仮名文の構文原理: 〔増補版〕

著者 :
  • 笠間書院
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 4
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784305702593

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 清濁の区別や句読点を書いていなかった仮名文を、その表記のままに読んでいくべきだという主張。「連接構文」

  • 第三章定家仮名遣の軌跡112頁
     正書法とは,所詮,これこれの語をこれこれの形に表記すべしという人為的規範であるか,あるいはまた,その形にしか表記しないという伝統(convention)の追認であって,いちいちの根拠について説明を要求されるような筋あいのものではない。文字を操る人たちが一定の表記を守ることによって,通達が円滑に行なわれるという,ただその一事だけが肝要である。//定家仮名遣を絶対的なものとして護持しようとした人たちは,ことばの表記がどのようにあるべきかについて,右のような明確な認識を持ちあわせていなかった。そのために,契沖およびその後継者たちと筋の通った理論闘争を展開することができず,受身の泥試合に終始せざるをえなかった。定家の技術は継承されたが,その理念は忘れ去られていたということである。//歴史的仮名遣の方が最終的に生き残ったのは,理論的に,あるいは実践的に,その方が卓越した方式だったからではなく,その底流をなすところの尚古主義が国粋的な風潮に支持されつづけたためであると小稿の筆者は考えている。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

出生 1929年、東京。
筑波大学名誉教授。文学博士。

著書
日本声調史論考(風間書房・1971)
国語史学基礎論(笠間書院・1973:増訂版 1986:簡装版 2006)
いろはうた—日本語史へのいざない(中公新書 558・1979:講談社学術文庫・2009)
日本語の世界7〔日本語の音韻〕(中央公論社・1981)
仮名文の原理(笠間書院・1988)
やまとうた—古今和歌集の言語ゲーム(講談社・1994)
仮名文の構文原理(笠間書院・1997:増補版 2003:増補版新装版 2012)
日本語書記史原論(笠間書院・1998:補訂版 2000:新装版 2006)
日本語はなぜ変化するか—母語としての日本語の歴史(笠間書院・1999:新装版 2013)
古典和歌解読—和歌表現はどのように深化したか(笠間書院・2000:増補版 2012)
日本語の歴史—青信号はなぜアオなのか(笠間書院・2001:新装版 2013)
みそひと文字の抒情詩—古今和歌集の和歌表現を解きほぐす(笠間書院・2004:新装版 2012)
古典再入門—『土左日記』を入りぐちにして(笠間書院・2006)
丁寧に読む古典(笠間書院・2008)
伊勢物語の表現を掘り起こす—《あづまくだり》の起承転結(笠間書院・2010)
平安古筆を読み解く—散らし書きの再発見(二玄社・2011)
日本語を動的にとらえる—ことばは使い手が進化させる(笠間書院・2014)
土左日記を読みなおす—屈折した表現の理解のために(笠間書院・2018)

解説執筆
小川剛生(おがわ・たけお 慶應義塾大学文学部教授)

「2020年 『新版 徒然草抜書 表現解析の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小松英雄の作品

最近本棚に登録した人

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×