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- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784305702593
感想・レビュー・書評
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清濁の区別や句読点を書いていなかった仮名文を、その表記のままに読んでいくべきだという主張。「連接構文」
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第三章定家仮名遣の軌跡112頁
正書法とは,所詮,これこれの語をこれこれの形に表記すべしという人為的規範であるか,あるいはまた,その形にしか表記しないという伝統(convention)の追認であって,いちいちの根拠について説明を要求されるような筋あいのものではない。文字を操る人たちが一定の表記を守ることによって,通達が円滑に行なわれるという,ただその一事だけが肝要である。//定家仮名遣を絶対的なものとして護持しようとした人たちは,ことばの表記がどのようにあるべきかについて,右のような明確な認識を持ちあわせていなかった。そのために,契沖およびその後継者たちと筋の通った理論闘争を展開することができず,受身の泥試合に終始せざるをえなかった。定家の技術は継承されたが,その理念は忘れ去られていたということである。//歴史的仮名遣の方が最終的に生き残ったのは,理論的に,あるいは実践的に,その方が卓越した方式だったからではなく,その底流をなすところの尚古主義が国粋的な風潮に支持されつづけたためであると小稿の筆者は考えている。
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