かめくん (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 427
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309411675

感想・レビュー・書評

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  • 優しくて、温かくて、どこか懐かしくて、
    そこはかとなく不安さを感じるおぼろげな世界。

    SFだしファンタジーなんだけど、相手はかめなんだけど、
    かめくんが感じている「不確かさ」には、共感を覚えてしまいます。

    ちょっと哀しいけれど、ゆったり浸っていたい
    ほんのりとあったかい世界ですw。

  • 不思議な世界観。
    いえ、SFの設定としては決して珍しいものではないのですが。

    かめくんは「レプリカメ」です。
    亀に似せて作られました。
    人に混じって生活していますが仕事や生活面で弱い立場です。
    作られた存在ですがりんごやパンの耳を買って食べます。
    口がきけなくてワープロを使って会話します。
    そういったことから、
    どちらかというと受身で周囲の人たちを観察している感じ。
    でも内面でいろいろな事を不思議に思い、常に考えています。
    そんなかめくん視点で語られる世界は静かで優しく、でも切なくて。
    そしてよく考えると怖い。
    淡々とかめくんの生活が語られていく中で、
    底知れない不安と悲劇の予感がじわじわと効いてきます。

    表紙の男の子(?)はかめくんだと思われます。
    そのイメージで読みました。
    でもよく考えると見た目は亀のようで甲羅もあるんですから、
    まったくの内面的イメージということですね。
    イヤリングのりんごも、
    りんごが好きで食事として食べる場面が何回かあったりして。
    象徴的。

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。
1992年、デビュー作『昔、火星のあった場所』で第4回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞、『天動説』で第1回桂雀三郎新作落語〈やぐら杯〉最優秀賞を受賞。2001年には『かめくん』で第22回日本SF大賞を受賞。『どーなつ』『北野勇作どうぶつ図鑑』『どろんころんど』『きつねのつき』『カメリ』『レイコちゃんと蒲鉾工場』ほか著書多数。
ライフワークとも言える【ほぼ百字小説】は、Twitterで毎日発表され続けており、その数は4000を超える。

「2023年 『ねこラジオ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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