- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784299041432
作品紹介・あらすじ
現在80代半ば、敗戦によって「世の中の正義」が一夜にしてひっくり返る理不尽・不条理を目の当たりにし、社会が押し付けてくる「ものさし」を根底から疑うようになった養老孟司さんと下重暁子さん。「社会性などまるでないネコのほうがよほど信頼できる」と養老さんは語ります。本書は、「90歳の壁」を目の前にしたお二人に、それぞれの<ネコ愛>を基軸に、老いや病、孤独や自立などについて縦横無尽に語っていただく対談企画。群れず、媚びず、しなやかに生き、素直に死んでいくネコたちの後ろ姿から、「ささやかな幸せを見つけるためのヒント」を素描する一冊です。
感想・レビュー・書評
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85歳の「養老孟司」さんと、86歳の「下重暁子」さんによる対談は、猫をテーマにしたものだけに留まらず、途中から様々なテーマへと発展していったが、気になるどころか、却って、面白くなってきて、全てに共感することはできなくとも、興味深い時間を過ごす事が出来ました。
まずは猫について、養老さんの「まる」にしても、下重さんの「ロミ」にしても、猫には、それぞれの物語が生まれ出すような感覚を覚えたのが印象的で、特に「私のまるは『日向』になった」という、養老さんの表現には、猫の生き方そのものである、気付いたらそこにいるような自然体の媚びない存在感を、思い出させるものがあると共に、いないんだけど、いるような気がして見てしまうというのも、肯けるものがあり、猫へ抱くセンチメンタルさと言うと、養老さんは否定するかもしれませんが、私は分かる気がする。
そして、お二人の共通点について、それぞれ東大とNHKから独立されたことに加えて、戦争体験者ということで、やはり、それらの貴重な体験から繰り出されるお話は、さぞ襟を正して聞かねばならぬだろうなと思っていたら、これが、ざっくばらんに痛快である上に、一切の容赦が無いから、実は日本って大変なところまで来てるんじゃないの? と思いつつも、まあ、なるようになるしかないか、といった気持ちにもさせる、そのアッサリ感に、読者はどう感じて考えて行動するのかが、問われているような気もしてくる。
例えば、今の日本の状況を述べた言葉として、
「10代、20代、30代の死因のトップが『自殺』の社会の異常さ」
「首相の『異次元の少子化対策』は、戦時中の『産めよ殖やせよ』と何一つ変わらない」
「この国では暴力集団が実質的なトップになるというのが、鎌倉幕府以来の伝統」
「人口をどんどん増やしながらの『自然を守ろう』」
特に最後は、「人間が自然をコントロールしようなんていうのは、すごくおこがましい考え方」と仰られる下重さんの言葉に考えさせるものがあったし、養老さんの、「いろいろなものを守っているようでいて、実は動物や子どもたちの生きる力みたいなものをどんどん奪っている」という言葉には、何か矛盾した現代社会の闇が知らぬ間に世界を取り込んでいるような感覚に、思わず鳥肌が立ち、終いには、このような社会は天変地異でも起こらぬ限り、変わらないだろうといった、大胆な発言もあり(歴史を見る限り、天変地異と政変はワンセットで起きているらしい)、そこには、まるで何か差し迫ったことが起こらないと、人間の本能は目覚めないとでもいった感や、『喉元過ぎれば熱さを忘れる』を何度も繰り返す愚かさが窺えて、本当にこのままでいいのだろうかと思ってしまう。
また、そうしたテーマとは異なる、素の部分に於ける、下重さんのざっくばらんな痛快さも印象深く、当時のNHK時代の『聞き流す力』や、二日酔いで頭が痛くても平然とした顔をしてテレビに出ていたことや、夫婦関係での『自分は好きなことをやるし、相手も勝手にやればいい』こと、そして、「『群れからはみ出たやつ』のほうにずっと興味がある」の言葉には、彼女の著書『家族という病』でそうしたお話をしているとのことで、それらに感じられた彼女の在り方には、「『右へ倣え』がまかり通るような状況に身を置きたくない。あくまでも私のままでいたい」という、それは『90歳の壁』といった年齢的なものは全く関係ない、いくつになっても私は私だといった、彼女自身の変わらぬ生きることへの姿勢なのではないかと感じさせられた。
そして、養老さんの、「長い歴史をもった人間の社会では、文字通りなんてことはあるわけないんだよ」の言葉には、決まり事だけに囚われず、物事を見ることの大切さを教えてくれて、それが、もっと子どもたちを信頼することにも繋がっていることが、私にはとても腑に落ちるものがあり、更には「猫について話すくらいなら、実際に猫をかまっているほうがいい」という言葉も、まさに正論というか、本当にそうですよね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私も制服に合わせる靴が大嫌いで、全然違うスタイルの靴履いてました。目立ってしまうのですが、その辺りの細かい校則は無かったので何も言われませんでした。似合わない靴は履けないですよ!
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多感な時期に敗戦前後の変化や復興を実体験した人たちが、今何を考えているのかを知りたい。7月の宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を観る前に、まずは本書を読みたい
#老いてはネコに従え
#養老孟司
#下重暁子
23/4/26出版
#読書好きな人と繋がりたい
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出版されたのが2023年の5月 2024年 1月1日の能登地震で被害に遭われた方々の事をを思えば「大地震を待つしか・・・」のあたりを読んでる時は複雑でした。
後は面白く読ませていただきました -
タイトルから想像できないけど、ネコ2割、いつもの養老先生節8割の対談ですー。
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養老孟司さんの本だと思っていたら、下重暁子との対談本だった。
下重さんはちょっと個性が強く我の強い人というイメージが強い。
本人も言っているように協調性はない。
世間でも自己中で、毒のある癖の強い人と言う印象かなあ。
70ページ迄は読めたけど、
71ページからの下重ワールドにはついて行けないので、
読書放棄なり。
養老孟司さんが、まえがきにかえて に書いている。
猫についての対談だといわれて、喜んで引き受けた。
でも、猫の話だけで一冊分、話がもつかなあと危惧していたら案の定だった。
だから余分な話をする結果になったのは、本文に見る通りである。
それが読者の皆さんのお気に召せばいいが、と少し心配している。
ほんと‼️
養老孟司さんは気のいい人だから、コアな読者を気遣ったのだと思う。
まるの話を期待してたんだもんね。
対談相手の話なんざあ、いらねぇよ。
Amazonの提灯レビュアーを除くと、
下重本のレビューはかなり低いのも納得できる。
別の養老孟司さんの書籍で口直し、目直し、頭直しをしなければならないね。
対談相手を間違った?かな。
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現在80代半ば。
社会が押しつけてくる「ものさし」を疑う養老孟司氏と下重暁子氏、お二人の対談。
「社会性などまるでないネコのほうが、よほど信頼できる」
ネコ愛を軸に、老いや病、日本社会が抱える歪みなどについての対談。
ネコたちの後ろ姿から、「生き物として、ラクなあり方」のヒントを素描する一冊。 -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/567143