- Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309207704
感想・レビュー・書評
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認知のゆがみを存分に堪能できる1冊。第1話からおかしさ全開なので、語り手の思考に一緒にはまると常識からどんどん遠ざかってしまうような錯覚に陥って抜け出せなくなりそうで、だからといって「ん?これはどういうことだ」といちいち疑問を投げかければ面白さが半減してしまう気がする。例えるなら波間に揺れる小舟に一人乗った状態なので、オールと非常食を装備のうえでなら安心して浮沈を楽しめるといった感じだ。
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家をテーマにした短編集。
内容紹介を読んだ時から気になっていたのだが、期待していた以上に『ヘンな話』だったw こういうの好きだなぁ〜。 -
装丁に惹かれて購入。
登場人物の誰かひとりが必ず認知症っぽい言動をしているにも関わらず、どこか笑えて和んでしまう空気が魅力。
長編も読んでみたい。 -
家や家族をモチーフに、日常生活の延長上にありながら少しずつずれていく怖さを描く7編を収録した短編集。
道に迷い見知らぬ人の家に入り込み制御ができなくなる母と娘、庭で全裸で遊ぶ祖父母に困惑する元夫婦など、一度脇道にそれた事態は加速度的に悪い方へと転がっていく。明らかな狂気ではなく、読んでいて居心地の悪くなるような哀れなおかしさを伴っている。
5ページ足らずの短い作品が多いなか、70ページほどの「空洞の呼吸」にはとくに圧倒された。年老いた女性の視点で書かれたこの作品、正しいと信じていた世界が徐々に曖昧になり、真相とともに悲劇へと進んでいく終盤には心底ぞっとする。
新聞の書評欄で知った作家だが、作品自体もまだ多くはなく、日本語に翻訳されたものが少ないようで残念。もっと読んでみたい。
余談だが、巻末にある海外文芸書の紹介では、未知の作者や作品に出会える。おもしろそうなものがいくつかあるので、図書館で探してみようっと。 -
家庭の問題の話だろうが、何処かつかみどころがない、理解に苦しむ小説だった。
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2022I188 963/S
配架場所:C1 -
装丁に惹かれて購入。
新聞紙のような紙を使っているオシャレさに星5をあげたい。
話ですが、認知症の方が喋ってるような意味不明な展開が続きます。
なかなか人を選ぶ作品なので、私みたいにオシャレだからと安易に購入してはいけません。 -
前作(口の中の小鳥たち)は真面目で硬い文章で、彼女の持ち味であろう奇妙さを存分には味わえなかったが、吹っ切れたのか腕が上がったのか、今回は非常に読みやすく、解りやすい。人間同士が接していて突如相手の中に狂気を見つけ、恐怖に凍りつく、といった状況。他の南米作家に比べると、独特のユーモアさシニカルさが、湿気伴う重苦しい空気の存在感を独自の居場所にしている。読み終わるとカステラの底についてる薄紙みたいにピッタリ哀しみが貼り付いている。しんどい→追い詰められ→狂気→哀しみ。
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おもしろかった。いい意味で「南米文学」を裏切る作品だと思った。小山田浩子とか、今村夏子、藤野可織と似ているような気がする…。家、夫、失った子ども、箱というモチーフ。ある程度みんなが了解している「あたりまえ」を斜めから見つめる視点。多くの場合、俯瞰としての「あたりまえ」は、近寄って見れば、全ては個人的な出来事なのだ。家の中、といった小さな世界でこれを描けるのは女性作家ならではという気がする。子をなくす親、子供のようになった親をみる子ども。喪失の空洞と惰性や愛着で持続する関係。
装丁もステキ。長編も翻訳されたら読みたい。