燃ゆる夜は水晶橋に一人来てあなたへ続く幻を行く
彼女は運動家と呼ばれる男と恋愛し、結婚するが、「結婚しても、その日常的なレベルの中のごく些細なことで相手と考え方がくい違ったりしてうまくいかない。考え方が違うということで、その度にいき違いをしてしまう』。いき違いは埋められず離婚。とことん突き詰めて考える習慣が招いた結果だったのかー。
「「男とは私にとって何ならん」深き呼吸を橋上にする」
大国町にある中華学校の日本語教師となり、歌作を続けた。 「燃ゆる夜は水晶橋に一人来てあなたへ続く幻を行く』
堂島川にかかる夜の水晶橋は照明が点灯された橋が川面に映り、ライトアップされた中央公会堂、府立図書館が美しい。ジャリ運搬船がボン、ボンと音を立てながら下って行く。
橋上のベンチにはホームレスがぼんやり座り、肩を抱き合ったカップルが通り過ぎてゆく。まるで映画「ポンヌフの恋人」のような光景だ。
「水晶橋 雨後に渡れば逢うという時間の中を生きし日のこと」
「愛恋が時間の浪費と思いたるかつてのわれや痩吾亦紅」は彼女の近作。 「ポンヌフー」のように再生した彼女がここにいる。