四万十川: あつよしの夏

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309004914

感想・レビュー・書評

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  • 風の匂い、葉の陰り、水の輝き、生き物のざわめき。あつもりの五感を通した四万十とその風景の中の家族、友人、さまざまな大人と知り合いになることのできる作品です。

  • 四万十川の自然を舞台に家族や友達との出来事を通し、主人公(篤義)の成長を描いた物語。会話が方言で書かれているので、少し読みにくく思いのほか時間がかかった。1987年に書かれた本の為か、篤義の成長を描く中に、バブルに向かって突き動かされていく時代の流れをも書き込んでいる。著者は、そんな世の中に父親の言葉を借りて釘を刺しているように思う。ともあれ人はたくましく、また成長するために踏み出す一歩は、今も昔もあまり変わらないものだなという思いを強くした。着地点は郷愁を誘う。最後の数行にこの物語が集約されているように思う。

  • かつて見た、姥が谷の大蛇の呪縛。
    主人公の少年・篤義は、その呪縛ゆえに自分の考えや感情を表に出すことはなく、目の前の出来事に対して、常に傍観者として振舞っていた。
    しかし、子猫クロの誕生をきっかけに、彼に変化が現れていく。
    貧しさゆえにいじめられていた姉を見ていることしかできなかった幼少の日々。
    小学三年生の夏休みを前に、クロの貰われ先が決まる。
    その場に居合わせた一人の少女・千代子。
    その姿に、かつての姉の姿が重なる。
    学校でいじめられる彼女を見ていることしかできない篤義。
    そんな時に起こった、鉛筆研ぎ紛失事件。
    千代子を犯人扱いする同級生たち。
    教室の中にとぐろを巻く大蛇に睨まれた篤義。
    そんな篤義を、千代子の涙と怒りに満ちた目が捉える。
    そこで篤義は、思いもかけぬ行動に出るーー。

    人間の生き方とは、世界のあり方とは。
    その答えは、たとえ山村においても、懸命に生きる人々の中に見出すことができる。
    そのことを改めて教えてくれる、児童文学の最高峰!
    地元の分校を卒業しただけの郵便局員が、自らの故郷を舞台に描く、全ての子どもたち、また、自己の成長を渇望する全ての大人たちにとっての必読の書!
    (掲載誌 『文藝』1987年12月 文藝賞特別号)

  • この一巻目はとてもいい。
    主題がはっきりしていて、主人公に共感できた。
    ねこといじめられっ子の少女、それを守ろうとした主人公の成長ぶりがしみじみとしていていい。

  • 山形などを舞台とした作品です。

  • 小学生の時、私の文章を初めて褒めてくれた恩師に勧められて読んだ本

    最後の清流四万十川と共に成長していく少年の一夏の話

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著者プロフィール

1950年高知県生まれ。'87年『四万十川|?あつよしの夏』で文藝賞、'89年坪田賞受賞。'96年『四万十川、第六部』をもってシリーズを完結させる。他に『ゆたかは鳥になりたかった』『母の四万十川』など。

「2013年 『四万十川のひかり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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