弔いの哲学 (シリーズ・道徳の系譜)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309241937

作品紹介・あらすじ

弔いとは「断絶」を思い知ること。死と生を断ち切るなかから新しいモラルをたちあげる哲学入門。

感想・レビュー・書評

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  • 気鋭の哲学者の送る、優れた倫理学の書。〈弔い〉とは、死や死者と、生者たる自分とのあいだに断絶を思い知ることである。つまり、ある死や死者が私の生と関係していると考えてはいけない。死者を「英霊」や「無名戦士」として祭るのではなく、その人の〈顔〉を思い浮かべ、その人の名を呟くことが本当の「弔い」である、と著者は語る。首相が堂々と靖国神社を参拝し、石原慎太郎という「空疎な小皇帝」が求心力を持つ今、これだけ死者に誠実で優しげな視線を向ける本があるとは思わなかった。十五年戦争アウシュビッツの記憶が薄れつつある今だからこそ、この本は読む価値があると思う。

  • [ 内容 ]
    これまでの生命=生殖論を覆し、生と死を根底から見直すための未来の哲学。

    [ 目次 ]
    第1章 未来からの視線―生命・自然(死と死者にとらわれた時代;未来の予測―地球温暖化・環境化学物質・移入種・バタフライ効果;未来の兆候―ターミネーター・エイリアン;性と死―生ける屍;生殖の未来―フランケンシュタイン博士・モロー博士・ダナ・ハラウェイ;有望な怪物―優生思想批判)
    第2章 生殖技術を万人のものに―「交雑個体」を歓待する(論外なこと;生殖補助技術;クローン技術;新胚作出技術)
    第3章 未来と生殖をめぐって

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 誰かの死と私の生の断絶を思い知るということが本当の意味での弔うということ。しかし人はその現実を直視できない。誰かの死は私の生活と密接に関係しているので、それを誤解して誰かの死と私の生との間にある関係を妄想してしまう。そしてその時に喪は<仕事>になる。それは真の意味での弔いとは別である。他人を失ったことによって自らが何を失ったかを少しずつ確認してそれに慣れていいったり、別のもので埋め合わせていったりする作業はまさに世俗的な仕事である。

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著者プロフィール

小泉義之(こいずみ・よしゆき)立命館大学大学院先端綜合学術研究科教授(哲学・倫理学)

「2016年 『反東京オリンピック宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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