこる「損失」の数々】
◆ダラダラ会議
国内企業が無駄な会議にかけているコストの総額は……1兆7295億円

◆待機児童
出産後の女性が退職することで発生する経済損失は……12兆円

◆飲酒
過度な飲酒による社会的な損失額は……2兆7000億円

◆NHK受信料
NHKが無駄に貯め込んでいる現金の合計金額は……6617億円

◆ネット遮断
日本で1日システムがダウンした時の損失額は……1兆5400億円

◆ブラックアウト
北海道での2日間の大規模停電の損失額は……1582億円

◆有給休暇未消化
国内企業の年次有給休暇の未取得による損失額は……12兆円

◆消費税増税
2019年10月の消費税増税によって発生した損失は……4兆円



【「はじめに」より抜粋】
多くの人を犠牲にしながら
今日も損失が垂れ流される!

世の中に存在する問題は、その経済損失の規模と原因が
ほぼ特定されていて、しかも、その解決策は概ねわかっている。
ところが、なぜか解決策はなかなか採用されず、
問題は解決されないまま放置されている。

なぜなのか
その理由を一言で言うなら、問題が解決しないことによって
儲けている人々がいるからだ。そして、彼らは絶大な権力を持っている。
彼らを「利権を持つ人々」と名づけよう。
「利権を持つ人々」は日本のみならず、世界中に存在し、
問題解決を妨害している。

(中略)

「利権を持つ人々」は全体をよくすることにはまったく関心がない。
だから、財務省は東京五輪で得られる多くのメリットを増税によって
台なしにしても、何の痛痒も感じない。
国土交通省にとってオリンピック利権とは公共事業の利権であり、
その後、整備されたインフラや増加した訪日外国人によって
民間企業の商売が繁盛することは管轄外だ。

その無責任の連鎖が損失の垂れ流しを生むのだ。

感想・レビュー・書評

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  • サッと読めたが、単純にイマイチ。自身の思想に合致することをパッチワークしているように見えた。

  • 色々な経済損失の金額を具体的に明示している。
    ・引きこもり11兆円 40~64歳 60万人 平均7年
    ・東京五輪 東京ビックサイト未使用 1兆2千億円
    ・日本の分野別リスク 戦争・台風・洪水・市場暴落の順
    ・空き家を1件処分すると50万円の利益
    ・少子高齢化の対策は、デフレ脱却 GDPを上げる事
    ・韓国文大統領は、北朝鮮労働党の秘密党員
    ・気候変動 385兆円!

    22年8月再読 殆ど覚えていない

  • 2020/11/18:読了

    久しぶりに、内容のない本だった。
    何かテーマを決めて、いろんな数値をくみ上げて、経済損失がどのくらいある というのがテーマごとに、延々と続く。
    まともに読む気力が無く、ざっと魅してたら、サンド伊達の「カロリーゼロ理論」を思い出した。

    サンド伊達の「カロリーゼロ理論」に視聴者熱狂『カツカレーはカロリーゼロ!』 | ニコニコニュース
    https://news.nicovideo.jp/watch/nw3648269

  • ●もし財務省が経済全体のパイを大きくして、増えた分から利権を得るなら、ここまで批判しないだろう。しかし彼らは経済全体のパイを小さくするような愚策を導入しつつ、そこからより大きく利益を得ようとしている。まさに悪魔のような発想だ。
    ●これら「利権を持つ人々」は全体を良くすることには全く関心がない。
    ●経営者は労働の時間で忠誠心を評価するような考えは捨てた方が良い。先送り体質が長時間労働を生みやすい。
    ●長時間会議の無駄。プロセス重視、会議をした事自体に満足。
    ●奨学金で大学に行くメリット。生涯賃金の差7000万と借入額数百万。ただし、採用が減らない。入社後会社が潰れない、デフレにならないなど。大学に行くよりも、景気が良い時に良い会社に正社員として就職しまったほうが得なのではないか?
    ●日本では実業率が1%上がると、自殺者が2300人増える。引きこもりも増える。
    ●待機児童問題。そもそも保育園は補助金事業だ。徴収する保育料など全体の3%。だから設立には認可が必要。また保育料も統制されている。保育料を自由に設定して、補助金は消費者の世帯に配る方が良いのではないか。
    ●飲酒による、医療費や労働損失のコストは、酒税による収入より圧倒的に大きい。毎日ビール500ミリリットル程度なら大丈夫。
    ●現在タバコは医療費などのコストより、税収が辛うじてプラス。しかし減り続ける喫煙者と税収とは裏腹に、医療費コストが顕在化するのは20年後〜あまりよろしくない。
    ●現在NHKの純資産は8600億。公共放送のクセに、東北電力や三菱自動車や出光らと同規模。しかも内訳が金融資産なのだ。インフラ整備では無く。受信料はもっと下げられる。
    ●損保ジャパンには、ネット炎上対応費用に向けた保険が存在する。
    ●7pay頓挫。キャッシュレス還元が始まり他社クレカ使われると1%の手数料払わないといけない。自社システムの利点を失った。

  • 蓮舫さんの「国債は国民の借金」ツイートが大炎上していて、「初歩的な勘違い」とか「国家が発行した債権を日本人が購入しているなら民間にとっては資産だ」とか批判されているのを耳にして、「借金でないなら10万円なんて言わずにもっと大盤振る舞いしろよ」とか「それでもあとあと増税の口実にされる将来の国民の借金」なのかもと、いろいろ考えながら手にとったんだけど、まったく関係ない「睡眠と死亡リスクの関係」が目に止まってどうでもよくなった。
    男性は睡眠不足でリスクを高めるんだけど、女性の方は寝すぎるとよくないというのは初耳。

  • この本の著者、上念氏の本は今までにも何冊か読んでいます。公開情報を基に数字で自分の考えを述べてくれるので読んでいてイメージが湧きます。今回は上念氏が取り上げる数々の事象が、日本経済にどれだけの損失をもたらしているかを解説しています。

    すべての事象をすべて「カネ換算」して議論するのはどうかな、と思ったりもしますが、他の人に説明する場合、私の経験を通して最も有効的なのは「数字」だと実感している私は、彼がどのような根拠または推定をもとに、この本で紹介されている「数字」をたたきだしたか、今後の私の課題としたく思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・高卒者の人数を100とすると、50人が大学進学、37人が正社員就職・2人が非正規雇用、6人が大学院進学する。給料面で恩恵を受けるのは43人、生涯賃金の差は男性で6000万円程度、大学の学費および奨学金の金利がこの差額より少なければ大学進学のほうが得になる(p35、36)

    ・最大の問題は保育園が巨大な補助金事業である、公立保育所は支出が収入の4倍あり、赤字はすべて税金で補填される。私立認可保育園は9割以上は税金補填(p53)

    ・出産退職により一人当たり8300万円所得が減る、出産退職者が7.9万人とすると、経済損失は6.5兆円となる(p53)

    ・NHKが保有する資産のうち、放送に使われているものは半分程度である(p95)

    ・以前なら泣き寝入りするしかなかったが、ネット炎上のおかげで警察も相手にしてくれないような案件でも個人が戦う手段を得たことになる(p101)

    ・ソフトバンクグループの展開するPAY PAYは、売上6億円で368億円の赤字、371億円もの販売費および一般管理費、最終的には極めて利の薄い商売である(p119、122)

    ・フェイスブックの仮想通貨リブラがアメリカ財務省やFRBによって事実上差し止められている事実は重く見るべき、理由はマネーロンダリング対策が不十分(p121)

    ・国債を買う人は現金または銀行預金を国債を交換しているにすぎない、埋もれていた資金が復興事業というリターンの大きい事業に投資されることを意味する。一気に大量に国債を調達しても国民の財布になんの影響もない。もともとなんらかの資産を持っていた人がそれを国債と交換するだけだから、阪神大震災の復興事業10兆円の財源は国債により調達されたが、その後2年間は景気が良かった(p128、129)

    ・産業連関表によると生産活動に中間投入される電力はGDPの2.3%程度、逆数をとると約44、電力の代えが効かないとなると経済活動は、電力コスト1の投入を前提に、その44倍の付加価値を生み出している。1日の発電コスト:17億円とすると、これを44倍した791億円が1日の電力コストを消費して得られる経済的な付加価値(p135)

    ・空き家は危険度に関わりなく周辺100メートル範囲に悪影響を及ぼしている。法律が定義する「特定空家等」はあくまで倒壊の危険、または衛生上有害な空き家のみ。法律制定から4年経過しても118件のみ(p145)

    ・鉄道インフラが整備されたことで大量の船大工が失業したが、物流を廻船から鉄道に変えたことで、内陸部から大量の生糸、絹織物を輸送することができるようになった。これを海外に輸出することで多くの外貨を稼いだ。江戸時代の物流網では生糸等の製造販売、サプライチェーンは構築できなかった(p153)

    ・日本の年間休日数はフランスより多いが、フランスの有給休暇取得率は100%に対して、日本は5割なので日本の休日数は129日でフランスの137日より少ない(p156)

    ・日本の投資率が上がらないのは、モノに対してお金不足であるから。お金の不足によりお金の価値が上昇、人々はお金を溜め込んでモノを買わなくなる。モノが売れなくなりモノの値段が下がり企業収益は悪化する(p169)

    ・韓国はホワイト国認定解除となったが、台湾やタイなど韓国以外のアジア諸国はもともとホワイト国リストに入っていない(p191)

    ・2015年中国公式統計の実質経済成長率は6.9%であったが、本当はマイナスだった可能性が高い、輸入の伸び率がマイナス17%であったので(p202)

    ・イランは欧米による経済制裁下にあるが、例外的に特定国(中国、インド、韓国、日本、台湾、トルコなど)に対する原油輸出(上限100万バーレル)が認められている、これらはホルムズ海峡を経由して行われておりイランにとって重要な収入源である(p207)

    ・ロシアは緊縮財政により1バレル40ドルでも均衡財政が実現可能だが、サウジアラビアは80ドル程度の原油価格を必要としている(p211)

    2020年4月19日作成  

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著者プロフィール

経済評論家。1969年、東京都生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は1901年創立の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一教授に師事し、薫陶を受ける。金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開している。著書に『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)、『タダより高いものはない』『経済用語 悪魔の辞典』(イースト・プレス)、『官僚と新聞・テレビが伝えないじつは完全復活している日本経済』(SB新書)、『日本を亡ぼす岩盤規制』『経済で読み解く日本史(全5巻)』(飛鳥新社)などがある。2013年12月より毎月、八重洲・イブニング・ラボ(https://y-e-lab.cd-pf.net/home)の主任研究員として講演活動を行っている。

「2019年 『大手メディアがなぜか触れない 日本共産党と野党の大問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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