SDGsの大嘘 (宝島社新書)

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299029669

作品紹介・あらすじ

本書は「ホンマでっか!? TV」などでおなじみの生物学者・池田清彦さんが、
SDGsの矛盾や問題点、欺瞞などについて、歯に衣着せずに語りおろす社会評論エッセイ!

世界でもてはやされている「SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)」。

SDGsというスローガンはそもそもなんのために急浮上したのか?
SDGsで「得をしている」のはいったいどこの誰なのか――?
誰も知らなかった、「SDGsの真実」がわかる、衝撃の1冊です。

感想・レビュー・書評

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  • SDGsを国連が打ち出した時、私は「 項目が多すぎないか?項目を見比べると矛盾した目標があるよな」と少し懐疑的に見ていたが、この本は答えを一部与えてくれたと思う。どんな取り組みも、誰かの、もしくはどこかの利権が絡んでいることは、いやというほど思い知らされているが、やはり同じカラクリなのかと残念に感じた。
    とは言うものの正しい目標もあるので、正しいものは可能な限り取り組んでいき、日本独自の解決策をどこかの利権に利用されないよう進めていければいいなと思う。
    SDGs云々でなく、地球に良いことをしていきたい。

  • SDGsは矛盾だらけ。でも誰も止められない。
    達成したければ人口を減らせばいい。納得。

  • 本書はSDGsの取り組みに対する異議申し立てであるが、せっかく世間一般とは違ったオリジナルな視点で書いているのに、細かな部分で総じて詰めが甘く、結論に至る過程が強引で乱暴な印象を受けた。視点を変えれば物事の捉え方がガラリと変わるというのは、評論の世界でも小説の世界でも言えることなんだけど、思い付きで書いたような理屈だけだと心に響かないということがよく分かる一冊だと思う。
    本文中から一例を挙げると、SDGsの隠れた目的が欧州の環境ビジネス利権だというくだり。もちろんそういう面はあるだろうが、世界的な視点でみて大きなメリットを生み出すのであれば推進すればいいし、全体としてデメリットのほうが大きいのであればやめればいいというだけの話であって、世界の行動規範が商売抜きの善意のみで構成されないといけないなんてことはないのだから、この個所は批判ではなく悪口の類にしか読めない。
    何だかウクライナ戦争が武器を売り込みたい欧米の策略だという陰謀論と相似形を成しているみたいだな、と思っていたら「おわりに」でウクライナ支援を絶対的な正義とみなすのは危険と書いていたので、さもありなんという感じだ。
    他にも、養殖魚に与える抗生物質の危険性を示唆したかと思ったら遺伝子組み換え作物は地球に優しいとか、ときどき著者の主張の根幹がブレているように読める時がある。こう意地悪く感じてしまうのは、本文中に具体的な数字を挙げたデータがほとんど出てこないことに起因しているように思えた。
    そもそもタイトルからして良くないんだよな。この程度の内容で「大嘘」と言い切るのは誇大広告でしょう。

    と、文句ばっかり書いたけど、実は著者の主張の7割ぐらいは同意できるもので、人口を減らさない限り資源問題は解決しないという点や、日本はかつて江戸や里山で「地産地消」をやっていたので日本版SDGsはこれを踏襲した形でやっていくべきだという指摘なんかはなるほどなと思えた。
    だからこそもっと丁寧に理由を書いて欲しかったんだけど、分かりやすくて強い刺激がないと本を読んでもらえない時代だから、ガチガチの理論武装よりノリと勢いが優先されるのかな。

  • 筆者の言いたいことを言っている印象。
    私は支持はするが、ファクトがない、抽象的などの批判が起きそう。

  • 「SDGsは大嘘である」という池田氏の指摘(SDGsは、EUやイギリスが経済的な発展を続けるための方便、という主張)については、根拠が示されたものばかりではないので、無批判に受け入れるのは危険が気がしますが、このような指摘は大切だと思います。

    前半は、SDGsによって起こるであろう将来の見通しについて「私(著者)はこう思う」のオンパレードで、「ホンマでっか!?」な部分が多いのですが、後半の「第3章 マスコミの大罪」「第4章 ニッポンの里山の秘密」については、事実(過去の事象)を踏まえた記述が多いと思われ、納得のできる記述や自分の知識と齟齬がない記述が大部分なので、信用できる印象を受けました。

    が、あくまでも「池田氏のような考え方もある」を基本姿勢として、池田氏の主張が正しいのかどうか、自分自身で確かめようとする姿勢や行動が大切だと思います。
    池田氏もおそらく、そのような姿勢や行動を望んでいるはず、と考えています。

  • 最近還暦を迎えて35年にも及ぶ社会人生活に一区切りをつけましたが、5年程前から会社では「SDG」という言葉を聞くようになりました。その前は「地球温暖化」でした、社会人の間はその言葉に振り回されていたと思います。私の業界は自動車関連でしたので、燃費を向上させる技術に関係する開発が優先されてきた様です。

    SDGに対しては表立って反対できない雰囲気にある中で、この本のタイトルに関することにも興味を持っています。ガソリン車をやめて、電気自動車を利用することが果たして良いものかも興味を持っています。あと10年も経過すれば、今の方向性が皆に認められているのか、それとも新たなフレーズが広まっているのかが明らかになると思います。

    以下は気になったポイントです。

    ・持続可能であるということは、そこで開発は止まるのが普通だし、その逆に開発を続けている限りは、持続可能という状態にはならない。持続可能でありながら、開発をずっと続けていくことなんてあり得ない(p19)資源争奪戦争を回避する究極の方途はただ一つしかない、SDG風に気取った形で言えば「みんなで協力して人口を減らそう」人を殺すのではなく、世界規模で出生率を下げること(p26)

    ・再生可能エネルギーというのは、実は太陽エネルギーの奪い合いという厳しい現実は、太陽に依存しない核融合などの画期的な絵nエネルギー技術が開発されない限り変わることはない(p28)

    ・79億人の人口を今の穀物量(27億トンの生産・消費)で割ると、一人当たり年間消費量は340キロ、日本人の消費量は年間154キロなので、およそ2.2倍の余裕がある、この数字を見れば「飢餓をなくそう」という目標は簡単に達成できるはずだが、現実はそうなっていないのは、流通の問題もあるが、世界のほとんどの国で肉食が広がっていることも大きい(p35)飼料変換効率は、牛1キロの肉を作るのに、資料は11キロ、豚は7キロ、鳥は4キロ、養殖魚は3キロ、コオロギは2キロである。高級和牛の場合、20キロである(p36)

    ・世界の漁獲高が延びているのは農業と同じで効率化が飛躍的に進んでいるから、しかし増えた量のほとんどは「養殖」であって、自然環境の中で取れている水産資源は33年間ほとんど横ばいである(p38)しかし日本は世界でも珍しく養殖よりも漁業(75%)が多い、漁獲量が減少していることは、船を出すような漁業で魚が取れなくなっているから(p43)

    ・西側諸国のグローバル資本市議を食い止める方法として授けれれるアドバイトしては、「AI」と「ベーシックインカム」の活用である、AIの活用により、大量の労働者が職を失って無収入なり、働かなくてもいい社会が徐々に実現していく。全ての人の生活を一定水準までは保証するという「ベーシックインカム」である。(p56)

    ・資源をあまり持たないEUは、エネルギーを買うしかないので様々な製品やサービスコストが高くなる、そうなると安いものを世界にたくさん売っていくグローバル競争には不利なので、「脱水素キャンペーン」をぶち上げて、これをひっくり返そうとしている。SDGが胡散臭く感じられるのは、米露中よりもエネルギー競争で優位に立ちたいという、EU、イギリスの思惑が滲み出ているから(p77)

    ・一度ソーラーパネルを設定した土地を再び農地として使うことはかなり難しい、太陽エネルギーが届かないので、微生物にも悪影響があり農作物を育てる栄養素もなくなる(p87)

    ・地球は化石燃料起源のCO2の排出により温暖化している、というストーリーに基づいた未来予測は、これまでほぼ全てが外れている。2020年までに地球の平均気温は3度上昇する(1987年)としたが、実際は0.5度、キリマンジェロの雪は2020年までに消滅と言っていたが、まだ消滅していない等(p94)

    ・CO2濃度よりも太陽の黒点数の方が気候変動の原因として大きい、火山の爆発により亜硫酸ガスがでて寒冷化に進むことが忘れられている、フィリピン、ヒナツボ火山による大噴火で、日本も1993年の夏は冷夏となった(p97)

    ・コロナを季節性インフルエンザと同等の「5類」の引き下げるべき意見に対して、専門家や病院が猛反対している。2塁相当の方が国から色々な金をもらえるから(p127)

    ・江戸は上水道もかなり整備されていた、神田・玉川・本所・青山・三田・千川上水という「江戸の6上水」が建設され、それが届いていない下町や海の近くでは井戸が掘られていたり、水売りがいたりした(p166)

    ・江戸時代当時最先端のSDG都市がなぜ日本より自然科学が進んでいた欧州では実現できなかったのか、最も大きい原因は、江戸の人々が肉食ではなかった、ということ(p168)サステイナブルな社会を実現できるか否かは「CO2を出さない」というような問題ではなく、肉食かどうかということがかなり重要である(p170)

    2023年12月23日読了
    2024年4月8日作成

  • 所在:展示架
    請求記号:519 I32
    資料ID:12300402

    今話題のSDGs17の達成目標について、生物学者から見た忌憚のない意見が述べられています。

    選書担当者 安達

  • ●SDGSというのは、日本を凋落に導いていくもの。誰もが反対できないような理想的なスローガンを掲げた政策が、のちに多くの人々の生活を苦しめる。
    ●実現不可能な七つの目標。貧困をなくそう。飢餓を0に。安全な水とトイレを世界中に。エネルギーをみんなにそしてクリーンに。気候変動に具体的な対策を。海の豊かさを守ろう。陸の豊かさも守ろう。
    ●一番肝心な「人口を減らそう」と言うものがない。地球上のエネルギーは有限なのだ。
    ●世界では170億人分の穀物を生産している。しかし肉食が広がっていることで飢餓はなくならない。
    ● 1986年、日本の漁獲量が世界一。現在は世界10位になっている。3分の1に減った。

  • SDGsは阿片だという斎藤幸平みたいに、SDGsの偽善を解き明かす。両者の違いは、二酸化炭素による地球温暖化について。斎藤幸平が深刻だと捉えているのに対し、著者は地球温暖化は欺瞞だという。キャピタリズムの詭弁という点では一緒。

    著者曰く、二酸化炭素による地球温暖化については、布団をイメージすれば良い。寒いからと言って布団を何枚重ねても一定以上になると暖かさは変わらない。それと同じ。二酸化炭素濃度が増えても、一定以上の温度は上がらないと主張する。しかしこれは著者がおかしい。

    布団の熱源は布団内部の人の体温であり、上限がある。地球の熱源は太陽であり、活動周期にもよるが白亜紀には今より10℃気温が高く、植物も豊富に育ち大型の恐竜も存在したことを二酸化炭素肯定説の論拠として著者自身が述べているではないか。白亜紀の海水面は100メートルから200メートル今より高かった。支離滅裂。このコメントだけで著者がだいぶ怪しくなる。駄目じゃん。

    次に、ダイオキシンは農薬起源であり、ゴミ焼却程度なら人体にほとんど影響がないことが分かってきたと。一部の焼却炉メーカーが大儲けしただけで国民の大多数は損をしているのだと煽る。都市ゴミからもプラスチック由来のダイオキシンは発生するし、それを抑制するには、高温焼却が有効で、その設備により収益化しているものを、因果関係が逆ではないか。

    地獄への道は善意で舗装されている。著書で引用されるこのヨーロッパの諺は、ある種の警句だが、まさに、誤った論説が引き金だろう。

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著者プロフィール

池田清彦(いけだ・きよひこ) 1947年生まれ。生物学者。

「2020年 『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池田清彦の作品

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