音楽の進化史

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309274911

作品紹介・あらすじ

音楽はなぜ誕生し、どのようにより豊かで多様なものへと変化したのか? 楽器や楽譜、音階や和音の発明など、作曲家である著者が、旧石器時代から現代に至る4万年の音楽史を一望する決定版!

感想・レビュー・書評

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  • 題名どおり"音楽の進化史"について、作曲家の評伝やエピソードは最低限にして音楽そのものの発展を通史として著した一冊。
    手元において折にふれて読み返したい内容。

  • p48
    マショーをはじめ、14世紀の作曲家たちは、合唱曲を一種の数のゲームのように扱っていたのでる。
    たとえば、曲を構成する一つ一つの音の長さ(拍数)はすべて数値で表すことが出来る。
    p49
    14世紀の音楽によくつかわれていた隠れたパターンのことを「イソリズム(アイソリズム)」と呼ぶ。
    p127
    最近でもアデルの「セットファイアトゥーザトレイン」などに使われている和音進行はシャコンヌと同様のものである。
    p143
    平均律の持つ利点を最も分かりやすい形で証明したのが、ヨハンセバスチャンバッハの作曲した「平均律クラヴィーア曲集」である。また、この前奏曲にはメロディがなく、和音の連続だけで出来ている。
    p144
    それまでの混沌とした状況に一つの秩序をもたらした平均律という体系は、バッハにとっては魅力的だったに違いない。バッハの作品はどれも論理的で秩序正しい。
    p144
    ドイツ敬虔主義では、自分たちの力で知識、理解力を高めることが大事とされた。また、謙虚な心、人と争わない態度、勤勉努力、教育などを重んじた。
    p147
    バッハ「フーガの技法」は気が遠くなるほどに複雑なフーガばかりだ。壮大な音楽のジグソーパズルともいうべき以降の作曲家が誰もまねのできなかった奇跡の傑作である。
    p149
    バッハ「音楽の捧げもの」
    対位法を使った音楽の中でも歴史上、もっとも複雑なものとされている。彼は自らの音楽を、人類についての神の計画を具現化したものだと信じていた。全能の神はこの世界に何らかの秩序を与えたはずで、その秩序は必ず精密で美しい数式で表せるはず、と考えた。
    p193
    モーツァルトの音楽を聴いていると、「私は最大限、手を尽くして美しいものを作りたい。そうすれば人生は美しくなるはず」と言っている彼自身の声が聞こえてくる気がする。
    p202
    ベートーヴェンの出現によって、音楽は一種の宗教のなったといっても決して誇張ではないだろう。
    p312
    「十二音技法」は西洋音楽の1オクターブを構成する12音をすべて平等に扱う作曲技法だ。
    ただ問題は、この技法でつくられた音楽を理解し、興味を惹かれるのは音楽家だけだろうということである。
    p448
    クラシック音楽を皆が楽しんでいるのはいいのだが、皆の目が未来ではなく過去を見ている。新たしいものを生み出すのではなく、古いものを詳しく調べることばかりが大事になってしまっている。
    p461
    音楽の過去の歴史が教えてくれるのは、未来に関してはあまり憂う必要はない、ということである。何か動きがあると、必ずそれはと反対の動きが起きる。このままでは将来はどうなるのだろう、と心配していると、誰かが安心させるようなことを始める。

  • 会社属性的に教養として読んでおくべきかな?と思って手に取ったけど望外に面白かった。弊社社員は全員読んでおくべきですね。10時間くらい読了に掛かるのが玉に瑕ですが。
    西洋クラシック音楽を中心にその前史と勃興、隆盛、映画音楽への流れ、ジャズの登場からロック。ジャンルを超えた融合まで。
    和音の意味や使い方なども解説してあり、なかなかいいです。

  • まことに読み応えのある「音楽の物語」であった。この種の本は今はあまり出版されなくなってきているだけに、なおさら嬉しくなる。

  •  ギリシャ、ローマの時代から現代までの音楽の通史をやろうという野心的な本。和音の発見、記法の発明、調と和音進行、平均律、モーツァルトとベートーベン、リストを経てワーグナーでひとつの集大成へ。そこから従来の西洋音楽の枠組みを破壊せんとするドヴォルザークやストラヴィンスキー、ムソルグスキーたちの取り組み。レコード、放送といった革命的な音楽ツールの広がりとともにジャズ、ロックなどが台頭していくまで。
     通史としてはなかなかおもしろいし、バレエ音楽についての考察、レコードや放送が果たした役割など、ユニークな視点もある。反面、直線的な「進化」という方法論じたいの限界もまた見えるような気がする。

  • 情報量は多いのだが腰を据えて読まないと目が滑る。結果、流し読みに。

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著者プロフィール

イギリス・ケント州生まれ。オックスフォード大学クライスト・チャーチで音楽を学ぶ。エミー賞受賞歴のあるミュージカルや映画音楽、テレビスコアなどの作曲家。著書に『音楽史を変えた五つの発明』がある。

「2014年 『音楽の進化史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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