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- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309403175
感想・レビュー・書評
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「三島由紀夫の『反貞女大学』みたいなエッセーを」という編集者の要望に対して、「だったら、“反”はもう古いから、もう一回ひっくり返したい」とこたえた著者が、女性たちの自己理解の変遷を見通しながら現代の女性たちの姿を分析している本です。
現代の男性像をテーマに書かれた『蓮と刀―どうして男は“男”をこわがるのか?』(河出文庫)と対をなす内容で、著者の鋭い人間理解が随所に示されています。また、『蓮と刀』では夏目漱石の『こころ』におけるホモソーシャルな関係性を指摘する批評が展開されていましたが、本書では映画の『シェルブールの雨傘』と『風と共に去りぬ』がとりあげられており、こちらも非常にていねいに登場人物たちの心性が掘り下げられています。
二村ヒトシが著者の『恋愛論 完全版』(文庫ぎんが堂)の「解説」を執筆しており、著者の視点の鋭さを高く評価していましたが、二村が女性の読者に向けて書いた『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(文庫ぎんが堂)にも通じる内容を含みつつも、二村ほどにはやさしくはない、著者の「モラリスト」的な知性がよく表われている内容だと感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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