- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784306052345
感想・レビュー・書評
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ルドフスキーはオーストリア生まれの建築家。世界各国を旅して、土地の建築や風習を視察した。建物のデザインや機能性より、そこに居る人々に着目し、人体・衣服・生活様式について研究した。当時としては斬新な目の付けどころだったのかも知れない。
本書では、人間の基本的な生活習慣の「食・座・眠・清・浴」5つの側面から、「忘れ去られた生活様式」を紹介している。全ページの半分近くに、「証拠」として、古今東西の絵画が取り上げられており、楽しく読むことができる。
例えば、最初の章で「食」を取り上げているのだが、読者は「最後の晩餐」がどのように行われていたのか、驚きの事実を知ることになる。テーブルマナー(食事の食べ方や席次の序列)が現代と全く異なるのである。我々が想像する「最後の晩餐」のイメージは、ルネサンス時代にレオナルドダヴィンチの絵画だろう。大きなテーブルがあり、真ん中にキリストが、その周囲に弟子たちが椅子に座っているもの。中世以前は全然違ったようだ。
また、本書の後半「浴」の章では、驚きの結婚披露宴スタイルが紹介されている。
ルドフスキーによれば、建築技術の進歩により、建物の在り方が変わっているのではなく、我々の生活様式の変化に合わせて建物が変わるとのこと。当たり前と思っている生活様式に疑問を抱く(前提を疑う)ことで新たな発見があることを示唆している。次は『建築家なしの建築』を読んでみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
建築家であり批評家でもあるバーナード・ルドルフスキーの本書
家まわりで展開される生活様式に対する批評が、ウィットにとんだ皮肉とともに展開されてます。
主に食・寝・座・清・浴について歴史や文化を踏まえて語られています。
特に印象的だったのは「最後の晩餐」についての説明。
絵画等で有名なキリスト教の一場面なのですが、ホントの時代背景を考慮すると、「座って食べているのはおかしい」との事。
この時代は「寝椅子に寝っ転がって手づかみで食べる」のがホントで、正しいマナーだった。
常識を疑うことの大切さをあらためて教えられました。
「住まう」事の根本を考えたい人にオススメの一冊です -
ついに借りてみたが・・・
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食事すること
眠ること
座ること
清潔にすること
入浴すること -
若い頃読んだ同著者のうち,未読書の落ち穂拾い.序盤,寝そべり食いが当然として書かれている聖書の記述を,後世の画家がどうやって辻褄を合わせて絵にしているかの考察は面白い.ところどころに日本への贔屓の引き倒しが見られるのは御愛敬.
訳文はあまりこなれていない.たぶん原文はもっと気侭なエッセイ調なのではないだろうか. -
昔はゴロ寝しながら食事していたんだって。いいなぁ〜。