黒冷水 (河出文庫 は 12-1)

著者 :
  • 河出書房新社
3.41
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  • (7)
本棚登録 : 1157
感想 : 102
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309407654

作品紹介・あらすじ

兄の部屋を偏執的にアサる弟と、罠を仕掛けて執拗に報復する兄。兄弟の果てしない憎しみは、どこから生まれ、どこまでエスカレートしていくのか?出口を失い暴走する憎悪の「黒冷水」を、スピード感溢れる文体で描ききり、選考委員を驚愕させた、恐るべき一七歳による第四〇回文藝賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 当時、自分と重ねて読んでいた。描写をイメージさせられた記憶がある。怖さを感じたが、それでも楽しませてもらった。

  • 信頼できない語り手ではあると察していたが、かなり特殊な構成をしていて純粋に驚いた やや不自然な会話や稚拙な表現に関しても、伏線に捉えられるように作っており面白い
    私自身はこういう性的表現が露骨に使われる文章はあまり好きでは無いが、高校生と中学生という多感な思春期の不仲な兄弟感をリアルに描いているように感じた

    構成上か(または作者自身が17歳だったためか←関係ないけど作者の性別や年齢で文章どうこう言うのは失礼な気もするし、思い込みも多く発生すると思うのでよくないと思う)、やや不快に感じる部分も多く存在した一方で、大きなオチはあるがカタルシスを感じさせるものではなくやや微妙な気持ちは残る

    テニス部に所属する兄には、中学生ながら明瞭で結末に大きく関わる後輩が存在するがその後輩がやや特殊な立ち位置でこの人物に関しては何か作為を感じるが1回目の通読では読み切れなかった そのためもう一度読んでみようと思う 
    そう思うほどには中々悪くない作品だったということ

  • 兄弟がいないので自分と比較はできないが、切っても切り離せない存在に対して抱いてしまったら圧倒的に生きにくくなる感情を抱いて、深めていくのが痛々しかった。
    どちらの視点で見るかで同じ出来事も歪んで見えてしまうのがよくわかるし、どの方向から見ても主観が入るので客観視なんてないというのがよくわかった。
    最後の最後に考えるのが結局それかと、なんだかやるせなくなった。

  • やられたら、やり返す!という復讐の無意味さを兄弟喧嘩という全世界共通な普遍的イベントに落とし込みながら嫌味ったらしく、バイオレンスに描いた内容は強烈!
    256ページからのリスタートな展開には絶句。からの着地に感服。綺麗事じゃない世界観が好み。これを17歳でカマした羽田圭介ヤバいでしょ。傑作!

  • テンポ良いのですぐ読める。
    憎しみで体が満ちていく描写が良かった。
    17歳でこれを書いた事に驚いた。
    面白かった。

  • 20240206
    えげつない
    粘膜人間とはまた違う兄弟喧嘩
    両親の存在感

  • ⚫︎受け取ったメッセージ
    「兄弟喧嘩」をここまで魅せる…

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    兄の部屋を偏執的にアサる弟と、執拗に監視・報復する兄。出口を失い暴走する憎悪の「黒冷水」。兄弟間の果てしない確執に終わりはあるのか?当時史上最年少十七歳・第四十回文藝賞受賞作!

    ⚫︎感想(⚫︎ネタバレ注意)
    「兄弟喧嘩」をここまで発展させ、読者を最後まで惹きつける。小説家とはやはり感受性、想像力、表現力を併せ持つ特別な人々なんだなぁと改めて感じた。真剣でやばいのだが、ベースは兄弟喧嘩なので、ダークなんだけど、ちょっと笑ってしまうというか。そういったところは芥川賞受賞作の「スクラップアンドビルド」にも感じた。他の著作も読んでみたい。
    黒冷水は「兄」によって書かれたメタ構造の物語だったが、小説内の現実で一番ヤバい奴は「黒冷水」を書いた「兄」であり、弟が意識不明だというのに、親も「…手加減しなさいよ…」なんて言う程度で、異常サイコパス味があってほんとこわい。不穏だし、こわいけど読むのがこわいくらいとまらない。そんなお話でした。

  • 17歳でこれを書いたなんて、やっぱり天才は違うなと思った!
    兄弟それぞれの視点で書かれ、一気に読み切ってしまいました。
    気持ち悪さもあるけど、面白かったです。

  • 最近読んだ羽田圭介の作品が面白かったのでデビュー策を手に取ってみました。
    一言でまとめてしまえば、「陰湿な兄弟喧嘩の物語」です。その単純な舞台設定と、なんだか壮大な正義の戦いのように描いているけれど結局のところ「家庭」という枠組みの中の小さな物語でしかない、ということが、この作品の世界が身近に感じられる理由なのだろうと思います。

    お互いに激しく嫌悪している兄弟ですが、物語の語り手でもある兄は、弟への憎悪だけでなく、弟が兄である自分自身へ向ける憎しみの理由を考えたり、弟のあり様を受け止めようとしたりするなどの成長を見せます。
    そして、大団円……といかないところが、羽田圭介らしいところです。
    決して美しい物語ではありませんが、それでも読後感は悪くありませんでした。

  • 作者17歳の時のデビュー作。文藝賞受賞。
    一気読みするほど面白かった。‥‥が、誰かに薦めたくはないかも‥‥

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著者プロフィール

1985年生まれ。2003年『黒冷水』で文藝賞を受賞しデビュー。「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞。『メタモルフォシス』『隠し事』『成功者K』『ポルシェ太郎』『滅私』他多数。

「2022年 『成功者K』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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