ミルク・ブラッド・ヒート

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 164
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309208787

感想・レビュー・書評

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  • 多くの評論家が才能を絶賛する女性作家のデビュー短編集 Milk Blood Heat – 洋書ファンクラブ
    https://youshofanclub.com/2021/08/17/milk-blood-heat/

    Dantiel W. Moniz
    https://www.dantielwmoniz.com/

    押野素子|note
    https://note.com/moraculous/

    ミルク・ブラッド・ヒート :ダンティール・W・モニーズ,押野 素子|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309208787/

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    ダンティール・W・モニーズ 岸本佐知子 訳 「敵の心臓」
    文藝 2022年春季号 |河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309980393/

  • フロリダ州ジャクソンヴィルに暮らす主に黒人女性を主人公にした短編集。タイトルからパトリシア・ハイスミスの『キャロル』に出てきた、ホットミルクの味を血と骨と髪にたとえる印象的な一節を想起したんだけど、まさにそういう生温かさ、母乳と血液の温度を感じさせる作品が連なっていた。主に黒人女性と書いたけど、私が一番好きだなと思ったのは、黒人の中年男が主人公の「天国を失って」。彼の足をすくったのはいわゆる有害な男らしさだと思うんだけど、でも彼の滑稽さや弱さには性別を超えて人間ってそうだよなと思わせるものがあって、他の短編にしても、母、娘、そうした属性ならではでありながら属性を超えるというのかな、人間としての普遍性がじんわり描かれていて、訳者あとがきにも「弱さや欠点を含めてありのままに人物を描くことで、『人種』を超えた『人間』としての輪郭を際立たせている」とあり、そうそうそれ!と思った。その普遍性が結果的に誰かに固有のしんどさに思いを寄せる力になることを作者は願っているんではないかな。流れるような文章には、好きな映画の長回しの場面を観ているようなここちよさがあり、ときどきハッとするような秀逸な表現が出てきて、巧い作家だなとつくづく思った。もちろん、翻訳がいいというのもあるんだけど。
    他には『文藝』掲載時に読んでいた「敵の心臓」の、娘に許しを乞う母親、女性の自己決定権なんていう言葉からこぼれ落ちるような感情をすくい取った「欠かせない体」が良かった。
    「ミルク、ブラッド、ヒート」というのは少女の衝動が初っ端から衝撃的な表題作の他、最後に収められている「骨の暦」にもさらっと出てくる。これ、ほんとイメージの喚起力に富んだタイトルだと思う。あと、この本は表紙もいいけど、ページや各編のタイトル、ルビのフォントが凝っていてかっこよかった。こういう短編集が読みたかったんだよな、と思わせてくれる一冊でした。

  • 読むとひりひりする。南の方は知らないアメリカだ。結構違いそう。女のひとの気持ちの動きは結構共通だったりすると感じる。

  • アフリカン・アメリカンの注目の書き手の一人。
    随所に滲む、肌の色、性差による差別。
    内面化され自覚もないままに吐き出される差別。
    それらに塗れながらもタフに生きる姿が、特段美化されずにごろりと描かれる。

  • ふむ

  • 朝日新聞202378掲載 評者:小澤英実(東京学芸大学教育学部准教授、アメリカ文化、身体論、演劇論、批評理論)

  • 1989年生まれのアメリカの作家。
    短編集。
    『THE LOSS OF HEAVEN』(天国を失って)
    奥さんが癌で、近くのバーの女店員が気にしてくれて。
    奥さんが実家へ。バーで親しそうに飲んでいて、喧嘩になって、女店員に知らんぷりされる。ああ。

  • ひりつくとはこのことか。

     描かれる短編の主人公すべてが黒人の血が混じり、直接、間接的にその血であるが故の物語だ。人生にはいろいろなことが起こり、すべてを受け入れて生きていく。

     こんな物語は翻訳小説でないと楽しめない。一晩ごとの小劇場だった。

     本書は図書館へのリクエストで読んだけれど、手元に残しておきたい一冊だった

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著者プロフィール

1989年、フロリダ州ジャクソンヴィル生まれ。現在はウィスコンシン大学マディソン校アシスタント・プロフェッサー。表題作がアリス・ホフマン小説賞ほかを受賞。全米図書賞「5 Under 35」に選出。

「2023年 『ミルク・ブラッド・ヒート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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