福田恆存: 人間・この劇的なるもの

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制作 : 河出書房新社 
  • 河出書房新社 (2015年5月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309247090

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福田恆存: 人間・この劇的なるものの感想・レビュー・書評

  • 「自信を持とう」の中の

    私たちは、知的虚栄心を捨てなければいけません。

    これ、私に響いた。

    その前には次のような記載がある。

    他人はどうなってもいい、おれだけは生き抜かねばというエゴイズムの体臭が少しもない。私はエゴイズムを奨励しませんが、それでも虚栄心よりははるかにいいと思う。少なくとも、虚栄心という心の弱さをヒューマニズムとすり替えている無意識的な甘さや意識的なずるさよりは、エゴイズムの方が信頼できます。そして、このエゴイズムこそ、欧米の小市民性のうち今日でも根強く行きているものなのです。



    日本人は物質的にも精神的にも新しがりやだと言われますが、これも自信のない虚栄心から発した傾向だと思います。古いと言われたことは、ただそれだけでは、新しいものを取り上げねばならなぬ理由にはならない。何か自分の持ち物で捨てなければならないものがあるとすれば、それが身についていないというときだけです。品物でも思想でも、それを選ぶ自分というものに自信があれば、世界中がどうなろうと、それを捨てるかは自分で決めればいいのです。だが、現在の日本には選ぶがあの自分より選ばれる側の対象の方に、選択の基準があるみたいです。だから虚栄心しかないというのです。

    古いと言われれば、それだけでうろたえる。自分が間違っていると思い込む。その反対に、新しいということだけで、正義我にありといった安心感をもつ。古ければ古いなりに筋がとおっていればいいはないですか。古いものはいずれ新しいものに取って代わられるでしょう。それはそれでいいではないですか。古いのと新しいのでは、どっちが正しいということにはならない。両方とも本ものです。ただし、両方に自信がある時にです。

    同様に、日本と西洋とどっちが正しいか、どっちが優れているか、そんな問いは成り立たない。日本がどうであろうと、日本人にとって日本よりいい国はないのです。私には、それだけで、日本を肯定する理由は十分のように思われる。全てお出発点はこの地震の上に置かれねばならないと思います。

  • 保守論、演劇、文芸批評、翻訳、国語問題……普遍的な思想家であり多面的な文化人であった福田恆存。寄稿や単行本未収録論考などからその全貌に迫る決定版読本。

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