まんがでわかる ジョージ・オーウェル『1984年』

  • 宝島社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299009661

作品紹介・あらすじ

支配層が都合のよい形で人々に「何が当たり前か」を刷り込み、疑問に感じる力を奪いながら、感情を「型にはめていく」様を描いた小説『1984年』。コロナ禍を経て、今一度、権力と個人のあり方について考える状況にあるといえます。今回のコロナの感染源・中国のITによる超監視社会は、『1984年』の世界を彷彿とさせます。本書は5Gによる覇権争い、全体主義とは何か、AI対人間といったテーマを山形氏が解説、まんがで『1984年』のあらすじを紹介。政府と個人、公益と私益、民主主義、人間らしさ、本当の意味での自己実現などについて批判的かつ創造的に生きるあり方を考える一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 小難しいテーマや苦手分野の小説は、映画化若しくはコミック化されたりすると助かる。勿論、興味がある方面の範囲内の話だが。小川洋子さん司会のラジオ番組で「動物農場」が話題になり気になっていた作家のジョージ・オーウェル。本作は、同著者による『1984年』を原作に、山形さんがまんがであらすじを語りながら、独自の考察を展開してある。今や2021年、ジョージが設定した18年前の世界だ。ソ連を念頭に全体主義国家の恐怖を書いた本だが、山形さんはコロナ禍を経て、今一度、権力と個人のあり方について考える状況にあると説いている。
    「1984年」の世界ではテレスク―リーンといわれる画面を通して、生活の全てを監視されている。現在はあからさまなスク―リーンこそないが、クレジットの利用履歴を通し、利用者の行動や嗜好、習慣まで読み取られる。スマートフォンのGPS機能、SNSの発信内容、インターネットの検索履歴や閲覧履歴などからも個人は透けて見える。御見通しなのだ。ブクログにレビューを書く時だって怖々しながらもアップしてしまっている私も居る。同じ趣味の仲間とのネットワークが欲しくてやめることができない。これこそあちら様の思う壺なのだろうか。

    ※本書を出版したのがたまたま宝島社。最近、宝島社が政府や自治体の新型コロナウイルス対応を風刺する意見広告https://news.goo.ne.jp/article/nikkansports/nation/f-so-tp0-210511-202105110000606.htmlを、2ページ見開きのフルスペースで展開していた。少女たちが竹やりの訓練をする写真を背景に、中心部にはウイルスを思わせるイラストを掲載。「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」と記してある。何とも斬新で辛口のメッセージに、ジャーナリストとしての気概を見た気がする。

  • 『感想』
    〇まんがであらすじをなぞっているだけなのだが、この世界が気持ち悪い。でもこれは決して空想の世界の出来事ではなく、現実にも起こりうる、監視と支配者に都合のいい洗脳の形である。

    〇スマホの位置確認やインターネットや各種カードで行動履歴や嗜好が暴かれていることは現実に行われているだろう。それが分かっていてもそれらを手放すことはできない。便利だからだ。私たちにできるのは、知られた情報をどうかほかの人に知られないようにと願うことだけ。

    〇結末が暗い本はどうしても評価が低くなってしまう。明るい未来を見せてほしい。

  • 原著読みたくなった

  • オリジナルの小説を読む前に読んでおくと、小説がとても良く理解できる。良質な「解説本」だと感じる

  • 1984年を読んだことがなかったので「まんがでわかる」シリーズで読んでみた。1984年自体は国家権力による、権力維持のための監視、情報操作、洗脳の方法が書かれている。1940年代のスターリン時代のソ連社会主義のやり方を見てきたオーウェルの未来予想的フィクションだと言うことがわかった。

    その頃に比べて世の中の技術レベルが上がって、当時できなかったことも今ではその気になればできてしまうことに著者は警鐘を鳴らしている。

    また行動を記録されるリスクを感じていながらスマホやSNSで自分で自分の行動を晒すこと、フェイクニュースがソーシャルの反応によって真実よりも力を持ち得ることにも警戒している。スノーデン事件のようなことが国家、民間で起こりえる状況だと言える。

    村上春樹の1Q84と何らかの共通点があるのだと思って読んだのだがビッグブラザーとリトルピープルの語感以外は見当たらなかった。

  • 丁度ネトフリでサイコパスシリーズを見始めた頃、ふと気になり読もうと思ったのが、1984だった。だが、いきなりハードリーディングへは向かいたくない心理から本書へと至るのだが。そういう意味で本書を手にしたことは良かったのだと思う。改めてしっかりと1984そのものを読もうと思えたから◎ただ、恐らく1984そのものを読んだら、きっと本書が山形氏の主張に1984が使われていたんだな。と言う理解へと至るだろうから。まぁ評価は3で当たり障りなしだろう(^^)

    しかしアニメサイコパスは、作中でアンドロイドは電気羊…などを引き合いに出しSFミステリー感を醸し出し近未来社会を描き出し切っているが。作品のベースに1984があるんじゃないかと思ったよ:)

  • 『まんがでわかるジョージ・オーウェル 1984年』

    ほぼ日書評 Day294

    マンガ仕立てであらすじを追う仕立てなのかと思ったら、意外に解説(文章)のパートが多かった。ただマンガでシチュエーションをイメージしたうえで、そのシーンの背景にある時代や思想等に触れていくという手法は「あり」だなと感じた。

    あらためて本書による解説を読んで疑問に思ったのは、究極の公共事業としての戦争を継続することの意義。もはや戦争は紛争の解決手段ではない。余剰生産能力を吸収し、破壊されたものの再生産を不可避にするプロセスとして戦争が存在するという。一方で、下層民の生活はマルクスが描いたような貧困から抜け出せない。仮に、戦争によって十分な需要が創出されるのであれば、早晩、ルイスの転換点を超え、無尽蔵に安価な労働力が供給され続ける状況が終焉するのではないかと思うのだが、そこはどうなっているのだろう?

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