最後から二番目のキッス

著者 : 林あまり

• 河出書房新社 (1991年5月1日発売)

感想・レビュー・書評

[エプロンパパさんの感想 · 2021年10月22日]

林あまりの、今のところ最後の歌集。残念ながら全盛期の輝きは見られない。タイトルがディック由来だとは意外だ。SFが好きなのだろうか、それともディックが。「「結婚はしたくないよね」女たちうなずきあって　じゃあ、またあした」「買うという行為のたびに　とりあえず生きるらしい、と確かめている」「夕方がぽっかり口をあけて待つ　どのような日も終えねばならず」「いつだってつめたいままの手と足と　あたたまるまでねむりにつけない」「産むあてのない娘の名まで決めている　狂いはじめは覚えておこう」「ジャズほどもかなしくはない　帰るべき家を持つ人見送るキッス」