貞女への道 (河出文庫 136H)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309403175

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  • 「三島由紀夫の『反貞女大学』みたいなエッセーを」という編集者の要望に対して、「だったら、“反”はもう古いから、もう一回ひっくり返したい」とこたえた著者が、女性たちの自己理解の変遷を見通しながら現代の女性たちの姿を分析している本です。

    現代の男性像をテーマに書かれた『蓮と刀―どうして男は“男”をこわがるのか?』(河出文庫)と対をなす内容で、著者の鋭い人間理解が随所に示されています。また、『蓮と刀』では夏目漱石の『こころ』におけるホモソーシャルな関係性を指摘する批評が展開されていましたが、本書では映画の『シェルブールの雨傘』と『風と共に去りぬ』がとりあげられており、こちらも非常にていねいに登場人物たちの心性が掘り下げられています。

    二村ヒトシが著者の『恋愛論 完全版』(文庫ぎんが堂)の「解説」を執筆しており、著者の視点の鋭さを高く評価していましたが、二村が女性の読者に向けて書いた『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(文庫ぎんが堂)にも通じる内容を含みつつも、二村ほどにはやさしくはない、著者の「モラリスト」的な知性がよく表われている内容だと感じました。

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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