自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界; 幼児期から老年期まで
- 河出書房新社 (2021年10月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309254326
感想・レビュー・書評
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何年前か忘れましたが、「空気を読む」という言葉がとても流行った時期がありました。そもそも空気を読むという事がASDの方たちには理解できません。
僕自身も周囲に「なんでこの人はこんな当然な事を聞いてくるのだろう」「これを頼んだら普通これもセットでやるだろう」という事でイライラした事があります。
ASDやそれに類する人たちに抽象的な言葉で指示したり、頼んだりしてイライラしていたんだろうと振り返ると思います。
色々な事に名前を付ける事で、分類されて楽になる事ってこれに限らずあるので、本作のような女性のASDに関してしっかり診断して支援を受け、自分は異常ではなくそういう個性なんだ、同じような人が他にもいるんだ。という救いはとても大きいと思います。
普通の自閉症に関しても親が現実を受け止められずに、普通学級に通わせることにこだわったり、認定を受ける事を拒んで結果何も支援を受けられないまま大人になってしまう事もあります。
いつかは親も居なくなり一人で生きて行かなければならない(パートナー居る居ないにかかわらず)。そのための準備は恐れずしなければいけないですよね。
自身のパーソナリティーを知る事で、まず自分が自分を許してあげる事が出来る。それによる自己肯定感の向上というのは人が生きていく上で無常の幸せだと思います。
身の回りに思い当たる人はいませんが、50人に1人というと実は身近にいる可能性もあるし、これから出会う可能性もあります。この本を読むことによって色々な人への理解に役立つし、何かの時には是非この本を勧めたいと思います。 -
「きっつー…」という現実がこれでもかと突きつけられる。予習としては良いが、光明が見えなくなるので諸刃の剣でもある。ただし「知識」として知っているどうかで出せる手札が変わってくるので、トータルで見るとプラスにつながると思う。
それにしても「発達障害の現実」の厳しさよ… -
春に読んだ「存在しない女たち」は、世の中は事実上男性中心主義であり、女性というのは全体としてまともに扱われていないことをたくさんのデータ(の不在)を元に論じていたが、ここで扱われている内容もまたその一端かもしれない。
ASD(自閉症)は男性に多いものだと言われてきたが、実は男女で特性の現れ方に差があって、検査などでも女性は見過ごされてきている場合が多いだけではないか、という話。翻訳した堀越英美さんのあとがき(web公開)や「群像」に書かれたエッセイを読んで、ちょっと他人事じゃないという直感があり、すぐに手に入れた。
具体的なことを知れば知るほど、「男の子」の典型とか「女の子」の典型とかいうのがほんとうにあるのかわからなくなってくる(実際、あくまで「傾向」「スペクトラム」だし、最近は「モザイク能」という言い方もでてきたが)。自分や身の回りで思い当たる項目があまりに多すぎて、標準と例外のような扱い方ができるほど圧倒的に偏っているのかどうか「定型(typical)」と「非定型」の比率はどんなものなのだろうとも思った。 -
私も娘も当事者です。特に思春期の辛さには同意するばかりです。
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友人に勧められて読んだ本。ASDと聞いてイメージするASD像と、実際の女の子の実像との違いに驚く。それは社会的役割の差から生じるという一面も持つ。女性にはASDはいない、とまでは思っていなかったが、イメージするのはいつも男性だったなと振り返る。レインマンを代表する映画の影響もあっただろうと思う。診断名がつかないことでただ変わった人だと自他ともに認知してしまい、苦しんでいる女性が多く、鬱などの二次障害を発症する人も多いとのこと。診断名がつくことで楽になる人生もあるし、診断名がつくことで制限される、制限してしまうということも起こりうる。だから、一概に診断すればいいというものではないとは思うが、ASDだとわかり解放されている人たちの言葉を読むと素直に嬉しくなった。
なんにしても、どんな人でも、自分と違っても、多くの人とは違う行動、思考をしていても、この世界が生きやすい場所であって欲しいと願う。また、違いを認め受け入れられる自分でありたいと思う。 -
自閉症スペクトラムの女性といっても色々いる。
書籍やブログなどで個人で発信できる(目立つ)人は工夫してある程度定型発達の人に合わせてコミュニケーションを取ることができたり、特別な才能があったりすることが多い。そういう人じゃない人の声もあって参考になる。
診断はされていないし、受診する予定もないが、私も身に覚えのある記述が多かった。同じ苦労をしている仲間がいて嬉しかった。 -
理由はありません。ただただよかった。
特にいま現在から年老いていく過程のところへん。情報量はとても少ないですが。
これからも生きていかねばなりません。
できれば、穏やかな気持ちでいられる時間が、長くあるといいなと願うだけです。 -
それ以上やめて!となるぐらい
当事者の方の声と自分の過去が重なりました。
診断はついていませんが
自分は自分でいい、と思えるようになる一冊でした。