子どものための哲学授業: 「学びの場」のつくりかた

  • 河出書房新社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309247014

感想・レビュー・書評

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  • 哲学

  • 2017.7.22
    哲学とは、意味と価値と根拠を問う学問である、というのは、改めてハッとさせられるものであった。また思考とは対話の内面化であり、それはつまり、対話の方がより志向の形式としては根源的であるという点もその通りだと思った。
    対話とは全く異なる意味、価値、論理を持つ人間同士が語り合うことである。理解するために考え、理解してもらうために考えなければならない。この対話の哲学に、私は自らが生きることのなにがしかの正解を求めている。価値相対主義の中で自らの基準を持てず、世の中に流されるニヒリズムに対し、互いに問い合うというコミュニケーションは、自らへの問いを回復することと、他者の異質な価値観に対立することなく向き合うことの両方が、つまり自己関係と他者関係の両方の回復が見込めることなのではないだろうか。
    哲学対話とはあくまで実践である。こうやって呼んで考えて、だけでなくて、是非とも実践の場が欲しいなと思う。と同時に、対話の哲学の可能性を探求していきたいと思う。必要なのは難しい概念とか、そういうことではない。私たちに必要なのは、どんな稚拙なものでもいいから、問うこと、なのではないだろうか。だからこそ、子供だって哲学ができるのである。そういう哲学を、決して難しくない、哲学する=生きると言えるような次元での、万人に開かれた哲学を、考えたい。そこに、この時代の閉塞感を打ち破る一つの光明を見たい気がする。

  • 子どもが想像力と思考力を広げ、自ら考えられるようになるための、哲学対話の方法と効果を実践的に描く。知識の身につけさせ方のみを考えるのではない、新しい「学び」のための教育論。

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著者プロフィール

1923年にアメリカで生まれる。2010年没。コロンビア大学で博士号を取得した後、同大学で19年間にわたり哲学の教員を務める。1969年に教材用の哲学小説『ハリー・ストットルマイヤーの発見』を執筆して、子どものための哲学と呼ばれる哲学対話教育を創始。1972年にニュージャージー州のモンクレア州立大学に移り、1974年に同大学内に「子どものための哲学推進研究所(IAPC)」を設立する。以降、この研究所を拠点にして、世界各地で子どものための哲学の普及・推進に尽力。子どものための哲学の教材や教員用マニュアルを多数開発し、理論書も執筆する。子どものための哲学の創始者として、現在に至るまで大きな影響を残している。

「2014年 『探求の共同体 考えるための教室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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