21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309227887

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらずこの著者の洞察は素晴らしい。
    今回はテーマに広がりがあるため、人によって興味をポイントと持てないポイントが出てくるのは仕方ないと思われるが、個人的にはテクノロジーや人の生きる意味のところが面白く、最後には「瞑想」という名の章を持ってくるのが粋に感じられた。前作までの内容と同じく世界というスケールの大きな話ももちろんあるが、今作は個人としてどう生きるかというところにも触れられていてすごく考えさせられる内容でした。

  • 人類の課題、難題、真実についての深い考察が21のセクションにまとめられた一冊。個人的には【 教育 】について書かれた部分に一番共感を覚えた。変化こそが唯一不変と説く著者が、不確かな未来で必要になる能力を解説している部分は必読。読後は今よりも広い視野で世界を見渡せること間違いなし。

  • ずっしりとハードだったがようやく読み終えた。この本は読んで良かったと思う。なんか達観した気分(少なくとも今は)。メディテーションちゃんとやろ。

  • サピエンス全史、ホモデウスで有名な著者の最新作。現在起こっている21の論点を取り上げ、現状の課題分析と今後の予想を紹介している。雇用、平等など各章で異なる内容をピックアップしてるが、章の繋ぎが丁寧で読み物としても面白い。
    特に面白かった点は以下の通り。

    ①AIと情報テクノロジーで、大格差が生まれる
    ほんの少しのエリートが情報テクノロジーやAIを管理する一方で、現状の仕事と大半はテクノロジーに代替されるので、多数の人間は労働価値は無くなる。よって、無産階級という職に付けない多数の労働者が生まれてしまう。加えて、生物化学テクノロジーの進化によって、アップグレードされたエリート層と現状維持の中間・貧困層に分割される。

    ②人間はアルゴリズムになる
    今までは自由主義が思想の中心で、自分の考えや意思こそが不変と思われていたが、情報テクノロジー革命によって、思想の中心はデータ分析へ移行した。GoogleやFacebookなどに自分の行動を全て把握され分析させることで、意思決定さえデータに依存するようになる。この意思決定において、人はもはやデータとアルゴリズムでしかない。

    ③グローバルな協力が必要
    気候変動問題、国家間の紛争、宗教対立などは国家間の協力ではなく、グローバルな協力無くしては解決できない。気候変動を例に取ると、中国で排出される大量のCO2は中国の大気汚染だけでなく、海面上昇によってツバル国民の生活を脅かしている。

    ④戦争は非効率
    中世は戦争をすることで領土を奪い国家を発展させることができたので、実入りの良いビジネスだった。しかし、現代では国家の発展は領土ではなく、情報テクノロジーに支えられているので、国家間の戦争で領土獲得をしても、費用対効果が低い。この点で、テロも効果的な戦略とは言えない。しかし、テロリストは恐怖を植え付けるために、過激な活動を継続する

    ⑤ポストトゥルース
    人は真実ではなく、信じたい物語を信じる。宗教、国家、資本主義などはそれ自体が実体の無い虚構だが、みんなで同じ物語を共有することで協力できる。これがポストトゥルースの意味であり、人は真実の探求から、信じたい真実を作り上げるというフェーズに移行した。ポストトゥルースの時代では、信じたい物語に人は引き寄せられるため、フェイクニュースも信じてしまうというリスクがある。

    ⑥人生の物語はあなたが決めていない  
    人は自分のアイデンティティや考えは自分の意思で決めていると思っているが、自分が無意識に信じている物語によって意思決定されている。虚構は物語を作り、あなたに役割と犠牲を与え、あたかも人生に意味があるかのように伝える。例えば、私は会社員をしているが、営業職という役割が与えられ、自分の仕事を通じて、「営業職で得たスキルや経験」というアイデンティティが形成されていく。会社という物語に私が属していることさえ、日々の生活では強く意識しないので、アイデンティティは自分の行動によって生まれたと誤解してしまう。自分の心や意識は自己決定していると思いがちだが、所属している組織やバックグラウンドによる物語と、揺れ動く心によってランダムに決まっている。
    自分の心をコントロールして、物語から離れた意思決定をしようと思えば、瞑想をして自分自身の心の動きを観察することが大切。

    ⑦アイデンティティのポートフォリオ
    人は宗教、会社など様々なポートフォリオから自分のアイデンティティを形成する

  • 全てが課題提起。

    人間は道具を新しく創造するのは得意だが、その影響が及ぼす出来事は把握できない
    搾取ではなく存在意義の喪失
    道徳とは苦しみを減らすこと
    沈黙は中立ではなく、現状の支持を意味する
    ほとんどの物語は、土台の強さではなく屋根の重みでまとまりを保っている

  • 今の社会の問題点のいくつかは、人類の歴史の観点から理解できると著者は述べている。面白い、分かりやすい視点だと感じるものも多い。そして、大きな変革まで残された時間はあるが、長くないと。

    宇宙と地球の大きな歴史の流れの中で、人間とは何なのか、自分は誰なのかと考えると、随分とものの見方が変わる気がする。そういう人が増えればいいのだが、残念ながら人間はそんなに立派な生き物ではないようだ。

    全てをアルゴリズムが決めてくれる時代が来る。それを良しとする、それに満足する人も多くなるだろう、というフレーズがあった。それでも、個人的には譲れないところ、こだわるところを持っていたい。そのためには、しっかり頭を使って考えねば。

  • 内容は良かったと思うが、前作までのインパクトが強すぎて、限界効用逓減の法則が効いてしまっている。正直、残念。

  • ほとんどの人間の存在が不要になっていく世界でどう生きるべきかという話。政治宗教から人間の内面物語などとにかく話が多方面にわたっているが、前作前々作から前提が同じなのでスッと入ってきてとても説得力があった。
    本当に面白く、まちがいなく今世紀の必読書。

  • サピエンス全史、ホモデウスを読んでいたら、改めて読むほどのことはなかったかもしれません。
    映画マトリックスのくだりは面白かったです。

  • ハラリ氏の著作の面白さは私たちが普段気づかずに生きている物事の本質を説いてくれるからだろう。本作も核となるのは、サピエンス全史から続く虚構の物語だ。人間は虚構を信じられたからここまで発展してこれたが、それゆえの問題にぶち当たっている。本作はそれらの問題を章を変えて説明しながら、何が問題で、原因は何なのかを丁寧に解説してくれる。虚構を全て取り払って現実に向かい合う方法として瞑想が紹介されているのも納得できる。我々皆が虚構を取り払い現実とありのまま向かい合ったら社会はどうなるのだろうと考えずにはおれなかった。

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著者プロフィール

歴史学者、哲学者。1976年イスラエル生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻し博士号を取得。現在、ヘブライ大学で歴史学を教授。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』。

「2020年 『「サピエンス全史」「ホモ・デウス」期間限定特装セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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