陸前高田 2011‐2014

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 47
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309275956

作品紹介・あらすじ

家の前の土手の、コンクリートの階段に腰を下ろし、気仙川の水面や遠くの氷上山を眺めていると、子供の頃からずっとこうやってきたのだという安息に満たされるが、その気分を自分ですぐに否定しなければならないことが、いまではつらい。後ろを振り返れば、そこにあるはずの懐かしい家や樹木や町並みは消えており、ただ雑草の生える地面が遠くまで続いている。その空っぽな光景が事実なのだと、無理矢理にでも認めようとすれば、この自分が以前と同じ自分なのかどうかは、急に疑わしいものに思えてくる。 いったい時間や歴史とはなんのことだろうか? 時間や歴史とは、時計の運針や年表のようにしてあるものだろうか? いや、そんなことはあるまい。だいいち自分が大津波の直後に過ごしていた重たい時間を、普段の時間経験と同じものとして理解することが、僕には全然できない。あのときの時間は、時計やカレンダーなどが表しているものとは、まったく違う何かだった。    ──畠山直哉「陸前高田 バイオグラフィカル・ランドスケイプ」(本書所収)より

感想・レビュー・書評

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  • ブックデザイン/鈴木成一デザイン室

  • 多分、撮影者が記憶しているであろう風景と重ねた時に、それぞれの写真の意味や思いが理解できるのだと思う。

  • 写真は写真だけ見て理解できるものと、撮影者の意図や想いを示すコメントがないとわからないものとがある。

    本書は後者の最右翼で、巻末に撮影者の文章が載ってはいるが、一枚一枚にコメントをつけて欲しかった。恐らく撮影者の想いの一割も理解できていない。

  • 748||Ha

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784309275956

  • 世界的に高い評価を得る写真家・畠山直哉。東日本大震災による津波で母を失った彼が、震災直後から撮り続けてきた故郷・陸前高田の写真を集大成。カラー71点のほか、エッセイを収録。

  • 『気仙川』から三年余り。あの頃と対をなす写真。復興の現状を伝える……というようなことからは、心揺さぶるスペクタクルのようなものからは、遠く離れた「気むずかしい」視線。

    「僕がいま切実に見たい、聞きたい、手に入れたい、と願っているのは、昔のような、あの晴れがましい「新しさ」などではない。新しくなどなくともよい。ただ「明日」を感じさせるものでありさえすれば。」(p.155)

    被災地で復興の末端に関わる者として、しかし晴れがましくあれと迫る日常に抗して、この気むずかしい視線を共にする者でありたいと願う。

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著者プロフィール

1958年陸前高田市生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。1997年木村伊兵衛賞受賞。著書に『Underground』(メディアファクトリー)、『話す写真』(小学館)など。

「2015年 『陸前高田 2011‐2014』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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