「つい感情的になってしまう」あなたへ

著者 :
  • 河出書房新社
4.13
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本棚登録 : 300
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309028750

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で「怒り」に関する分類の棚をボーっと見ていて、タイトルだけでとりあえず手にした数冊のうちの一冊。次の人の予約が入って延長できなくなったのを機に、一気に読んだ。

    例に出てくるシチュエーションが「あるある」でめちゃくちゃわかりやすい。
    自分が怒りで感情的になっている場面も「あー、やっちゃうわぁ」と思い当たるし、周囲の感情的場面に巻き込まれるのも「こういうことってあるわぁ」と思わず本に独り言言いながら相槌打っちゃうレベル。積読にしてないで早く読めばよかった!

    とはいえ、「果たしてそれでホントに解決するのかなぁ?」と思うところがいくつかあったので、星をひとつ下げた。

    個人的なことだけど、アンガーマネジメント関連の本って、読んだときは「なるほど!そうなのか!そうすればいいのか!」と思うんだけど、なかなか実践できないんだよな…。バンバンふせん貼ってメモするんだけど、わかった気になってばかりで、定期的に見直さないから結局身につかない…。

    実践あるのみ、なんだろうな。
    繰り返し繰り返し、感情的になるシーンに出くわすたびに訓練なんだろうな…。

    うーん。
    もうすぐ4歳になる娘が「避難訓練はこわいから、その日は保育園行きたくない」って言うたびに「訓練は大事なんだよ」と説明するんだけど、怒りの場面に関しては訓練というより、毎回ホンモノの地震や火事に見舞われてる気分がしなくもないけど…。

    まずは「つい感情的になってしまう」自分のパターンを思い起こして、自分が震源地にならないようにしよう…。
    夫の怒りの震源地に触れたときのために、とりあえず逃げ方をシミュレーションしておこう…。心もカラダも逃げ道が必要。

  • 「可哀想な存在」である実母と実きょうだいがとても感情的で一線を超えると暴言暴力に走る環境で過ごしてきたため、私自身はいくら年齢を重ねても「感情的である」ことへの恐怖や嫌悪が強い。

    彼女たちが発達や精神疾患の問題を抱えているから仕方がなかったと頭では理解できる。弱者は弱いだけでなく、時に攻撃的で苛烈である。

    いくつもの経験が画像としてフラッシュバックのように時折蘇り、本当は「自分が感情的である」ことが恐ろしくて、受け入れたくない。

    特に「怒り」や「寂しさ」「心細さ」について、長らく恥部のように抱え隠してきても、いわば沸き起こることが避けられない「感情」に私自身が振り回されてきた。「感情的でない」ふりを演じてくるストレスが膨らむ一方だった。

    人は抑制的でなければならない。
    感情的な人間は未熟で、みっともないと。
    感情的になっていては、忌み嫌うあの人たちと同じではないかと。

    そんな自己嫌悪からの重荷を少し軽くしてくれる良書に出逢えた。
    世間では「アンガーマネージメント」なるものもその組織もあるが、どうもうさん臭さを感じている。アカデミックではない。
    処世術や対処法として怒りを抑制する方法は流布しているけれど、著者水島さんの

    【感情自体が悪いのではなく、むしろそれは冤罪であり、沸き起こる感情を「大切にする」ことこそ、「感情的にならないこと」の大前提】

    という説明は目から鱗だった。

    特に否定的な感情である「怒り」について学べた。
    既読の水島さんの著書にもあったが、「怒り」という感情は「困りごと」の変化形であるということ。

    つまり「怒り」が沸き起こるのは自身のなかに「困った状況が発生している」ことであり、それを認知することがスタートとなる。

    怒りの源泉である、「予定が狂った」「軽んじられた」「今まで慣れ親しんだ事柄から突然変化に対応を求められた」等々、感情を細分化すると具体的な困りごとが見えてくる。

    それであれば感情を抑制するのではなく、むしろ「困りごと」をしっかりと認知して自分と向き合い、相手にどうしてほしいのか、自分がどう対処できるのかを適切な場面で適切な表現で伝えることが、暴走する感情を丁寧に掬い取る対処法となりうる。
    いわば平木典子さんのアサーションに通じることが分かった。

    本文P.33より
    「突然自分はひどいことを言われて、傷ついたからむかついたんだな」と自分の感情を肯定すると、少し様子が変わって落ち着く。
    「相手の言うことを受け容れるべき」と思っているときと、「それにしてもひどいことを言われたな、自分は大変だったな」と自分をいたわれるときとでは、「感情的」になる度合いも随分違ってくる。
    以上抜粋。

    【自分の感情を否定すればするほど、『感情的』になる】

    という説明には新しい気づきで光が少し見えた気がする。

    次にこの自分のなかに芽生えた一時的な感情を膨らませる要因が「感情的思考」であり、特に「自分は軽んじられている。尊重されていない。侮られている、馬鹿にされている」という思考は怒りや屈辱感を倦み続ける「感情的思考」であるというくだりには私そのものだと気づいた。

    問題は相手にあり、自分の所為ではないということ。
    それにより自分が傷ついた状態であり、困っていること。
    以上が分かれば、どうして欲しいのか、自分が何ができるのかを考えられる気がする。

    結構自分の所為にしてしまう思考の癖があるので、
    It's not your fault.これはキミの所為ではないと、
    自分を自己嫌悪や自責の念から解き放つ言葉も時には必要ということかな。
    ロビン・ウィリアムズとマッド・デイモンの映画グッドウィルハンティングの中でも何度も出てくる大好きな科白。

    トラウマのある家庭で育った人は感情的になりやすい傾向があるという説明にも納得。仕方がないんだな、私は。
    自分の感情をずっと抑制してしまうので、それも崩れたときの暴走に繋がることも自覚した。

    相手の言葉や態度で自分が傷ついた、困っていると「被害」を認知することと、「被害者意識」として「だから私は結局こんな目に遭うのだ」とか「こんな哀しい出来事ばかり続く人生なんだ」という「思考」ですべてを括ってしまうのは明らかに異なるという説明にも至極納得した。

    「被害」と「被害者意識」を明確に区別したいところ。「被害者意識」に拘泥されると人生が真っ黒に見えてしまうし、自分の取り得る選択肢も少なくなる。

    やはり言語で認知し、適切な場面で適切な言葉を使って相手に伝えることがとても大切だと再認識した。

    温かみのある言葉で「感情」特に「怒り」について説明がなされ、背負っている荷を少し軽くしてくれる良書に出逢えてよかった。

  • こういった系統の本の中で1番しっくりきた。大抵の本は無闇に寄り添って可哀想な自分という気持ちにさせられて嫌悪感を抱いていたが、本書はそんな私でもすっと受け止められるような現実的な内容。

    感情的な人は困っているかわいそうな人だと考える、というのは、親との関係に悩む私にとってしっくりきた。距離を置いた当初は怒りばかりだったが、色々な本を読むようになって、この考えは私にも生まれている。

    そうした親の血が怖く、自分もそうならないために本書を読んだが、実生活で実践していきたいと思う。

  • タイトル通りのことが知りたくて、読んでみた。

    怒りを感じたり、イライラしたりして感情的になってしまうメカニズムを解説し、それにどう対応するかを解説した本。

    とてもわかりやすかった。
    ・「怒り」とは自分が困った状態にあるということ。予定が狂って怒りを感じるのは、それで困っているから。怒るのではなく困っている理由を説明する。傷ついた、淋しいなど。
    ・怒りを感じたこと自体は肯定すること。
    ・自己肯定感が低い人は自分のダメなところ探しで忙しくて、心の安定が得られない。いろいろ至らないところがあっても、「今はこれでいい」と肯定して、目の前のことに対応していく。
    ・役割期待が裏切られても、怒らないで気持ちを伝える。
    ・言いたいことを責めるのではなく、お願いで伝える。
    ・自分にとっての「当然」は相手に伝わっていない。
    ・価値観の押しつけは相手の領域を侵している。
    ・自分の領域に責任を持ち、相手の領域を尊重できるのが大人の関係。自分の領域に踏み込まれても、自分の領域で人が何やらつぶやいてる、ぐらいに考える。
    ・求められない限り、アドバイスしない。それは他人の領域を侵している。
    ・自分の「正しい」と他人の「正しい」は違う。自分の「正しい」を主張するために多くの人は感情的になっている。それは「的外れな防御」で、本心から他人がこちらの正しさを認めることは極めてまれ。自分の正しさを相手にわからせる形で自己肯定感を得ようとするのではなく、自分の評価は自分が決める。
    ・自分は酷い目にあったけれど、自分の本質は変わらないと考えれば、許せるようになる。相手の行為と自分の気持ちは切り離して考える。
    ・何か不愉快なことがあっても、どうして自分だけ?という被害者意識を持たない。相手の行為は相手の領域。
    ・イラっでもモヤモヤでも何らかの感情がわいたら、ノートに書く。親友だったら何を言うかを書いてみる。
    ・「べき」という義務感に囚われるのではなく、「したい」という気持ちで生きていく。
    ・感情的になっている人には「勉強になるので教えてください。」と低姿勢で聞く。どちらが正しいかという次元でのやり取りをやめる。

  • わかりやすかったです。

  • 義母問題と夫婦喧嘩に疲れて手に取った本。
    手元に置いて、何度も何度も繰り返し読み返して、心に定着させたい1冊だった。
    自己肯定感の低い自分は感情的になりやすく、被害者意識も持ちやすい。そんな自分の気持ちで泣いてばかりいないよう繰り返し読みたい。
    他人に優しくなれる本だと思う。

  • 感情的になる理由を理論的に細かく紐解いてくれる本
    感情的になる理由は、予定が狂うから。

    自己肯定感の低さが関係。
    アドバイスは相手の勝手な呟き
    男の人は、言われたことを遂行するのは得意なので、話を聞いてほしい、などを伝える。

  • 言いたいことが言えなくてイライラを募らせていた私を救ってくれました。
    怒りとは?から問題を解きほぐし具体的で実践可能なアドバイスを書いてくれていて非常に参考になりました。

  • アンガーマネジメントの先を知りたい人の本。
    「私は困っている」という発送は面白かった。
    全然関係ないけど、イラストのカエルがとても好みだった。

  •  特に生理前に感情的になる自分がイヤで読んでみた。とてもわかりやすくて参考になった。

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著者プロフィール

水島広子【みずしま ひろこ】

慶應義塾大学医学部卒業・同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正などに取り組む。1997年に共訳『うつ病の対人関係療法』を出版して以来、日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。現在は対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)、対人関係療法研究会代表世話人、アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン代表。主著に『自分でできる対人関係療法』『トラウマの現実に向き合う』(創元社)、『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』(紀伊國屋書店)、『怖れを手放す』(星和書店)、『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)、『自己肯定感、持っていますか?』(大和出版)、『「毒親」の正体』(新潮新書)などがある。

「2022年 『心がスーッとラクになる 世界の美しい文様ぬり絵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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