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増補新版 書く人はここで躓く!: 作家が明かす小説の「作り方」

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著者 : 宮原昭夫
  • 河出書房新社 (2016年12月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309025315

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増補新版 書く人はここで躓く!: 作家が明かす小説の「作り方」の感想・レビュー・書評

  • 説明と描写
    美しい花 vs 紫色の小さな花

    描写の視点

    小説とは一種の時間芸術で「設定」から「新局面」までの時間的「展開」の中で、主人公その他の人間像と、人間関係を描き出しつつ、それが変質して行く軌跡を捉えるものだ

    設定・展開・新局面

    設定においては飛躍、展開においては正確

    苦悩が人物を魅力的にするのではなくて、人物の魅力が苦悩を魅力的にするのだ

  • 必要に迫られて、書き方系の本を何冊も続けて、
    ザクザク読んでいますが、面白い記述がありました。
    書きもの(特にフィクション)は、
    シーンの積み重ねが集まってストーリーが出来上がるわけですが、
    それらのシーンはおおまかにわけて
    ①設定②展開③新局面の3つに分類されるということなんですね。
    本書に書いているわけではなくて私が考えた例で説明します。
    例えば「桃太郎」の場合ですと
    ①設定→鬼がたまに悪さをする困った世界の片隅で
    川から桃が流れてきて中から桃太郎が生まれる。
    ②展開→桃太郎は育ち悪さをする鬼を退治する。
    ③新展開→困った世界(村)は平和な世界に変化する
    というようなことです。

    で、それがどうした?といわれそうなところですが、
    面白いと思ったのは、頭の使い方が特に①設定と②展開では全然違う、
    という事を著者が指摘していることなんですね。
    具体的に言うと①の設定を考えるには、
    SFでいうところの「着想」であり、
    ②の「展開」ではなにか想像を広げるというよりも、
    ①で作り上げた世界観の中(つまり条件と制約)の中で、何が起きうるか?
    という可能性を推理する能力。これもSFでいうならば「分析」が必要だというんですね。

    これには、ああ、まさにそうだな、と思いました。
    ①は広げるチカラ②はキレイに折りたたむチカラ、というところでしょうか?
    私の場合、何かを書いていて着想ばかり強くて、
    収拾不可能となる場合が多いのですが、こういうことだったのだなと。

    で、これはフィクションだけに限らずどんな文章でもいえるかもしれませんね。
    例えばコミュなどで、この人の文章は「着想」優位だな?とか「分析」優位だな?
    とかいう読み方もできると思います。
    バランスのとれた方もいらっしゃいますしね。
    SFに着想と分析が両方入ってる方の文章は総じて見事なことが多いようです。
    そのあたり意識してみると面白いかもしれませんよ。

  • 小説とは時間芸術
    最小単位はシーン
    キャラがストーリーを思わぬ方向に導くのがふつうらしい。
    短編についても少し載ってるのがよかった

  • 芥川賞作家村田沙耶香が日経新聞(2017/3/16夕刊)で、本書について書いていて気になった。
     「この本が絶版になったらと不安で、見かけるとすぐに買った。」
     えっ、そんなに貴重な本なの?!と驚いたが”小説家を書く人”に向けての内容なので読み手も少ないから版もそうそう重ねないからということだろう。
     でも、このたび沙耶香効果で「増補版」だ。気になるので、いっちょ読んでみるかと手に取ったもの。

     なかなか面白い1冊だった。著者自身もかつての芥川賞受賞作家だった(失礼ながら著作は読んだことはない、名前も知らなかった)。
     
     「美しい花」は説明、「紫色の小さな花」は描写。安易に視点を変えるな、思いついた順と書く順は違う。設定は飛躍、展開は正確。「筆者がどう感じ、どう思ったか」を記すのは「手記」、「読者にどう感じさせ、どう思わせるか」が「小説」etc.etc....

     簡潔にまとまって、参照例も多く提示されている分かりやすい指南書だった

     これを読んだからといって小説家になる気はないけど、この「ブクログ」のレビューで、今後、「粗筋会話の多い作品」とか、「こりゃ手抜き回想だ」などと小賢しい言い回しが増えたら、それは本書の責任だ(笑)
     そう、書く側の陥りやすい罠が多く指摘されているので、作品の良いところ悪いところを、書く側の視点で看破できるかなと思い読んでいた。

     そんなこと思わず、読者はただただ感じてるだけでいいんだろうけどね。

  • まえがきでもことわられていたけれど
    例えが多くって、そこが面白かった。

    宮原さんの小説の授業で書かれた生徒の小説を
    1つ1つ丁寧に取り上げて
    「この小説の何処がダメなのか?」と赤ペンしていく。
    「よくできた作品だけど、ここがダメです。」
    とバッサリ切っていくその姿勢や、理由の明確さが面白くもあるし
    しんどくもある。為になることは間違いないと思う

    取り上げられた小説作品を読む気にはあまりなれないけど
    面白そうな要素は点在するし、自分が小説を書いても似たようなものになりそう。

    小説を書いたらもう一度読み直してみたいなと思いました。

  • 「コンビ二人間」の作者村田沙耶香さんの師匠に当たる人の小説指南本。自分のだめな部分をたくさん指摘された。以下印象的な箇所のまとめ。

    ・小説の最小単位は「シーン」。小説の書き方とは「シーン」の描き方と並べ方のこと。
    ・「美しい花」は説明。その花に対しては、美しいという見方しかしてはいけないということ。「紫色の小さな花」は描写。ある人にとっては美しいかもしれないが、別の人にとっては地味な花かもしれない。それぞれの読者の感受性や個性やその時の気分で違ってくる。
    ・小説を描写で書けば、読む人それぞれによって様々な読み方をしてもらえる可能性が広がる。作品の持つ厚みが広がる。何度読んでもその時の境遇や気分で読み方が変わる。
    ・読書は演奏。楽譜のように小説を書くための方法が描写。
    ・論理的展開の順と小説的展開の順は違う。「思いついた順」と「書く順」は同じでよいが、「読ませる順」は違う。
    ・小説はわからせるために書くものではない。わからせるために書くのは解説書。小説は感じさせ、味わわせるために書く。よくわからないけど感銘深い作品の方が、小説としては上等。

    ・設定を展開して、新局面を迎えるのが小説。設定だけでは小説にならない。設定のダイナミックな展開を放棄して、ドラマから逃げ出すことで小説を終わらせるのはもったいない。
    ・主人公の人間像の必然から出た変化ではなく、人間関係の発展から出た変化でもなく、それらとは無関係な外的な事情から出た変化は、新局面とはいえない。
    ・設定の後出しは禁じ手。伏線とは、設定のフェアな早出し。
    ・ストーリーの展開とは、設定の中に含まれる葛藤が、作中の時間経過の中で、状況や人間関係や心などに作用して引き起こす必然的な変化のこと。作者が小説を続ける都合上、偶発的事件を追加するのはストーリーの展開とは言えない。次々に設定が足されていっただけ。出来事の羅列。
    ・出来事の一つ一つに主人公がリアクションし、それが相手のリアクションも誘発し、それによってストーリーの流れが変わり、主人公の行動や心理に変化が生じる。これが小説。
    ・発想力が強い人は、途中で次々新しい設定が追加される。設定の積み重ねは展開ではない。展開部分で設定をつぎ足すのは設定の後出し。
    ・展開、新局面とは、設定に真っ向から対決し、乗り越えることで実現すること。
    ・一つの小説に興味深い設定を二つ入れると、効果は二倍になるのでなく半分になる。出来事の間に有機的なつながりがなくなり、二つの設定が相殺してしまうから。
    ・フィクションを一つ作ると、他のフィクションは成立しなくなる。あるフィクションは他のフィクションを規制する。全てのフィクションは文章の表面の下で有機的につながっていなければならない。
    ・フィクションとは空想そのものではなく「空想への制約」。空想だけなら幼児の方が得意。フィクションは空想に制限を与え、書き手の経験や観察や人生観や思想によって、人間の探求のために有効な設定を空想の中から選び、そこから必然と思われる帰結へと空想を展開させていくこと。
    ・設定においては飛躍、展開においては正確が必要。
    ・手記は自分がどう思い、どう感じたかを書く。フィクションは、読者にどう思わせ、どう感じさせるかを目的に書く。
    ・筆者と私を意識の上で切り離すことができていれば、それは小説。

    ・小説の書き手は貧乏劇団の座長と同じ考えで、必要最低限の役者をそろえる。登場人物は必要最低限に絞り、その間の人間関係を周到にかつ深く描き込む。

    ・会話は登場人物がそんなことを言う人間だという描写の要素も持つ。会話には「描写としての機能「作中人物への情報伝達の機能」「読者への情報伝達の機能」の3つがある。 読者へ情報を伝えるためだけに会話を使うと説明に見える。
    ... 続きを読む

  •  言っていることはもっともなのだけれど、情報がこま切れな感じで読みつらい。
     もう少し構成を工夫すれば全体的な流れが生まれたんじゃなかろうか。

     その時点で、本書の内容の説得力が薄い気がしてしまう。

     個人的に、論理的に物語の構成を見せるならば、平田オリザ氏の著書のほうがわかりやすく、個々の表現や演出ならば「「感情」から書く脚本術 心を奪って釘づけにする物語の書き方」の方が読み物として面白い。
     両方とも小説とは異なるが、物語という点では参考になる。
     というか、この本もあんまり「小説だからこそ」という表現には言及していない気もする。
    (そのあたりは個々の作家の個性のレベルであり、教えられないものなのかもしれない)
     たぶん、この本で重視される事柄と、私の好みのツボが違うのだろう。

     あとがきを見ると、著者自ら「えっ、なんで再販されるの?」という動揺が透けてみえ、好感度が上がる。そこが一番面白かった。

  •  内容が高度で、この本をガイドに小説を書こうとすると、難しくなってしまいそう。書き始めるときはうっかりしたことがたくさんあってもいいと思う。推敲や書き直しの時に参考にするのがよさそうだった。

     自分の考えと対立した考えを持っている登場人物を描くというのはすごく参考になった。意識せずにやっていたことであったかもしれないが、より意識的に次回以降取り入れたい。

     この本を出版した後に気づいたことがあとがきにまとめられており、創作も、創作のガイドも試行錯誤の連続であることが伺えた。

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