差別の日本史

著者 :
  • 河出書房新社
2.00
  • (0)
  • (0)
  • (2)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 71
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309228426

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 難しい…

    あー、なるほどと思うこともあれば…
    難しい…

    眠くなる教授の授業を聞いてる感に襲われた。

  • ”奴婢”という単語には、女偏の字が2つ入っているからこの2文字で名指しされる人はよほど身分が低いとわかるものだ とインパクト大なイントロから入る本。たしかに女偏の漢字一覧見てると気持ちがどんよりしますよね…

    本全体はQ&A形式で、特に古代から始まる下層民の経緯についてなど勉強できてよかったが、一方で、LGBT差別や女性差別、外国人差別はあまりにもテーマが大なのに文字数(とおそらく作者の専門性もマッチせず)不足で、もっと日本の歴史的な差別構造だけにフォーカスしたほうがよかったのではないだろうか。例えばLをレズ、Bを両刀使いって書くのは今の時代には合わないし、短縮語っておおむねそれ自体が差別語だからね…

  • もう少し読み物として面白いのかと思った。
    差別に関しての意見の参考にはなりますが、知識を深めるというより著者の意見を聞いている感。大学の講義の質疑応答集と言えば良いのか。これはこれで味がありますが、そもそもの差別に関して理解を深めようと思ったら他の書籍からスタートした方が良い。

  • Q&A方式になっているが、QとAの対応がイマイチな印象。
    またそれぞれの分量が少ないと思う。

  • 図書館でたまたま見かけて、黒字に白と赤の文字が目立っていた。で、最初をぺらぺらと見てみるとがっつり日本史だと思って読み始めた。日本史に興味があるわけではないが、差別の歴史のあれこれかなと思って手にした。

    質問に答える形式で、差別の歴史が語られる。乞食の話から始まる。



    20p 「平等」などという考えがない時代です。

    平等という考えのない時代の『身分制度』について書かれている。
    私も平等という思想は近代的なものと思っているので、それに異論はない。さらに最下層の人ほど、宗教にすがるというのもごく当たり前の事だと思う。為政者たちの都合のいいように宗教が使われるのも日本だけではなくて、世界的に当たり前というのも知っている。

    私が日本史に詳しくはないので、『日本の歴史のあれこれ』だと思って読んでいた。身分制度の変遷のあれこれも『差別』を考えるためのものなのかなと。

    半分以上読み進めて近代史に近くなると、途端に【怪しく】なる。



    114p 差別が関係性で決まっているとわかったとき、差別事象はすぐにはなくなりませんが、「差別語」は潮を引くように少なくなりました。

    これは『26.部落差別はなぜ生まれたのですか』という中で書かれていて、ここにある『差別』とは『部落差別』に置けるものについて書いてあるが、ついこの間のツイッターで2000年代においても部落出身者という事で結婚を断られたという話を見かけた。

    私は、部落について調べてみた事もあるのだが、身近にないので掴めない。もしかしたら、Twitterの文面も嘘だった可能性もあるが、本当だった可能性もある。どちらかなのかを判断する事は非常に難しい。とはいえ、たとえそれが『部落』ではなくても母の時代には『家の格が違う』と言われて結婚に反対される事例はあった。つまり、少なくとも母の時代にははっきりとした差別はあったのだ。

    それを考えると、部落差別を『関係性で決まっている』というのはなんだか違う気がする。



    モヤッとした私の感覚は外れていない。

    この後にさらに本の内容は酷くなっていく。



    『27.女性は何故差別されるのですか』

    115p ものすごく大きな事柄を小さな知識に引き寄せ、全貌も分からないのに、男女の賃金格差や家庭での役割分担などに矮小化して理解しようとしている。「性差別」とか「ジェンダーギャップ」と言ったとたん、もう近代の罠にとらわれていませんか。



    あれだけ細かく、日本史について『身分』のあれこれをいっていたのに、女性差別になった途端に歴史が消え去った。なんだ、この解像度は?と思ってしまった。
    その後にオスとメスがまぐわらないと繁殖できないじゃないか――という話が繰り返される。吐きたくなりました。ここは、女性がいかに社会から除外された存在であったかを『歴史』からひも解くんじゃないのか。なぜ、ここで生命論や神話が出てくるんだ?

    さらによく分からない『女性を保護する目的で、社会から切り離された』という仮定の話が出てくる。いや。だから、それを仮定する証拠はどこにあったのかを出してくれ。それが出来ないなら『歴史』ですらない。そして、そんな仮定はネット上で腐るほど『男女差別なんかない』と叫ぶ男たちが言っている。

    この後に『フェミニズム』についても書かれている。



    125p これまでの「歴史」の通念に照らせば、「女の歴史」はありません。

    それを差別と言わずに何を差別というのだろうか……。それを書け。『女の歴史がない』という事がすでに差別なのだと書けばいいのに、続く言葉は

    125P と、いうことは、何千年もの期間、男子女子とも「女の歴史」を必要としなかったともいえます。「男の歴史」を男女で共有していればそれでよかった。つまり、自分が産んだ男の子が成人し、表舞台でスポットライトを浴びれば誇らしい。

    私、間違えてた。『差別の歴史』を丁寧に紐解いていく本かと思ったけど、『歴史を見ても差別は存在しなかった。だから、今も存在しない』という人の本なのか。と、意識を変えました。

    この後はこの調子で続くのか……と思ったけど、頑張って読み進めた。

    さらにフェミニズムについては『女たちが男性と同じように働こうとしたから、パートや非正規で働く女性が増えてさらに分断が進んだ』と言う風になっていた。

    北欧ではそうなってるけど、日本の場合そもそも男性の賃金が下がっていて、夫婦共働きでやっと生活できるレベルで、子供がいたら短時間勤務しか出来ないという話じゃないのか。男一人で家庭の稼ぎを賄えないという前提が抜けてる。

    もちろんこれも、『格差の立ち位置』によって違うので、裕福層は男一人で家庭が回る。中間以下は男一人ではどうにもならないというものだろうけど、分断が進んでいるのは女性の社会ではなくて、社会構造そのものだと思う。



    『28 マイノリティーは差別されるということですか。』

    128p そんなことはありません。マイノリティーはマジョリティーと対になって使用される言葉で、日本語にすれば「少数派」と「多数派」です。

    頭が吹っ飛びそうになった。何、その理解? 差別に関する本を読んだ? 歴史はあんなに事細かに詳しかったのに、マイノリティーとマジョリティーを少数と多数って言っちゃうの?
    マイノリティーは『社会的弱者・社会的に地位の低いもの』という意味。数で言うなら、女性の方が数が多い。でも、女性はマイノリティーに入る。なぜなら『社会的に地位が低い』からなのだけど……なぜ、多数と少数という理解なのか。差別についての知識は一般の人が多少かじった程度という理解なのだろうか。いや。私もかじっただけだけど。



    131p 何が差別語かと問われれば、「それを言われた人が不快に思い、その場から去りたいと思う言葉」と定義しています。

    『差別語』だけが、問題なわけ?差別に付随するものは言葉だけじゃなくて、態度、視線etc.があるけど。

    そして、差別語は「その場から去りたいと思う言葉」ではない。踏みつけられる事に慣れてしまった人間は、それを『不快』だと思う気持ちすら奪われている。……差別の構造から学習してきてくださいと思う。



    『29 いじめと差別は関係ありますか。』
    131p はい、「いじめ」は差別です。



    ある点では間違ってないような気もするけど、根本的に違う気がする。
    いじめとは病理を持った加害者による憂さ晴らし……という『加害者側』の問題で、『被害者側』には問題はないと私は思っている。子供の場合は『言葉の選び違い』『行動選択の間違い』なども含まれそうだけど、その場合は大人からの指導が必要なわけで。大人の場合も第三者による、加害者側への指導は必要かもしれない。



    さらにここに武勇伝として『苛められっ子と決闘をした話』が書かれている。決着は書いてないが、筆者は『よわっちいから勝てる』と思われて対戦相手に選ばれたらしいと書いてある。さらに周りも『すぐにまける』と思っていたと。

    それは筆者もまた、そのクラス内で『差別の対象であった』という事なのだが……そんな事は書いてない。ただ、いじめられっこはそれ以降は虐められなくなったとだけある。何処が武勇伝なのかさっぱり分からない。いじめられっ子の味方をしたわけでもなく、決闘に負けたわけでもなく、相手をボコって決着がつかなかっただけの話。



    最初にモヤッとした『差別は関係性』という文面はいたるところにちりばめられている。
    なので、この人はこの感覚なのだなと思って読んでいた。でも私は『差別は社会構造の問題』だと思っている。そんな言葉は出てこないのかなと思ったら、出てきた。最悪の形で。



    『30 LGBTと差別について教えて下さい』

    138p 賤視された人が、同類の中の誰彼を選別して差別し、自分は彼らの同類ではないと主張する。結果、「差別の社会的な構造」をささえてしまうのです。



    抜き出してみると、ものすごくまともな事を言ってるような気がする。でも、残念。この文章の前にはこんな言葉がある。



    138p (LGBTの分類の項目は増え続けています。その中に)死体愛好や小児性愛のような性的傾向を持つ人も加わりたがりますが、参入を拒否する人もいる様です。



    カッコ内は前の文章をざっくりまとめたのです。要はLGBTに死体愛好や小児性愛を入れたらいいじゃないか。入れないなんて差別だと書いてあるの。著者はLGBTで、あなただったら入れたいと思っているのだろうか。死体愛好や小児性愛のお知り合いでもいるのでしょうか? でしたら文句はありませんが、そうではなくて、LGBTではないけど……と続くのなら、黙ってくれとしか思えないし、LGBTへの侮辱です。あなたたち異性愛者の中に死体愛好や小児性愛を入れても問題はないと思いますよ。どうぞ、異性愛を自由に語り合えばいいです。(という、暴言を言いたくなってしまった。)



    この後はユダヤ人やジプシーの人など海外の話も出てくるが、なぜ『日本史』と銘打っているのに海外まで手を出したのか。

    理由は『西欧的価値観の否定』を入れたかったからだろうと思える文面がチラホラある。『日本史』はすでに捨てているようですね。西欧が嫌いということは分かった。



    『36 「地名宗鑑」とはどういうことですか』

    この辺りから部落差別者への差別的な感覚を惜しげもなく、書きだしてある。ウィキにこんな事まで書かれた。自分は悪くないのにという私怨も吐き出されている。その私怨を書くためにこの項目を作ったのだろうか。これ以降の項目も私怨が差し込まれている。『日本史』は消え去った。



    『40 人が生きている以上、差別はなくならないのですか』
    175p そんなことはありません。預言者ではないので百年さきとか二百年さきとか、年月は決めかねますが、でも、ある日、うたかたのように消え去るでしょう。



    魂が抜けた。いや。そんなバカな。何言ってんだこの人? 

    さらにその理由が続く



    175p 「差別」というのは、近年だけに通用する「便利な道具」なのです。



    ん? 差別は道具って……なんだそれ???
    つまり、差別差別ってうるさく言いやがって、女子供も不具者も黙って男に従え。というやつなのか。いや。分かっていたけど、こんな歴史でも何でもない場所に辿り着くとは思わなかった。



    差別は消えない。
    私たちは常に新しい価値観と、新しい視点を取り入れて『誰かを踏まないように』言葉と態度を選ばなければいけない。
    それは同時に『自分が踏まれない事』でもあるから。

    それでも、間違ってしまう事はある。その間違えさえも『許せる』寛容さは必要。



    とはいえ、こんなゴリゴリの差別を平然とされて『自分はいい人』という態度+本気で自分は差別をしない人だと信じているので『相手を踏む言葉を発していても気が付いていない』のは読んでいてキツイ。

    歴史だけ書いてあったら、黙って読めたのに。

  • 古来から差別について述べられているがネット社会になって以降の現代については物足りない。
    歴史を通して見るとスティグマはともかく差別ありきで社会が廻っていることが認識される。

  • 記者から作家へ、くらいしか経歴のない高齢男性の素人持論歴史ご意見本という感じだった
    きちんとした史実等を求めて読むのはおすすめしない
    せめて女性差別やLGBTQのあたりは専門家や研究者の監修を入れるべきでは?
    作者自身が場合によっては蔑称ともされる言葉を(おそらくなんの意図もなく、本人の「普通」として)使っていたり、明らかにフェミニズムが理解できていなかったり男性優位視点だったり 自家出版本の性質が強いのか?
    差別を扱うにしては作者自身が…?と訝って少し検索してみたところ…
    図書館では選書してほしくないタイプの本

  • 「日本史」という表題の割に、学術論文的な小難しさはなく、Q&A形式でまとめられていて、取っ付きやすかった。

    歴史学者ではないのだから、もっと庶民の側から見た、市井の民俗学史的な筆致を期待していたので、そこは残念。

  • 1 平城京と平安朝の下層民(古代日本の奴婢とはどういうものですか。;「五色の賎」とはどういうものですか。 ほか)
    2 武家政権下の下層民(武士はひくい身分に置かれたのですか。;白山神社は賎民に信仰されたのですか。 ほか)
    3 
    徳川政権下の下層民(身分差別とはなんですか。;江戸幕府は「士・農・工・商・穢多・非人」の上下関係を明文化したのですか。 ほか)
    4 近代社会の下層民(「解放令」とはなんだったのですか。;「新平民」はなぜ差別呼称なのですか。 ほか)

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

1938年岡山県生。作家。河出書房新社編集部を経て著述業。主な著書に『浅草弾左衛門』『車善七』『江戸東京を歩く 宿場』『弾左衛門の謎』『異形にされた人たち』『乞胸 江戸の辻芸人』『吉原という異界』等。

「2020年 『差別の近現代史 人権を考えなおす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

塩見鮮一郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宇佐見りん
ミヒャエル・エン...
オルナ・ドーナト
西 加奈子
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×