- Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
- / ISBN・EAN: 9784305706034
作品紹介・あらすじ
うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の第1回配本、小野小町です。
わたくしは小町に関する先行の文献を渉猟(しょうりょう)して、つくづくとそれらの中に、いかに実在の歌人と伝説の女性がほしいままに混り合っているかを思い知らされた。----目崎徳衛
小野小町(おののこまち)
平安初期の六歌仙にただ一人選ばれた女性。業平とともに色好みとして名を馳せ、後人による小町歌が加わり、美人落魄伝説の主人公としてその名が各地に伝播した。生没年も出自も定かではなく、小町が残した歌で確かなのは『古今集』の十八首だけだが、その歌から九世紀中葉の宮廷と文化人の間で新しい歌が形成されていく時流の中心に生きた小町像が浮かび上がる。唐代文学と新仏教の波を受けつつ仮名文字が生み出される渦中にあって、恋歌を詠い続けることで王朝女流文学の先駆的存在となった。「百人一首」で有名な「花の色は移りにけりな」の歌は、その実像と虚像の架け橋である。
感想・レビュー・書評
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小野小町は平安後期には遊女扱い?どうしてそうなったの?
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新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、2階開架 請求記号:911.108//Ko79//3
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面白かったです。
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嫋々と女性らしい歌を詠んだいうイメージだった小野小町が、
漢詩文の語彙や発想、最新の仏教思想から多くの影響を受け、
さらに平仮名が成立した860~70年代以降には、万葉仮名では困難だった掛詞を多用するなど、
進取の気性に富んだ時代の子であり、かつ恋の抒情を壊すことのなかった歌人だと知った。
小町が「あはれてふこと」(あはれという感情を表現した歌)と斬新に概念化した言葉は、
やがて「もののあわれ」という文学上の重要な観念になる。
古今集撰入の18首の他、贈答歌、小町名で流布している歌など計31首収録。
コンパクトながら類歌・漢詩文・経文等が多く引用され、解説も詳しい。奥行き深く鑑賞。