- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309207070
感想・レビュー・書評
-
長い長い道のりをやっと進み始めたばかりの気分。さてさてこの先どのような展開が待ち構えているのか⁉️
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2014年度のピューリッツァー賞を受賞した傑作小説。ディケンズを読んでいるかのようにドラマティックかつスリリングなストーリーテリング。日本語版は全4冊という重厚長大な作品であるが、いざページを繰ればあっという間に読み終えてしまった、というのが実感。
物語はレンブラントの弟子であったカレル・ファブリティウスの傑作絵画「The Goldfinch(ごしきひわ)」から始まる。一匹の鳥が静かに佇む絵画を巡り、主人公の少年テオは母と共に訪れた美術館で爆発テロに遭遇し、命は助かるものの、最愛の母を亡くす。奇跡的に生還したテオは爆発によって息絶えようとしている謎の老人の指示に従って絵画を盗み出したところから、歯車は急速に回り出し・・・。
主人公であるテオの成長に従って、極めて魅力的な周辺人物が現れ、物語の舞台もニューヨーク、ラスベガス、アムステルダムと緊張感を増しながら様々に移り変わっていき、一時も読者を飽きさせない。作品のメッセージが何か、という形而上学的な問題はさておき、脳に直結するようなフィジカルなストーリーテリングの面白さが味わえる文学作品はそうそうない。 -
3.69/255
『世界300万部突破、2014年度ピューリッツァー賞受賞の大作がついに刊行!
美術館爆破テロ――少年は母を失い、1枚の小さな名画を持ち去った。
ドナ・タートは並外れた作品を生み出した――スティーヴン・キング
爆発、友情、裏切り、犯罪、活劇、そして恋。
人生のすべてがここにある――大森望
堂々たる名作(クラシック)のような風格がありながら、テロ後の傷ついたニューヨークを少年に見立てた現代の物語でもある。変わらない美を守ろうとする孤児の主人公に寄り添って、永遠に一緒に冒険したい。読み終わるのが本当に惜しい本だった――山崎まどか
ストーリーテリングへの愛を呼び覚ます、驚くべき到達――『ガーディアン』紙(イギリス)
アウトサイダーを描写する、並外れた才能――『タイム』紙(アメリカ)
美しく、才気に満ちた文体による成長物語――『Volkskrant』紙(オランダ)
われを忘れるほど没頭する――南ドイツ新聞
素晴らしく魅力的な小説――『ル・モンド』紙(フランス)
卓越した作品――カーカス・レビュー
2014年度カーネギー賞受賞
Amazon.comベスト・ブック・オブ・ザ・イヤー2013
『パブリッシャーズ・ウィークリー』誌2013年ベストブック
美術館爆破テロで母を亡くした少年・テオは、その時美術館から1枚の名画を持ち去った――レンブラントとフェルメールを結ぶ画家、ファブリティウスの「ごしきひわ」。孤児となったテオはそのオランダ黄金時代の小さな名画とともに、波瀾万丈の運命を辿ってゆく。友情と裏切り、恋と失望、ドラッグとギャング、そして名画をめぐる恐れと魅了……。「21世紀のディケンズ」とも称された、長編大作全4巻。』
原書名:『The Goldfinch』
著者:ドナ・タート (Donna Tartt)
訳者:岡真知子
出版社 : 河出書房新社
単行本 : 308ページ(第一巻) 全四巻
受賞:ピューリッツァー賞、アンドリュー・カーネギー賞 -
好きな俳優さん関連の作品を履修中。
ゴールドフィンチは、映画化にアナイリン・バーナードくんが出るそうなので。
4巻通しで完結することを知らなくて、読み終えたときにテオの少年期だけで終わった。辛い…と思ってしまったけど、4巻通さないといけないことを知って安心。
母を亡くしたテオが置かれた状況は決して恵まれてはいないけど、関わる人々が一人一人個性的でこれからどう関係してくるのかなと楽しみ。忘れないうちに次々読んでいきたい。 -
*出版社様の太っ腹なご恵贈で全巻読みました。
全4巻に渡る長大な物語。
舞台はアムステルダム、ニューヨーク、ラスベガスにまたがる。
物語の主役は少年テオと、1枚の名画「ごしきひわ」(=ゴールドフィンチ)である。
冒頭はアムステルダム。若者テオはのっぴきならない状況の中、アムステルダムのホテルにいる。なぜこうなったのか。テオは回想し始める。
13歳のテオは、ニューヨークで、チャーミングな母と2人に住んでいた。ある日、2人は美術館の特別展に出かける。たまたま訪れたそこで、不運にも爆破テロに遭遇する。瀕死の見知らぬ老人から「ごしきひわ」を持ち出すように告げられたテオは、混乱の中、絵を外し、美術館から逃れ出る。
母はどうしたのか。持ち去ってしまった名画をどうしたらよいのか。
孤独な少年テオの遍歴はここから始まる。
「ごしきひわ」(1654年、33.5 cm × 22.8 cm、マウリッツハイス美術館蔵)とは、17世紀前半オランダの画家、カレル・ファブリティウスの作品である。ファブリティウスはレンブラントの弟子で、一説にはフェルメールの師であったともいわれる。残っている作品はさほど多くない。「ごしきひわ」が描かれたのと同じ1654年、デルフトで、都市の1/4を破壊する大規模な爆薬倉庫事故が起こった。巻き添えを食らい、ファブリティウスの作品の多くは失われ、画家自身も32歳の若さで命を落としたのだ。
画題である「ごしきひわ」はキリスト教にとっては「キリスト受難」に結びつけられる鳥である。受難の象徴とされるアザミの種子を好んで食べることに由来する。多くの聖母子像にも描かれている。
ファブリティウスの描いた「ごしきひわ」はおそらく愛玩用として飼われていたもので、脚にはチェーンが付いている。一説にはこの絵は、「だまし絵」として描かれていたともいい、壁に掛けた際に本物のように見せるためのものとも考えられている。
いずれにしろ、値が付かないほど非常に有名な絵である。
最初はほとぼりが冷めた頃そっと返せばよいと思っていたテオだが、事態は悪化していく。
母は爆破で亡くなり、子供であるテオは施設に入るか、不仲な祖父母の元に送られそうになる。絵をどうすればよいのか、それと同時に、自分自身がどうなるのか。
何とか友人の家に身を寄せるが、永遠にそこにいるわけにはいかない。
思春期の不安も相まって、寄る辺ない少年は苦悩する。
やがて、思いがけず現れた人物により、テオはニューヨークからラスベガスへと飛ぶことになる。そこで、破天荒な生涯の友に出会うことになる。
愛、友情、裏切り、流血、陰謀、詐欺、麻薬、絵画、文学、音楽。
物語が持つべきさまざまな要素がここにはある。
数多くの忘れがたいエピソードを散りばめながら、物語は大きく、終盤へと流れていく。
人生は残酷で無慈悲で、いずれにしろ破滅へと向かっていく。それでも私たちはそこから逃げ出すことなく、日々を紡いでいくのだ。街角でふとささやきかけられる、そんな出会いに支えられながら。
何ならそれを「奇跡」と呼んでもよい。
私たちが適確に言い表し得ないもの。目を凝らせば逃げ水のように消えてしまうもの。さりげない気配を残し、はにかみながら去って行ってしまうもの。
有限の中に潜む永遠。汚辱の中にきらめく真珠。
微かだけれどまぎれもなくそこにあるもの。
私たちは自分で人生を選び取っているようで、その実、「偶然」の積み重ねに動かされているに過ぎないのかもしれない。
長い長い物語である。陰鬱な胸を塞ぐ描写もある。主人公の選択にたびたびもどかしい思いもするだろう。
けれどもなお、物語の幕切れには、密やかに射しこむ光がある。
その謎めいた光の美しさはどこか、「ごしきひわ」という絵の魅力に似ている。 -
このボリュームが4巻続くのですね、、、苦笑
頑張って読みます。 -
これは・・・
同じような古典の名作があったよな気が・・・
と、思わせるような良い雰囲気