- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309031019
感想・レビュー・書評
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読書記録 2023.6
#くもをさがす
#西加奈子
最近、自分の死というものに向き合う経験をした。すごく怖かった。
でもこの本で西さんが、他人の支えと日常の小さな幸せに感謝すること、自分の心も身体も、あるがままを受け入れることを教えてくれた。
心の底が温かくなって、少し前を向けた気がする。
#読書好きな人と繋がりたい
#読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み終えてから数日経ったけど、レビューする言葉が思いつかない。すごい本であるこたは間違いない。一生そばに置いておきたい本であることも間違いない。
人間の愛と情。生きること。選ぶこと。そこに自らが責任を負うこと。
そして何より、共に生きること。シンプルだ。どうせなら使い果たそうぜ。 -
壮絶なガン治療日記であり、日々の出来事が赤裸々に書かれていたが、病院エピソードに大体オチがついていて読んでいても辛くならなかった(日本、私の自由は〜終わりに は涙が出たけれど)
また登場人物が皆愛の溢れる方ばかりで本の至るところが明るかった
途中に入る本の引用で著者の深い感情を知ることができた
辛く壮絶でリアリティのある話なのに、読書中の気持ちや読後感がよかった
私も日常に幸せを感じるほどいつかの終わる瞬間を想像して怖いのだけれど、著者のようにそれを受け入れてその気持ちにうんうん、そうだね、と寄り添うというのが、目から鱗、これなら私もできるかもと思った
偶然見た朝イチで、こんな辛い経験お金に変えなあかん!と思って本出したと言われてましたが、この本を読んだらそれがいちばんの理由ではないと思いました。この本を世に出してくれてありがとうございます! -
人は「死」を認識した際に初めて見える世界がある。その世界は自分自身、周囲の人間だけでなく、私たちとは遠く離れた人間をも含む世界である。「私は、私だ。私は女性で、そして最高だ。」自分自身の素晴らしさ、他者の素晴らしさに気づくことが、生きていることなのではないかと感じた。
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どんな気持ちで読んだか、感情をうまく説明できないけど、この本をいま読めてよかったと思った。
乳癌の話は、読んでいて大部分が辛かった。明るいイメージの西さんだったので、余計に。
でもその過程で西さんが出会ったカナダ人のおしゃべりを標準語ではなく、関西弁にしてあるところ、しかもちょっとずつ関西弁の感じが違ったりするので、その人のキャラクターを感じ取れるようで読んでて面白かった。
私も子育て中に海外で数年間生活していたので、
西さんがカナダから日本に一時帰国されたときの日本の印象、海外生活との違いがかかれている章が共感の嵐だった、そうそうそう!そうなんですよって。
日本では、「自分は子どもが危ないかどうかちゃんとみてますよ」って周囲へアピールするために、子どもを注意してしまってることが多々あるとかも。
ホントに日本をでてみないとわからない、
日本の窮屈さと良さ。
検査は毎年受けているが、
とにかくお風呂はいるときに習慣的に
乳房に異常がないかは調べようとも思った。
あと自分には馴染みのない
「扇状的」という言葉が文で何回かでてきたので
調べたりした。 -
このエッセイには書かなかったこと、気持ちももちろんあるとは思うけれど、どうしてだろう。何かが染み入るような心持ちでページをめくった。
今、入管法の問題に関わるあれこれに心が痛く、ミールトレインなどなど友人たちがあれこれ力を貸してくれること、それを西さんも言えることなどなど、そして、どこの出身かに関係なく無料で医療を受けられることが素晴らしいなと思った。
このタイミングでこのエッセイを読むことができて、本当によかった。こちらもまた何度も読んでいくことになる1冊になると思う。 -
言えないこともあるようだがそこを差し引いても十分すぎるメッセージを発信してくれた
乳首がいるかどうか、考えたこともなかった
そうやなあ、わたしもいらんけど
母が乳がん罹患者なのでBRCA1/2遺伝子検査してみるかな
折り返し地点なので自分を知るいい機会かもしれない -
海外でのがん闘病生活を、著者ならではのユーモアを最大限に活かして綴られた自伝小説でした。
海外(カナダ)と日本の違いが、著者の体を通してとてもクリアに描かれていて、至る所に病院があり、健康問題には少々過保護に育った日本人の感覚からすると、カナダの病院は、さながら戦時中の野戦病院(映画やドラマで知っただけの知識ですが…)を彷彿させるものでした。
そこで働く人々は逞しくワイルドで、かなり大雑把で、ちょっと自分本位過ぎる部分もあるのだけれど、著者を通すと、なぜか憎めない、ユーモアたっぷりの元気いっぱいの人々に感じられるのはなぜだろう…。
海外で病気になると、心身ともに、かなり強固な自立心が要求されるのは間違いないと、小説を閉じてつくづく感じました。いろいろな意味で面白かったです。 -
この作品の情報は、いちばん最初、「西加奈子初のノンフィクション」というフレーズだけが私の耳に入った。
へぇ、西さん今度はノンフィクションなんだ、と私は軽く「読んでみようかな〜」なんて、思っただけだった。
そのあとすぐに内容について、つまりカナダでがんになって、治療をしたことを知った。
え、え、え!!西さんそうだったの!?と、とても動揺した。今はどうなの!?大丈夫なの???とそれが心配で、でも河出書房新社(出版元)は専用のTwitterアカウントを作って宣伝しているし、すぐにどうこうという病状じゃないのかしらなんて少し安心したりして。少しあとに、寛解されていることを知った。
西加奈子さんの作品は、すべて読んでいるわけではない(ごめんなさい)。『サラバ!』がとてもとても好きで、他に短編集を何冊か読んでいるだけだ。でも、私の好きな小説家と仲が良かったり、時折テレビ出演された時のふるまいや人柄が好もしいと思っていた。
読むのには正直勇気がいった。
ノンフィクションて言ったって闘病記でしょ、と思ったし、がんの恐怖を私自身が受け止められるのか自信はなかった。
でも、読み進めていくうちに、「あれ?」と思った。
明るい。何これ、すごい、大変な内容なのに、明るいってのはどういうことだ。
それは西さんの文章の力、文章が持つ光の力だった。カナダ人のセリフが関西弁で書かれているのも大きかったかもしれない。ところどころで挟まれる、小説の一節や曲の歌詞の力もあったかもしれない。
後書きにあるように、「書けなかった部分」こそが、深刻で、辛く苦しい部分だったとしても、私はこの本から光を強く感じた。
そして、定期的にがん検診に行こうと思った。