- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309025209
感想・レビュー・書評
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2021/1/17購入
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文学
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不規則な連作短編集。一応主人公は埴輪詩歌(本名:埴輪あゆむ)という女性だけれど、本作は「だいにっほん」三部作の前日譚にあたり、彼女は同シリーズの埴輪いぶきの母という設定らしい。実は「だいにっほん」のシリーズを1冊も読んでいないので、ところどころわからない用語や設定(おもに火星人関係)があったけれど、わからずともそれなりに読めました。
全体的には相変わらずの笙野頼子的ディストピア、『水晶内制度』に詳細な、女性だけの国ウラミズモも登場。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)反対という政治的なメッセージ部分は、きっと気にしたほうがよいのだろうけど私が読みたいのはあくまで「笙野頼子の小説」なので、物語の部分をできるだけ意識して読んだ。一部の金持ち政治家にとってだけ都合の良い法案が通っちゃうと日本は滅びますよーこんな風に、という来てほしくない未来予想図。
「ひょうすべ」の正式名(?)は「NPOひょうげんがすべて」表現の自由を逆手に取り、一部の人間にとってだけ都合の良い表現を自由に(そう例えばロリエロなど)する組織だ。その他「知と感性の野党労働者党」略して「知感野労(ちかんやろう)」など、お馴染みの笙野的表現、「野党リベラルフェミニズム、手をつなごう男とだけ」を略すと「ヤリテ」婆となるのなどこじつけすぎてもつい笑ってしまう。
単純に独立した短編として読んでも面白かったのは、年代順だと最初に書かれた「ひょうすべの菓子」。小学生の詩歌が、ネットの友達とオフ会で怪談を語り合うかたちで「ひょうすべ」の恐ろしさ理不尽さが描かれている。これくらい抽象化してあると物語として読み易い。
※収録
こんにちは、これが、ひょうすべ、です/ひょうすべの約束/おばあちゃんのシラバス/人喰いの国/埴輪家の遺産/ひょうすべの菓子/ひょうすべの嫁/姫と戦争と「庭の雀」 -
170208図
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