米軍幹部が学ぶ最強の地政学

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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299015730

作品紹介・あらすじ

米海軍、英海軍が実際に使う地政学がこれだ! 現代国際社会を理解し未来を俯瞰するには、地政学の理解が必須です。なかでも、自らの国益のために世界戦略を実施し、それを活用しているのが米海軍、米海兵隊、そして英海軍です。現在の世界の盟主はアメリカで、それまではイギリスでした。世界を実質的に支配している彼らが駆使している地政学を本書で解説します。著者は、米軍幹部が学ぶ地政学を実際に教えたことがある軍事社会学者、北村淳です。本当の地政学がここにあります。

感想・レビュー・書評

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  • 日本は島国でありながら、軍事的な意味での「海洋国家」にはなり得ない理由が分かる。本書前半では「前方~基幹~後方制海域」という概念を丁寧に解説。アメリカやイギリス海軍が伝統的戦略である、自国本土から離れた場所(前方制海域)で防衛戦を行うのに対し、日本は敵が本土上陸する段階で迎え撃つ戦法が伝統的に染み付いている。そして元寇の時の「神風」を信奉し続け、日露戦争時のロシア海軍による通商破壊戦の教訓を生かせなかったことにも触れている。近代日本の歴史を学び直し、現代の国際情勢を考えるうえで有益な一冊だった。

  • 海洋国家の条件を海上交易力への依存、海洋軍事力への重点、国際海洋秩序を必要と3つ挙げていて、2番目の条件を満たさない日本は島嶼国であっても海洋国家ではないと断言する。海洋国家の国防戦略は前方制海域、基幹制海域、後方制海域の制海三域に分けえ考え、英米はこの戦略で動いている。これには国家の歴史や伝統的気質が影響しており、日本は元寇以外にも外国勢力の侵入を受け、元寇では対馬と壱岐は壊滅的な被害を被ったが、本土には被害なく神国は侵略されないという伝統的気質が生まれた。日露戦争ではウラヂヴォストーク艦隊による通商破壊戦が行われたが、日本海海戦の成功で忘れ去られた。第二次大戦後は専守防衛から本土決戦思想が未だに生き残っており、日本は海洋国家になれていない。安全保障環境が悪化していても日本人はそれを意識せず安穏と暮らしている。

  • 制海三域という概念は分かりやすい。国防を考える際、未だに戦車や護衛艦、戦闘機のスペックや数を示してどやっ!と解説している本より余程役に立つ。兵器はあくまで道具、手段。国防の為の目的、戦略が確立されてこそ生きる。日本の国防議論がもう少し国民自身の手でレベルアップしていく必要がある。

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著者プロフィール

米海軍アドバイザー、拓殖大学客員教授。ブリティッシュ・コロンビア大学でPh.D.(政治社会学博士)取得。専攻は海軍戦略論・戦争&平和論・国家論。現在、Centre for Navalist Studies(ビクトリア:カナダ)を拠点に日本関連地域の平和維持戦略を研究するとともに、米海兵隊戦闘開発司令部並びに太平洋海兵隊と連携し米海兵隊ドクトリンの日本語訳プロジェクトを推進中。また、米国太平洋軍司令部の戦略基礎データベース構築を担当するCubic Defense Applications(ホノルル:米国)で米海軍アドバイザー並びに日本プロジェクト・マネージャーを努める。

「2009年 『アメリカ海兵隊のドクトリン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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