旅する温泉漫画 かけ湯くん

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 114
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309279749

感想・レビュー・書評

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  • 局地的王道食から久々の単行本。

    今回の主人公はいつもの額に松の字が書かれた目付きの悪い姿でも「局地的王道食」での実際の作者に近い姿で描かれた松本英子でもなく、猫のかけ湯くん。

    その かけ湯くんが各地の温泉(たまに銭湯もあり)を巡るといった内容の温泉エッセイ&レポート漫画。

    温泉については勿論の事、食べ物(食事、スイーツ等)、出会った人々との出来事が毎回1P(回によっては2~4P)にきちんとまとまり良く描かれているかなり密度の高い内容なのだけど、サクサクと読めてそれでいてしっかりと読み応えを感じる。(個人的に松本英子作品が好みという事もあるけど)

    因みに自分は温泉よりも銭湯派。
    理由としては気軽に行けて場合によってはワンコインでサウナや露天風呂も楽しめるからなのだけど、この本を読むと温泉旅行も良いなあという気持ちにもなる。(それ以前に つげ義春の旅行漫画のような旅行に少なからず興味はあったけど)

    と、言っても車や電車で何時間も掛けて行くようなものでなくローカル線で二時間くらいの所(海辺よりも山沿い)。

    行くなら春か秋。

    宿は豪華なホテルや旅館じゃなく つげ義春の「二岐渓谷」に出てくる様な気さくで人の良い老夫婦とその息子夫婦がやっている鄙びた温泉宿が良い。

    温泉は露天の岩風呂か室内なら年季の入った渋い造りの風呂。
    熱すぎず温すぎダラダラと浸かっていられるくらいの温度(大体40度位)が理想的。

    食事は広間の炉を囲んで料理は紅葉や柿の葉等(春ならたらの芽や蕗の薹なんかの山菜)の天ぷら。
    大根か里芋の煮物(春は若竹煮)茄子としし唐の味噌炒めなんかもいい、漬物は自家製沢庵・糠漬け・味噌漬け。
    メインは秋なら卵を抱えた落ち鮎の煮浸し、春なら岩魚かヤマメの塩焼。
    汁物は裏で栽培しているなめこがたっぷり入った味噌汁。
    ご飯は秋は栗ご飯か芋ご飯、春はタケノコご飯といった魚以外は肉っ気なんてない(とういうより必要ない)素朴な物で充分というよりそっちの方が嬉しい。

    食事を終え一服していると宿の老主人が「良かったらお前様も一杯どうかね?」なんて地酒(にごり酒)か奥さん(老女将)が去年漬けた梅酒なんかを勧められたりしたら、もう嬉しいどころか最高としか言いようがない!(笑)

    朝食は白米、根深汁、漬物、裏で飼っている鶏の生み立ての生卵か卵焼き、それときゃらぶきか葉唐辛子の佃煮なんかで申し分なし。

    そして宿を出る時、「残り物で悪いんだけど良かったら電車の中で食べなさい」と前夜の炊き込みご飯をおにぎりにした物と漬物を渡されたりなんかしたらもう言う事なし!

    なんか食べ物の事ばかりだけどそんな温泉旅行なら行ってみたい。(笑)

    だから取材を兼ねてだろうけどちょくちょくと温泉旅行に行ける かけ湯くんがちょっと羨ましいと感じたりもする。

    2009年の連載から9年かけての単行本化なので続刊はまだまだ先の事だけど次はどんな温泉に行きどんな人との出会いがあるのか楽しみ。

  • 猫のかけ湯くんが全国の温泉を旅する漫画。作者の松本英子氏は実生活でも温泉旅行に行っているが、一人旅も好きだそうで、個人的にだがとても一人で旅する勇気がないので脳内旅行。大好きな漫画が一つ増えた。

  • 紙面いっぱいに漫画と文字が詰まった温泉への愛情溢れるエッセイマンガ

  • この人の温泉体験記は、かなりよいです。
    ただ、細かいところが多いので、サイズがもう少し大きめだとより読みやすかったです。

  • 『旅の手帖』連載のコミックエッセイ。温泉好きならではの視点からの楽しいエッセイ。

    筆者の温泉旅行でツウだなと思うところは、あえて素泊まりの宿を選び、地元の温泉街で食事をするか、地酒と地場産の肴で部屋に持ち込むところ。

    ただ宿で過ごすのでなく、ちょっとした季節の変化、何気ない風景、たまたま立ち寄った魅力的な店など。温泉旅行の醍醐味を十二分に伝えてくれる作品。

  • どの温泉もしみじみ
    行ってみたくなる

  • 圧倒的な情報量!

    それもそのはず、
    旅行雑誌「旅の手帖」にて連載中の
    2009年8月号からの、9年分を1冊にまとめたものだから。

    湯沢・秋ノ宮の「鷹の湯温泉」で読みました。
    温泉地で読む本としては最高。

  • 猫のかけ湯くんが主人公の温泉旅エッセイ漫画。「旅の手帖」に連載されているのを読んだことがあって、気に入っていたので本屋さんで見つけて迷わず購入。
    かけ湯くんは見た目が猫なだけで、中身は作者(女性)。一人旅だったり友達のあがり湯くんと二人旅だったりする。ひとつひとつのエピソードは短いけど、旅好き温泉好きなら「分かるわ~」となるエピソードが多くて楽しい。ちょっと小心者なところも親近感が湧くし、絵も味があって好き。ああ、温泉行きたい。

  • なんかやたらと密度が濃くて読むのに時間がかかる。いいなあ。温泉行きたいなあ。

  • 「ネコのかけ湯くんが温泉を求めて西へ東へご近所へ。稲子湯温泉、温泉津温泉、三朝温泉、鉄輪温泉、銀山温泉、草津温泉、麒麟山温泉などなど。山・海・里の幸、地酒、町歩き、お土産、そしてちいさな発見も。」

    「旅行ガイド本は「る〇ぶ」や「まっ〇る」だけじゃない!私は「かけ湯くん」を読んで旅行先を決めた事があります!」
    (未来屋書店 本屋従業員によるおススメ本の紹介 2023 の紹介より)


    目次
    はじめまして!―山形・銀山温泉
    これもかけ湯なり―長野・浅間山某所
    日奈久の自慢―熊本・日奈久温泉
    降参―宮城・作並温泉
    せつない旅の記憶―長野・田沢温泉
    近いのに秘湯―千葉・白浜温泉
    成就の湯―青森・下風呂温泉
    草津よいとこ、うまいとこ―群馬・草津温泉
    野沢のわんこ―長野・野沢温泉
    原点の湯―長野・菱野温泉〔ほか〕

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著者プロフィール

1969年、千葉生まれ。漫画家。おもな著作に『ウチのハナちゃん』『荒呼吸』『謎のあの店』『局地的王道食』など。

「2018年 『旅する温泉漫画 かけ湯くん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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