- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309207100
感想・レビュー・書評
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美術館爆破テロで母を亡くした少年・テオは、その時美術館から1枚の名画を持ち去ったー
2014年度ピューリッツァー賞受賞の長編大作。
再読
自責の念、PTSDの苦しみ、嘘の連鎖、信頼と愛情、裏切り。
全4巻と長いが、物語の世界に引き込まれてぐんぐん読み進める。以前読んだ時は圧倒された記憶があったので、じっくり読みたかった。
治療不可能な傷を負ったテオが最後にたどりついた境地。心の安全基地といっていいのだろうか…
それでいいんだろうかと思う部分もありながらも、それでも、すばらしい作品だとおもう。
登場人物も魅力的。特に、気品はありながらも虐待されたホッキョクグマのようなと形容されるホービーが好きだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ラストまで読み切ったが、私には少し向いておらず、やはりノルマ的に読み終えたことは否めない。
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おすすめされて読んだ本。登場人物が多く、十数年にわたる時間軸のある大作で、各賞を受賞した作品というのも納得。
最終巻を読んで印象的だったのが、主人公テオの父親に対する感情や評価だ。テオにとって父親は、母親や自分を搾取したロクデナシだが、主人公の親友ボリスにとっては愛すべき人物だということ。どちらも本当であり、揺るがないというのが面白い。
私の亡き祖母は、私にとって評価は低いが、他人からは称賛されていて複雑な気分になることを思い起こされた。家族しか知らない祖母の嫌な側面は事実であるが、他人が祖母に対して抱く尊敬の感情を否定できないなと改めて思わされたシーンだった。
ビンテージ好きのためアンティーク家具の描写は好きだったが、少年・青年視点の物語で、出くわす事件や葛藤や教養が欧米的なため、大部分が既視感ありつつの他人事で、正直なところ私には合わなかったが、文学的には大変良い作品だと思う。 -
自分にとって取り返しのつかないことが起きて、その傷は「修復」出来るかどうかも分からない。
何か優しいもの、明るいものを求める根底に、塞ぎようのない闇があるんだなぁ……。
何でそっちに行ってしまうんだろう、とか、取り返しようはあったんじゃないかとか。
これはホービー的な意見で、一見正しい。
でも、『ゴールドフィンチ』を持つことで彼の生き方は成り立っていて、それは正しいとか正しくないではきっと表せないものがある。
テオは、自分と同じように傷付いたモノを、純粋に探して、探して、より深みに嵌っていく。
だけど、大いなるモノと出逢ってしまったら、それに相応しい物語を演じるしかないのではないか。
それは、『ゴールドフィンチ』であり、美術館爆破テロでもあり、それに出逢ったことで、テオは主人公に「ならざるを得なかった」のだと思う。
勿論、この小説は誰かが書いたもので、そこには自然現象ではない故意や思惑がある。
裏返すと、私たちが目にしている世界の醜悪なニュース達だって、誰かの故意や思惑がある日待ち受けているものだとも言える。
どちらも非常によく似た構造で。
だから、この物語が終わりを迎えることに少し安心をしている自分がいる。
テオが歩んだから、テオには『ゴールドフィンチ』以外に持つべきものを手に入れたとも言える。 -
村上春樹が紹介していたという前情報の印象が強かったのだけど、結末でようやく気がついた。
これはディケンズだ。
しかし、ディケンズ的大団円ではない。
ばらばらになった世界で、ほんの少し繋がりながら生き続けていく。
近代以降の絶望的な寂しさを持ちながらも、力強さもある終わりだった。
訳もとても読みやすく、先の読めない展開が気になって、全4巻の長さも苦にならない作品。 -
長い!笑
でも、長さが苦痛になることは無かったので、自分には割と合っている作品だったのだと思う。
が、数々の賞を取っている世界的なベストセラー作品、と言う前情報から期待が高すぎたのか、、そこまでの感動は無かった。
最後に、どうしてこの絵でなくてはいけなかったのか、と言う事が分かった時、とても心に迫るものがあった。 -
少々冗長に感じるとことはあるが、読む価値のある小説。
うまく言えないけど、、、読む価値のある小説。
さっき読み終わったばかりだが、
もう一度最初からしっかり読み直す価値があると思う小説。 -
主人公のテオの最後の物語、今度はニューヨーク
からの逃避行そして行き着いたのは、
アムステルダム!
悪友のボリスに連れられ、訳の分からないテオ
だがあの絵を取り戻す為に練られた計画
を又破天荒なボリスに聞きテオは新たな
危ない深みにはまっていく。
そして、計画は失敗しテオはマーティンと言う悪党
を偶然にもピストルで撃って殺してしまう。
後悔と錯乱で、テオの精神はカオスの様に
悪夢の様なアムステルダムでの出来事をへて
何とかしてニューヨーク帰還。
そして最後は1巻の冒頭へと繋がっていく。
最後まで主人公を導いたゴールドフィンチ、
その美しい姿は彼の母親や愛してやまないピッパ
てして、ハービーの正直な生き方こそ
テオが生涯追い求めた美しい者たち、芸術、愛
なのだと思った。