あられもない祈り

著者 :
  • 河出書房新社
2.81
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309019819

感想・レビュー・書評

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  • 今まで読んできた恋愛小説の中で、一番自分に合っていると感じている。
    この小説の、狂おしく、息苦しい恋は、万人受けはしないと思うけれど、ある種の人間にとっては堪え難い痛みであり、同時に救いであり、快感だ。
    とにかく文章のセンスがツボ。
    何一つとして無駄な文がなく、どこの一文を抜いても詩的に感じられる。

    たまにどうしようもなく、この本が読みたくなる。
    読みたくなる、なんて言葉じゃ生易しいかもしれない、渇望、そう、渇望だ。
    この本に出会えて、私は、ほんとうにうれしい。

  • 懲りずに読み続けているこの方の作品ですが、私はやっぱりどうにもこうにも肌に合わないみたい。
    ちょっとお休み。

  • ねえ、どうしてあれほど呼び合って今も寄り添う言葉と体を持っているのに離ればなれなんだ。

    たびたびお金をせびってくる母。
    これから死んでいく傍若無人の父。
    不安定で似たような境遇に育った恋人の直樹。

    孤独で、愛情を受けなかった故に
    自分を傷つけて溺れていくことしか選択できない、私。

    落ち着いていて包容力を持ったあなたは、すでに結婚していた。

    愛に飢えていて、けれど愛を与えたり受けることに慣れていなくて
    似たような人たちが寄りそいいつまでも自分を許すことなく
    傷つけあいながらも生きていくことしか、できなかった。

    複雑な家庭環境、精神的に未熟な親
    情緒不安定でDVの恋人、リストカットを繰り返す自分
    好きになった人には、既に結婚を決めた人がいて、彼自身もまた孤独に苛まれていた陰のある人だった。

    うわ、くらーっ!!
    まーた暴力と自傷の話や!
    いつまでも傷ついた私、傷つけられたまま今でもそこから立ち上がれずにいる私。

    被害者意識ハンパねー!
    なんでこういう似たような話ばっか書くんだろうって思うけど
    書いている人自身にも似たようなことがあるのかな離婚とかカウンセラー行っていたとか。

    でも、嫌いじゃない)^o^(何

  • 「君はここにいます。俺は、それは必ずしも証明できなくたっていいことだと思う。自分で自分のことを見てさえいれば」

  • 今回もダメ男が出てくる、ちょっと不幸な恋愛小説。全く共感も出来ず、主人公と相手の男性は名前も出てこずに「君」・「あなた」と呼び合うのですが、これが何か良い効果があったのか理解できなかった。島本さんの繊細な描写や美しい表現はとても好きなのですが、内容が深くなくて残念。

  • うーん... 文章はきれいだけど、ちょっと自分には痛々しすぎる気がした

  • 罪悪感が「私」を追い詰めていきます。どうにもできない閉鎖感、息苦しさがとてもリアルに伝わってくる。この作者はこういうの得意なんだと思います。この本を読んでいる間、ずっと雨が降りやまず家に閉じ込められた重苦しい感覚を味わいました。そういえばナラタージュもこんな雰囲気だった。

    手に入らないものへの憧れは強烈で力強く、生きる欲求ともなり一瞬自分を明るく照らしてくれる。でも誰かをひどく傷つけ、自分を傷つけるという、厄介なものです。でもそれがあるから人は生きていけるのだとも思うのでした。

  • 「私」と「あなた」の恋愛が始まり、終わるまでを描いた物語。

    著者の作品の主人公は辛い身の上にあることが多く、読んでいて胸を締め付けられる。それにも関わらず何故か物語から目を離すことができず、気付けばいつも没頭してしまっている。特にこの作品は言葉の選び方、使い方がとても丁寧で、その言葉の一つひとつが「私」と「あなた」の二人の濃密な世界を築き上げているように感じた。

    行き着く先に幸福はないと分かっているのに、惹かれ合わずにはいられない。二人の恋愛は徐々に痛々しいものになり、すべての後には喪失感が残る。決して気持ちの良い終わり方ではなく、恋愛の苦しさを思い知らされた。

  • どうしてこうも彼女の文は生々しいのか。
    さらさらと書かれているはずが、うっ、となる。

    ただ、驚くほどに印象が残らない。

  • 久方ぶりに読みましたが、嗚呼こんな感じだったよねって思いました。

    でも昔のが個人的には好き。これはあまり面白みがなく、ただ懐かしさで読みきれた気がします。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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