イラストで読む ギリシア神話の神々

著者 :
  • 河出書房新社
4.06
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (135ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309255743

感想・レビュー・書評

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  • 何回読んでも面白い。マンガでコミカルに描かれてるので初心者向けで分かりやすいです。中でも冥界の王ハデスとデメテルの娘、ペルセポネのお話が好き。

  • 鈴木保奈美が本に関するテレビ番組で、”1時間あったら読む本”という題目で紹介していた本。私にとってギリシャ神話は、多分中学生の頃から興味をもちつつ、何度か試みたものの入っていけなかった分野なので手にとってみた。

    今まで全く自分の頭に根付かなかった神々が、この本のふざけた(賞賛)イラストでどんどん頭に入ってくるのがすごい。個人によって記憶の仕方の好みはあると思うけれど、多くの人にとって、ビジュアルから入るというのはやはり効果的だと思う。古代ギリシャの神々がどんな容姿だったのかなんて、完全正解は存在しないのだから、こんなイラストでも読者の中に外貌や性質が植え付けられたら、そこからギリシャ神話への興味はさらに広がっていくと思う。

    イラストだけではなく、芸術作品の紹介もされているのもいい。絵画が語っているストーリーをもっと知りたくなり、本物の作品を自分の目で観てみたいという知的欲求も大いに刺激される本だった。

  • 『少年少女世界の名作文学』で夢中になって読んだギリシャ神話を、大人の目でもう一度味わいたくなった。

    「神話の大筋を理解しよう」をテーマに書かれたこの本は、神々のプロフィールや物語をイラストで紹介してありとてもわかりやすい。

    まず「人物相関図」を見てびっくり!
    姉弟関係にある父クロノスと母レアの間に生まれた末っ子ゼウスは、正妻ヘラ以外に多くの愛人を持つ。 おばにあたるテミスやムネモシュネ、姉のデメテルとも関係し子が産まれている。12神の中のアルテミスとアポロンの母レトは彼のいとこだった。これが"神話では普通のこと"だというから驚く。美しいとばかり思い込んでいた神話は愛憎渦巻く物語だった。

    名画の謎や星座になったいきさつもコメントがわかりやすい。
    ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」や
    ティツィアーノ「ヴィーナスとアドニス」など、物語絵の背景を知っていれば名画鑑賞がより楽しめそうだし、彫刻の知識も少し増えた気がする。

    「トロイ戦争」は最後にしっかり書き込まれてある。沢山の参考文献をもとに一冊の本にまとめられた著者の苦労がうかがえた。

  • ギリシア神話の中の神々の奔放で時に暴力的なストーリーが、わかりやすく描かれている。美術館で見ることができる作品の背景を理解するために有用な情報も得られた。今の時代でも使われる言葉の由来がわかるのも面白いと感じた。

  • ときどき絵画展に行ってみると、その色合いに癒され、繊細な筆づかいに驚き、なんともいえない幸せな気分になる。
    でも聖書やギリシャ神話の題材もけっこうあって理解するのはなかなか大変だ。とはいえ……画家がつけたその絵のタイトルや背景を少しでも知っていれば、もっと世界観が広がって、より楽しめそうな気がしている。

    この本の筆者も、はじめはぐちゃぐちゃとしたギリシャ神話を理解することに一苦労だったと嘆いている。
    で、私ははじめも今も久しく混乱し続けている(笑)。
    だから作者は神々とその物語をわかりやすいイラストにして説明したらしい。なんとありがたい、これがかなりおもしろくて、家系図もあり、イラストの細かい描写や欄外の小さな呟きに思わず笑ってしまう。ヘルメス神の靴にはかわいい翼が生えていたり、最高女神ヘラの背景は大輪のバラ! ならぬ、孔雀羽がもりもり描かれていたり、女神アテナがメデューサの首をスマホのチャームよろしく携帯しながらほくそえんでいたり……イラストの細かいディティールを発見するのも楽しい。

    ギリシャ神話は最高神ゼウスを頂点とした個性的すぎる神々の物語で、結構人間臭くておもしろい。父クロノス(ティタン族)VS息子ゼウス(とその兄弟姉妹ら)の血みどろの覇権争いの末、勝利したゼウスは権力を手中にする。そっか~だからティタン族はどれもこれも不遇な扱いをうけているわけで、地底タルタロスに閉じ込められたり、カウカソス山に縛られ鷹に肝臓を食われたり(プロメテウス)、西の果てで天界を支え続けたり(アトラス)……その罰もすさまじい。

    ゼウスはあちらこちらで女性をつくっては子を生す。そのひとつひとつの物語がおもしろいうえに、その子らの物語もドラマティックだ。彼は白鳥や牛に変身できるけれど、黄金の雨に変身したのにはさすがに呆れた。そうして美女ダナエと交わるストーリーも劇的で、あのティツィアーノやレンブラント、クリムトといった画家たちもこぞって描いていて、絵画もカラーで紹介されている。

    そのダナエの生んだ子が有名なペルセウス。ヘルメス神から翼のある靴を借りて飛び回り、アテナ神から最強の盾をかり、全身レンタルづくし。見るものすべてを石にするというメデューサと対決するシーンはなかなか手に汗にぎる。絵も紹介されていて、この本はつくづく絵画の解説本みたいだ~。

    また巨人のティタンは「タイタニック」の語源となり、怪鳥セイレーンは「サイレン」の語源らしい。セイレーンは美しい歌声で旅人を幻惑して食い殺してしまう妖女で、なるほどサイレン、要警戒だ。オデュッセウスは船旅の最中に自身をマストに縛りつけ、耳栓をしてセイレーンの魔の手から逃れた――このシーンの生々しい混乱ぶりも絵になっていておもしろい。

    また有名なブランド・エルメスの語源は、ヘルメス神からきたものらしい。エルメスは高級すぎて手がでないけれど、ヘルメス神のやんちゃぶりは本を開けばただで出会える! ヘルメスはわたしのお気に入りの一人で、軽妙で茶目っ気のある神で、伝達や仲介、コミュニケーションを司る今ふうの神だ。さらに詩歌の女神はムーサあるいはミューズ(muse)と呼ばれていて、そこからミュージックやミュージアムといった芸術にちなむような言葉が誕生しているらしい。ほぉ~目から鱗が落ちる思い。

    どれも神話は男や女がわらわら出てきて混乱するけれど、とりわけギリシャ神話は絵画でも彫刻でも、あらゆる芸術、小説や言葉の数々……網の目のようにどこまでも広がっていて、どこかで必ずつながっているおもしろさがあるからやめられない。
    作者の漫画仕立てのイラストは笑えて秀逸なので、興味のある方はぜひどうぞ(^^♪(2023/9/17)

  • 登場人物がめちゃくちゃ多かったが、イラストの相関図があるのでわかりやすい。ゲラゲラ笑いながら楽しく読めた。


  • ギリシア神話。いつか読みたいくらいに思っていましたが、本著も参考にされている岩波、河出、中央文庫など、多岐にわたる物量なので、どこから手をつけたらよくわからない人にも開かれた書籍でした。下手したら入力されたテキストより、手書きの台詞や注釈の方が多そうで、細かなニュアンスや理解の助けになったかな、という感じ。
    悪く言うと、ある意味ではまとめサイト的であり、ファストな理解を導くものですが、これを入口にはたして深掘りするために読書する人がどれだけいるのだろうかとも思いました。
    ですが、膨大なキャラクターもレパートリー豊かなイラストで表現されており、非常にわかりやすかったです。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/771676

  • ギリシャ神話に興味をもったが、たくさん神々が登場するため整理が出来ずにいた時にこちらの本を知った。

    神々や英雄たちの会話も堅苦しくなく親しみ易く面白い。
    絵画の主題も、そういうことだったのかと納得したし、トロイヤ戦争のおさらいもできた。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。女子美術大学絵画科洋画卒業。広告制作会社でグラフィックデザイナーとして働く。イタリア留学し、08年アカデミア・ディ・フィレンツェを卒業。著書『イラストで読むルネサンスの巨匠たち』など。

「2023年 『イラストで読む 奇想の画家たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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